やじうまの杜

水に浮かぶアヒルを眺めるだけの人気ソフト、今度はデスクトップに直接アヒルを浮かべる

50個のアヒルが画面中に漂い続ける「Placid Plastic Desktop」

 “やじうまの杜”では、ニュース・レビューにこだわらない幅広い話題をお伝えします。

「Placid Plastic Desktop」のタイトル画面

 プラスチック製の黄色いアヒルのおもちゃと言えば、頭に思い浮かぶ姿はみな共通していると思う。ずんぐりむっくりな体とつぶらな瞳、小さく自己主張するくちばし。その姿を見ているだけで幸せを感じる……という人は、どうやら結構多かったらしい。

 4月1日に発売された「Placid Plastic Desktop」は、デスクトップにおもちゃのアヒルを浮かべられるソフト。Steamにて150円で販売されている。Steamライブラリでは「ゲーム」ではなく「ソフトウェア」のカテゴリに収録される。

 本作はイタリアのインディーゲーム開発スタジオturbolento gamesが開発したもの。本作の前には、おもちゃのアヒルをプールに浮かべるソフト「Placid Plastic Duck Simulator」を開発している。ただアヒルを眺めるだけでゲームと呼べる代物ではないにも構わらず、Steamの評価は98%の支持を集めて圧倒的に好評。YouTuberがこぞって紹介するなどして話題になった。

 「Placid Plastic Desktop」はそのライトバージョンとされており、前作のようにプールなどは用意されず、ただデスクトップ上にアヒルを呼び出せるものとなっている。

 ソフトを起動して[開始]をクリックすると、色々な柄のアヒルが表示されるので、デスクトップに呼び出したいアヒルを選ぶ。執筆時点では全47種類のアヒルを使用できた。選べるアヒルの数は最大50個。

呼び出したいおもちゃのアヒルを50個まで選択

 アヒルを選んで画面右上の[開始]をクリックすると、画面がデスクトップに戻り、画面中央に四角いアイコンが表示されるとともに、アヒルが次々と画面に現れる。先に選んだアヒルが1秒に1個ずつ呼び出され、デスクトップ上を漂い始める。

デスクトップ上にアヒルが次々と出現

 3Dで描画されるアヒルは物理演算されており、アヒル同士の接触もリアルな挙動で表現する。事前に[設定]メニューで音量を上げておくと、アヒルをクリックすることでアヒルの鳴き声が鳴る。アヒルの種類によっては、たまに声の違うアヒルもいる。

アヒル同士の衝突判定もちゃんとあり、挙動はリアル

 画面中央のアイコンは[設定]画面の呼び出しボタンとなっており、ドラッグ&ドロップで好きな場所に移動できる。この画面ではカメラモードの選択が可能で、[遠近法の]を選ぶと画面手前から中央部へ立体的な池がある想定でアヒルが漂う。[直交の]にすると画面最下部が水面となり、横から見た格好でアヒルが浮かぶ。

画面最下部にアヒルが並んで浮かぶような見せ方も可能

 ほとんどのアヒルはただゆったりと漂うだけだが、プロペラがついたアヒルはたまに空を飛び、また落下する。いきなり空へ飛んで行くので見ていて楽しい。

プロペラで飛ぶアヒルも

 さて、本作について重要なことが2点ある。1つは、アヒルは一切操作できない。ただ画面に現れて漂うのを眺めるのと、クリックして鳴き声を聞けるだけだ。つまんだり持ち上げたりといった操作をしたくなるが、そんな要素はないようだ。

 2つ目は、アヒルはデスクトップの最前面に漂う。別のアクティブウインドウを操作はできるが、アヒルが重なっている部分ではマウス操作がアヒルのクリックと認識されるため、マウスで操作できない。先述のとおりアヒルは動かせないので、自然にどいてくれるまで待たねばならない。

 なお[設定]画面に[常に前面表示]オプションがあり、これをOFFにすることでアヒルをアクティブウインドウの後ろに回すことができる。しかしそれをやったら本ソフトの意味はないだろう。

アヒルを前面に出さない設定も一応できる

 いや、そもそも本ソフトの意味とは何だろうか? アヒルは鳴く以外に何の機能もなく、実用性は皆無どころかむしろ邪魔である。しかしながら画面を漂うアヒル達はただただ可愛らしいし、カメラモードを[直交の]にしておけば画面最下部に漂うので邪魔にならない。各々の好きなように、PCを使っている時はいつでもアヒルと一緒に過ごせるのだ。

 友人や家族から『何でこんなの買ったの?』と言われたら、『これは“わびさび”を愛せる大人がたしなむソフトなのだよ』と遠い目をしながら答えておくのがおすすめだ。あるいは職場でアヒルを漂わせておけば、若い同僚から『それ可愛いですね!』と声をかけられるかもしれない。上司に見つかった時の対処と合わせて検討してみるといいだろう。

 なお「ZOTAC GAMING GeForce RTX 4080 16GB AMP Extreme AIRO」と4K/60Hzのモニターを使用している筆者の環境で、50匹の普通のアヒルを呼び出したところ、GPUの負荷は10~20%となっていた。大量のアヒルを呼び出すとそこそこの負荷になるので、ご利用は計画的に。

大量のアヒルをいつでも眺められる。それでいいのだ