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トラッキングからユーザーを守り、Webを高速化 ~「Firefox」に3つの新機能が導入へ

遅延の原因になっているトラッカーやサードパーティCookieをブロック

公式ブログ“Future Releases”

 オンライン広告ではユーザーの興味を引く広告を掲出するため、さまざまな手法を用いて行動の追跡(トラッキング)や情報の収集を行っている。しかし、これが行き過ぎるとページの読み込みが遅くなったり、ときに重大なプライバシー侵害が引き起こされたりする。残念ながら、こうした問題はエキスパートでもない限り対処が困難だ。

 そこでMozillaは8月30日(米国時間)、新しいトラッキング防止策を「Firefox」に導入する計画を発表した。今後数カ月の間に3つの重要な取り組みを行うという。初期状態でトラッキングをブロックしてユーザーを保護するとともに、サイトに知らせてよい情報とそうでない情報をユーザーがわかりやすく管理できることを目指す。

ページの読み込みパフォーマンスの向上

テスト版の「Firefox Nightly」にページの読み込みを遅くしているトラッカーをブロックする新しい機能が追加

 まず、テスト版の「Firefox Nightly」にページの読み込みを遅くしているトラッカーをブロックする新しい機能が追加された。この機能はSHIELD調査(任意でユーザー情報を収集するフィードバックシステム。“about:studies”で参加している調査を確認可能)でテストされたのち、問題がなければ「Firefox 63」で有効化される。

現行版の「Firefox」

クロスサイト(サイトをまたいだ)トラッキングの削除

 次に、サードパーティCookieをブロックする仕組みが導入される。

 Cookieは、WebサイトがWebブラウザーに一時的なデータを保存できるようにする仕組み。たとえば“サイトの表示言語設定を記憶する”“次回からはログイン不要にする”といった場面で活用されている。このCookieは保存したサイト(ファーストパーティー)とは関係のないサイト(サードパーティ)でも読み取ることが可能だ。ユーザーを特定する情報を書き込んでおけばサイトをまたいだ行動の追跡も行えるので、トラッキングの手法として一般化している。逆に言えば、これをブロックすれば第3者がユーザーの行動を追跡するのはかなり難しくなる。

 サードパーティCookieのブロックも、「Firefox Nightly」ですでに利用可能。ただし、影響範囲が比較的広いため、9月には一部ユーザーを対象にベータ版でもSHIELD調査が行われる予定だ。「Firefox 65」での導入を目標に、各部に改善が加えられる。

望ましくない慣行の排除

 最後に、今までは黙認されていたものの、望ましくない方法でユーザーを特定しようとする試みがブロックされるようになる。たとえば、Webブラウザーはそれぞれの環境に適したレイアウトを行うため、ユーザー環境に関する情報(OS、デバイスの解像度、ブラウザーのバージョン、タイムゾーン、ネットワーク状況など)を取得できるが、それを巧妙に組み合わせてユーザーを特定する“指紋(フィンガープリント)”を生成し、Cookieに頼らなくてもある程度ユーザーを特定することができる。「Firefox」の将来バージョンでは、初期状態でこうした方法をブロックするようになるという。

新たに導入される3つの機能は、コンテンツブロックの設定でコントロールできる