特集
窓の杜特選!Androidアプリコレクション 第1回
必須アプリや端末の使い勝手を向上させるアプリを16本紹介
(10/01/26)
日本では昨年NTTドコモから初の搭載端末“HT-03A”が発売された、スマートフォン向けOS“Android(アンドロイド)”。Google主導で開発されており、Googleの各種サービスとスムーズに連携できることから話題を集めたが、Windows MobileやiPhoneと同様に、世界中の開発者が公開しているアプリをインストールして機能を拡張できるのも魅力だ。
現在のところ、国内で一般的に入手できる搭載スマートフォンは“HT-03A”のみであるため、実際に利用している人はまだまだ少ないと思うが、Googleブランドの“Nexus One”やソニー・エリクソン製の“Xperia”など魅力的な新機種も発表されており、興味のある方も多いのではないだろうか。
そこで今回は、Android用に開発されたアプリを4回にわたって紹介し、“いま、Androidにできること”をアプリを通してお伝えしていく。すでに端末をお持ちの方はもちろん、今後発売される搭載端末に期待している方も参考にしていただければ幸いだ。
なお、Android OSはバージョンアップにより次々と機能が追加されているが、今回の特集ではバージョン1.6を搭載した“HT-03A”を基準にアプリのピックアップや動作確認を行った。また、Android搭載スマートフォンの基本的な仕様や使い方については、下記リンクにある僚誌ケータイ Watchによる“HT-03A”のレビューを参考にしてほしい。
アプリのダウンロードは“Android マーケット”から
各アプリを紹介する前に、まずはアプリのインストール方法について簡単に紹介しよう。Android用アプリは、アプリ配信サービス“Android マーケット”(以下、マーケット)から入手するのが基本だ。現在のところWindows MobileやiPhoneのようにPC上からアプリを直接インストールする手段は用意されておらず、Android端末上でマーケットのクライアントからアプリを探したりダウンロードすることになる。
また、Android端末上のWebブラウザーからマーケットを開く仕組みも用意されており、“market://”や“http://market.android.com/search?”で始まるURLからマーケットにアクセス可能。ただし、このURLはPC上のWebブラウザーではエラーになるため注意。
このため、アプリ紹介サイトなどをPC上のWebブラウザーで閲覧していてマーケット用のリンクがあった場合は、端末へメールなどでURLを送る必要がある。また、サイトによってはマーケットにアクセスするためのQRコードを掲載している場合もあるので、これをAndroid端末で読み取ると楽だ。本特集にもQRコードを掲載しているので活用してほしい。QRコードの読み取りには、「QRコードスキャナー」などのアプリが利用できる。
「QRコードスキャナー」
- 【著作権者】
- ZXing Team
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.1
フリック対応IMEで日本語入力を快適に
HT-03Aには日本語入力システムとして、オムロンソフトウェア(株)製の「iWnn IME for Android」が搭載されている。携帯電話向けの入力システム「iWnn」がベースとなっており予測変換などが可能だが、かなキーを何度も押して入力するという、いわゆる“ケータイ打ち”はタッチパネルでは効率が悪い。そこで、iPhoneのように母音のキーを上下左右にフリック(弾くようになぞる)することで、効率的に日本語を入力できる“フリック入力”に対応したIMEを利用しよう。
現在フリック入力対応のIMEは、Android用日本語IMEの草分けである「Simeji」をはじめとしてさまざまなものが公開されているが、ここでは「Simeji」と「OpenWnn plus」を紹介する。この2つはいずれも「iWnn」のオープンソース版である「OpenWnn」がベースになっており、基本機能の面ではどちらを選んでも遜色はない。ソフトキーボードやフリック入力の表示方法など、インターフェイスの好みで選んでもよいだろう。
参考までに、それぞれのIMEで日本語入力にフリック入力を行うよう設定した際の画面を以下に掲載した。
英字入力に関しては、「OpenWnn plus」はQWERTYキーボードのみとなっているが、「Simeji」はQWERTYキーボードのほかフリック入力や“ケータイ打ち”も用意されている。「Simeji」はほかにもさまざまな設定項目があり、カスタマイズ性が高い。「Simeji」「OpenWnn plus」ともに[文字]キーの長押で表示されるメニューから設定画面を呼び出せるので、基本的な使い方に慣れたら自分好みにカスタマイズしてみよう。
また、「Simeji」「OpenWnn plus」は、ユーザー同士で辞書を共有する“Social IME”のWeb APIに対応している。Social IMEを使うと標準の辞書にない人名や商品名なども変換できて便利だが、仕組み上入力した文字列がSocial IMEのサーバーへ送られることになるので注意が必要だ。Social IMEを利用するかどうかは設定で選ぶことが可能。
