クリエイターが知らないと損する“権利や法律”
独創性って何だろう
~第2章:著作権で保護される作品を教えて!~
2016年7月15日 07:00
オンラインソフト作者に限らず、あらゆるクリエイターが創作活動を続けるために、著作権をはじめとして知らないと損する法律や知識はたくさんある。本連載では、書籍『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』の内容をほぼ丸ごと、三カ月間にわたって日替わりの連載形式で紹介。権利や法律にまつわる素朴な疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えする。
前回掲載した“〈コラム〉著作権の歴史と文化の発展”の続きとして、今回は“独創性って何だろう”というテーマを解説する。
独創性って何だろう
では次に、どのような作品が保護されるかについて説明しましょう。
著作権法1条に『著作物』という言葉が出てきました。
著作物は、このように定義されています。
著作権法2条1項1号(定義)
著作物 思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。
なんだか、わかるような、わからないような……。
ここで重要なのは、前半の『創作的に表現』です。
つまり、独創性が求められます。
オリジナリティが必要なのです。
何かの真似ではダメってことですか?
そう。そっくりそのままでは、単なるコピーになってしまいますよね。
でも例えば、描いた本人は模写のつもりだったものがまったく似ずに、結果として独創的表現になるような場合もあります。
どこまでが真似で、どこからが独創的なのかは、単純に線を引くことができないのです。
真似をしたのに、真似じゃなくオリジナルになっちゃったわけですか。
なんだかおかしな話ですね。
また、創作性の高低は関係ありません。
作者の『思想又は感情』が、なんらかの形で表れていればいいのです。
そういうことか。じゃあ後半の『文芸、学術、美術又は音楽』って、具体的にはなんですか?
それは著作権法10条1項で例示されています。
箇条書きにしてみましょう。
ただ、あくまで例なので、これがすべてではありません。
- 言語の著作物(小説、脚本、論文、講演など)
- 音楽の著作物(楽曲、歌詞)
- 舞踊又は無言劇の著作物(ダンスなどの振付)
- 美術の著作物(絵画、イラスト、版画、彫刻など)
- 建築の著作物
- 図形の著作物(地図、図面、図表、模型など)
- 映画の著作物(映画、アニメなど動画全般)
- 写真の著作物(写真そのもの)
- プログラムの著作物
誰かが講演でしゃべっている内容も、著作物なんですね。
そう。だから講演を録音したものや、文字に書き起こしたものにも、著作権が働きます。
あれ? 漫画がないような……。
著作権法では例示されていませんが、もちろん漫画も著作物です。
イラストとストーリーの組み合わせなので、美術と言語の著作物ということになりますね。
すると、ゲームは?
基本はプログラムの著作物ですが、それを構成するシナリオは言語、イラストは美術、BGMは音楽、ムービーは映画です。
そっか、いろんな著作物のかたまりなんですね。
次回予告
今回の続きとして次回は“アイデアと表現の違い” というテーマを解説する。
原著について
『クリエイターが知っておくべき権利や法律を教わってきました。著作権のことをきちんと知りたい人のための本』
(原著:鷹野 凌、原著監修:福井 健策、イラスト:澤木 美土理)
クリエイターが創作活動するうえで、知らないと損する著作権をはじめとする法律や知識、ノウハウが盛りだくさん! “何が良くてダメなのか”“どうやって自分の身を守ればいいのか”“権利や法律って難しい”“著作権ってよくわからない”“そもそも著作権って何?”といった疑問に会話形式の堅苦しくない読み物でお答えします!