Chromebookって何?
第4回
Windowsとの連携でChromebookは真の力を発揮する!ファイル同期からリモートデスクトップまで
クリップボードの共有や「Microsoft Edge」との連携も可能
2021年1月4日 06:55
ChromebookとそのOS「Chrome OS」について解説する本連載。最終回となる次回は、すでにWindowsパソコンを所有しているユーザー向けに相互運用の勘所を紹介したい。パソコンとChromebookでデータやファイルを交換する方法、Chromebookからパソコンを遠隔操作する方法をマスターすれば、パソコンとChromebookのデメリットを互いに補い合うことができるだろう。
まずパソコンにインストールしておきたい「Backup and Sync」
なによりもまずパソコンにセットアップしておきたいのは、“Google ドライブ”をWindowsの「エクスプローラー」に統合する「Backup and Sync」だ。Chromebookはクラウド、つまり“Google ドライブ”にファイルを保存するのが前提となっている。そのため、“Google ドライブ”のファイルをパソコンと同期できる「Backup and Sync」は必須のアプリといえるだろう。
ちなみに、Chromebookから“Google ドライブ”にアクセスするには「ファイル」アプリを利用する。Chromebookのローカルファイルを“Google ドライブ”へ転送したい場合も、このアプリで簡単に送ることができる。
「Office 365」ユーザーならばAndroid版「OneDrive」アプリ
もしGoogleのサービスではなく、Microsoftのサービスをメインに利用しているのならば、Android版「OneDrive」アプリをインストールしてもよいだろう。読み取り専用にはなるものの、Chromebookの「ファイル」アプリにも統合される。
「OneDrive」にファイルをアップロードしたい場合は、それぞれのアプリに用意されている共有コマンドを利用すればよい。
SMB接続でNASにアクセスする
また、NASをデータの保存先にすることもできる。筆者の利用しているSynology製のNASの場合、まずNASの[コントロール パネル]-[ファイルサービス]画面で詳細設定を開き、“SMB3”を利用できるようにする。
次にChromebookで「ファイル」アプリを開き、[新しいサービスを追加]-[SMB ファイル共有]メニューからNASを登録する。設定が完了すれば、「ファイル」アプリのサイドバーにNASが登録されるはずだ。
パソコンの「Google Chrome」からChromebookへリンクなどのデータを送信する
Chromebookは軽量でバッテリーの持ちがよいため、出先で活躍させたい。となると、パソコンで作業していたファイルや閲覧していたコンテンツをいかにChromebookへ送ったり、持ち出したりするかが問題となる。ファイルの場合は“Google ドライブ”に保存しておけば問題はないが、パソコンの「Google Chrome」で閲覧していたコンテンツをChromebookへ送るにはどうすればよいだろうか。
リンクの送信
閲覧中のページを明示的にChromebookへ送信する機能もある。アドレスバーにパソコンのアイコンが表示されたら、それをクリックしてみよう。“お使いのデバイスに送信”というポップアップが現れ、“Google アカウント”でリンク済みのほかの「Chrome」へ閲覧ページのURLを送信できる。
ChromebookでURLを受信すると、デスクトップにリンクが通知されるので、それをクリックすればWebページにアクセスできる。
右クリックメニューからリンクを送信
また、リンクの右クリックメニューから指定デバイスに送信する[リンクをデバイスに送信]コマンドも覚えておきたい。気になるページを見つけたら、このコマンドでChromebookへポイポイと送信しておくと、あとでChromebookでじっくりと閲覧できるというわけだ。
パソコンからモバイルにテキストを送信(実験的機能)
もしかするとリンクではなく、ちょっとしたテキストをパソコンからChromeへ送りたいケースもあるかもしれない。残念ながら現在のところそうした方法は正式に提供されておらず、同期機能のあるメモアプリ(「Google Keep」など)に書き込んだり、ファイルにして“Google ドライブ”でやり取りするしかない。
しかし、不安定な試験的機能でよいのであれば、「Google Chrome」のクリップボード共有機能が使える。
まず、パソコンの「Google Chrome」のアドレスバーに“chrome://flags”と入力して移動する。次に検索ボックスへ“clipboard”などと入力して検索する。すると、いくつかのフラグが検索に引っかかるはずだ。そのうち、以下のフラグを有効(Enabled)に切り替えて、「Chrome」を再起動しよう。
- chrome://flags#shared-clipboard-ui:クリップボード共有のUI
- chrome://flags#sync-clipboard-service:クリップボード同期サービス
すると、選択テキストの右クリックメニューに[デバイスにコピー]というコマンドが現れる。これを利用すると、選択したデバイスのクリップボードにテキストをコピーすることが可能だ。
パソコンの「Microsoft Edge」に保存されたパスワードをChromebookで使う
PCで「Chrome」を使っているならば、Chromebookにもパスワードが自動で同期されるため、Webサービスへのログインで困ることはない。しかし、Windows 10の標準Webブラウザーは「Microsoft Edge」だ。Windowsでは「Chrome」ではなく「Edge」を使っているというユーザーも少なくないだろう。すると、せっかく「Edge」にパスワードを覚えさせてもChromebookと同期されず、Webサービスへのログインが大変面倒になる。
この問題に関しては、Microsoftが公式の拡張機能を提供してくれている。ありがたく使わせてもらおう。
なお、「1Password」などのパスワード管理サービスを利用しているならば、「1PasswordX」などの専用拡張機能を使えばよいだろう。
リモートデスクトップ
Chromebookは安価だが、その分スペックが抑えられている。そのため、重い処理はデスクトップパソコンなどに任せるのが賢明だ。ChromebookでときどきWindowsパソコンへリモート接続し、処理の進捗を確かめたり、追加の操作を行えばよい。
そうしたリモートデスクトップを行うソリューションはいくつかあるが、もっとも手軽なのはGoogle自身が提供している「Chrome リモート デスクトップ」だろう。操作するパソコンへ事前に拡張機能とコンパニオンアプリを仕込んでおく必要はあるが、Windowsだけでなく、MacやLinuxも操作できるのが利点だ。
もしWindowsしか使わず、しかもエディションが“Pro”以上なのであれば、Windows標準のリモートデスクトップ接続(RDP)クライアントを使うのもアリだ。こちらは接続先のパソコンでリモートデスクトップ接続の受け入れを許可するだけで、特別なツールを事前にセットアップしなくても利用できる。
クライアントアプリ(接続ソフト)は複数あるが、信頼のおけるMicrosoft製がお勧め。「Chrome OS」はAndroidアプリが使えるので、Android版「Microsoft Remote Desktop」を使うとよいだろう。
「Google Play」ストアアプリで“rdp”と検索すると、いくつかアプリがヒットする。
最新は「Remote Desktop」の方だが、日本語入力に問題があるようだ。とりあえずマウス操作だけであれば可能だが、今後の改善に期待したい。
Chromebookでスマートフォンに届いたSMSに返信したい
最後に、パソコンとの相互運用には関係がないが、1つお勧めの設定を紹介しておきたい。「Chrome OS」には「Messages for web」がPWAとしてインストールされており、AndroidスマートフォンとQRコードで連携させれば、スマホのSMSを読み書きできるようなる。とくに長文のメッセージを書くときは、スマホのタッチ入力よりChromebookのキーボードの方が何かと便利だ。
このWebサービス(PWA)はパソコンでも利用できるので、もしまだ設定していないならこれを機に導入してみてはいかがだろうか。