さらに、両アプリともに“マッシュルーム”と呼ばれる仕組みで、プラグインのようにほかのアプリを呼び出して機能を拡張できるのも特長。マッシュルーム対応アプリには、クリップボード履歴や顔文字入力、郵便番号からの住所入力、再生している音楽の曲名挿入などさまざまなものが用意されており、マーケットを“マッシュルーム”で検索すると見つけることができる。
「Simeji」
- 【著作権者】
- Simeji Dev. Team
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.C.4
「OpenWnn plus」
- 【著作権者】
- OpenWnn plus Project Team
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.7.1
“ウィジェット”を配置してホーム画面を活用
Android端末のホーム画面は、さまざまな“ウィジェット”を配置して自由にカスタマイズできる。ウィジェットには標準で検索やアナログ時計、音楽プレイヤーなどが用意されているが、もちろんマーケットからもさまざまなウィジェットを入手可能。ここでは、そのうちお勧めのものをいくつか紹介しよう。
まず、ウィジェットの定番とも言える天気情報の表示ウィジェットは「世界天気時計」がお勧め。アイコン1つまたは2つ分のコンパクトなサイズに、指定した地域の現在の天気と気温、降水確率を表示できる。地域は世界中から選べ、設定により日付と時刻も表示できるので、世界時計として利用することも可能だ。
また、ウィジェットをタップすると当日から3日後までの天気予報を表示できるほか、ステータスバーへ現在の天気と降水確率を表示させる機能もあり、実用性が高い。ただし、地域によっては降水確率など一部取得できない情報もあるようだ。
天気予報の表示に特化したウィジェットもある。「Cliph Weather」は、ホーム画面1列分のサイズで、当日を含め5日分の天気予報を表示できるウィジェット。天気を表示する地域は国内の各地から選ぶことができる。
天気情報と並んでウィジェットの定番と言えば付箋だろう。お勧めは「Sticky Memo Widget Lite」だ。表示サイズはアイコン1個分から縦4×横4個分まで選ぶことが可能で、ホーム画面の空きスペースを有効活用できる。ちょっとしたメモや、常に表示しておきたい情報などを記入しておくと便利だ。
「世界天気時計」
- 【著作権者】
- satok 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.54
「Cliph Weather」
- 【著作権者】
- Cliph 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0.3
「Sticky Memo Widget Lite」
- 【著作権者】
- BM Software
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.9.2
標準ウィジェットの代替に便利なものもある。HT-03A標準の「カレンダー」ウィジェットは今日の日付と次の予定1件を表示するだけにも関わらずアイコン4個分のスペースを占有してしまうが、「CalWidget」ならスペースが許す限り複数の予定を表示可能。表示サイズの選択肢も、アイコン2個分のコンパクトなものから、縦4×横4個分まで幅広い。
また、予定表示が不要で、とにかくコンパクトに日付を表示したいという場合は、「tCalendarWidget」を利用するとアイコン1個分のサイズで年月日を表示できる。そのほか、アイコン2個分のサイズでおしゃれなデザインの日付またはデジタル時計を表示する「Retro Clock Widget」もお勧めだ。
「CalWidget」
- 【著作権者】
- egg 'n stone 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 0.2.41
「tCalendarWidget」
- 【著作権者】
- タオソフトウェア(株)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0.7
「Retro Clock Widget」
- 【著作権者】
- Ronald van der Lingen 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.5
「Google 音声検索」で検索をより便利に
Googleが公開している「Google 音声検索」を利用すると、端末に向かってしゃべったキーワードでWeb検索ができるようになる。単体のアプリとして動作するだけでなく、インストールするとホーム画面上の[検索]ボタンで表示される“クイック検索ボックス”や、ホーム画面に貼り付けられる検索ウィジェットも音声対応にアップデートされる。
また、本ソフトを入れておくと、さまざまなアプリで音声認識機能を利用できるようになるので、入れておいて損はない。
「Google 音声検索」
- 【著作権者】
- Google Inc.
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.4.1
端末ロック時の不便を「AutoLock」で解消
Android端末は基本的にGoogleのアカウントへログインした状態で使うため、万が一落としてしまった場合のセキュリティが心配。他人に使われないよう認証ロックをかけて使いたいものだ。
ところが、この認証ロックが若干くせ者で、パスワードなどの入力ではなく、画面上に表示される9個のドットを設定した任意のパターンでなぞって解除するという方式となっている。その上、認証ロックを設定すると画面OFF(スリープ)状態から復帰するたびにパターン入力が必要になるため、さすがに面倒だ。
そこで「AutoLock」を使うと、画面をOFFにしてから指定した時間が経過した場合のみ認証ロックをかけることができる。認証ロックをかけるまでの時間は10秒、30秒または任意の分数で指定することが可能。
「AutoLock」
- 【著作権者】
- mooapps 氏
- 【ソフト種別】
- ダウンロード販売 0.99米ドル
- 【バージョン】
- 2.0
「WiFi Status」で無線LANの無駄遣いを防止
Androidのステータスバーには、無線LANがONでアクセスポイントに接続していたり、アクセスポイントを発見した場合は通知アイコンが表示されるが、“無線LANがONになっているが、アクセスポイントが存在しない”場合は何も表示されない。つまり、無線LANが無駄にONになっていてバッテリーを浪費しても、それに気づくのが難しい。
そこでお勧めなのが「WiFi Status」だ。無線LANが無駄にONになっている状態を検出すると、ステータスバーに通知アイコンを表示してくれる。さらに、この通知アイコンをステータスバーから引き出してタップすると、無線LANをOFFにすることが可能。自宅や会社などで無線LANを使ったあとに外出した際、無線LANをOFFにし忘れてバッテリーを浪費した……といった経験があるならぜひ使ってみてほしい。
「WiFi Status」
- 【著作権者】
- Andrew Schwimmer 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト(寄付歓迎)
- 【バージョン】
- 1.0.0
「Ringdroid」で好きな曲のサビを着信音にしよう
Android標準の音楽プレイヤーは、現在再生している曲を端末の着信音に設定する機能を備えているが、この場合曲の頭からの再生となる。サビだけを切り出して着信音にしたい……といった場合は、「Ringdroid」がお勧め。SDカードに保存されたMP3/AAC/MP4/WAVE/3GPP/AMR形式の音楽ファイルから一部分を切り抜いて、着信音や通知音、アラーム音に設定することができる。
着信音などにしたい曲を選んだら波形が表示されるので、切り抜きの開始位置と終了位置を示すカーソルを、ドラッグで移動して範囲を指定すればよい。波形表示は拡大・縮小できるほか、カーソルはトラックボールで細かく動かすこともできるので、細かい調整も可能だ。再生ボタンで試聴しながら調整して納得のいく仕上がりになったら、保存ボタンを押して保存しよう。
「Ringdroid」
- 【著作権者】
- Ringdroid Team
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 2.3
「ClipStore」「CopiPe」でコピペや定型文挿入を快適に
AndroidではPCと同様にクリップボードを利用してテキストのコピー・ペーストが可能だが、「ClipStore」を利用するとクリップボードをさらに便利に活用できる。クリップボードを監視して履歴を取得し、任意のテキストを再利用可能。さらに、そのうち特定のテキストを“定型文”として登録して常に利用することができる。ステータスバーへ常駐できるためどのアプリからも簡単に呼び出せるほか、「Simeji」や「OpenWnn plus」の“マッシュルーム”機能にも対応しているため、これらのIMEからクリップボード履歴などを直接挿入することも可能だ。
また、定型文の挿入をメインに使うなら、「CopiPe」もお勧め。こちらはクリップボード履歴の自動保存機能はないが、クリップボードから登録したり任意に入力した定型文を、複数のカテゴリーに分けて管理できる。マッシュルームには非対応だが、「ClipStore」と同様にステータスバーへ常駐することが可能だ。
「ClipStore」
- 【著作権者】
- benishouga 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.9
「CopiPe」
- 【著作権者】
- Ishii Kenzo 氏
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.1
- タスク管理アプリは必要?
Androidはマルチタスクに対応しているが、メモリが足りなくなるとバックグラウンドのアプリを自動終了する仕組みがあるため、ユーザーが意図的にアプリを終了させる必要は基本的にない。また、[ホーム]ボタンの長押しで最近起動したアプリ6個のアイコンが表示されるので、ほぼタスク切り替えの代わりとして利用できる。
実際にHT-03Aで3~4個のアプリを切り替えながら使った場合、筆者の経験では各アプリの動作が重くなることはほとんどない。ただし、ホーム画面にウィジェットを多数配置していると、ホーム画面へ戻った際にしばらく待たされることがあった。今後、端末のスペックが上がれば解決する問題かもしれないが、ひとまずは[ホーム]ボタンの長押しによるタスク切り替えを活用するとよいだろう。
どうしても自分でタスクを管理したいなら、タスクの一覧を表示して終了や切り替えが一発でできる「TaskPanel」がお勧め。ステータスバーに常駐できるほか、バックグラウンドのタスクを一括終了する機能や、あらかじめ指定したタスクを端末スリープ時に自動終了させる機能も備えている。
【著作権者】 sychee 氏
【ソフト種別】 フリーソフト
【バージョン】 6.4.0
- Android マーケット利用時の注意
Android マーケットは、Android用のアプリが大量に集まっており、端末上から検索・インストールができるという点ではiPhoneの“App Store”に似ている。しかし大きく異なるのが、“事前審査が存在しない”という点だ。このため、誰でも自由にアプリを公開できるのがAndroidの魅力ではあるが、同時にアプリが正常に動作するか、またセキュリティ上の問題がないかといった点が一切保証されないことも意味する。
そのためマーケットには、インストール前にアプリが利用する端末の情報や機能を表示する仕組みが備わっている。また、各アプリの紹介ページにはユーザーによるレビューと評価が表示されるので、たとえば天気予報アプリのはずなのに送受信したメールへにアクセスするなど、不自然な権限を求めてくる場合は注意して評判などを確認するとよいだろう。
それでも、巧妙に仕組まれた悪意のあるアプリがマーケットに紛れ込む可能性は否定しきれない。必要以上に神経質になることはないが、“App Store”のように誰かがアプリにお墨付きをくれるわけではなく、自由と引き替えに自己責任が発生することは意識しておこう。