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Mozilla、「Firefox 63」を正式公開 ~トラッキング防止を強化、パフォーマンスも向上

Windows版ではOSの設定に応じてダークモード・ライトモードが切り替わるように

「Firefox」v63.0

 Mozillaは10月23日(米国時間)、「Firefox 63」を正式公開した。「Firefox Quantum」ブランドでリリースされる7番目のメジャーリリースとなる本バージョンでは、パフォーマンスの向上やプライバシーの強化が図られた。

 まず、Windows版のビルドインフラストラクチャーが「Clang」ツールチェーンへと更新された。他のプラットフォームとビルドインフラストラクチャーを統一できるというメリットに加え、リンク時最適化(LTO)によりパフォーマンスの向上も期待できるという。

 また、パフォーマンス向上の取り組みはMac版でも行われている。たとえば、タブの切り替えが高速化されたほか、ユーザーインターフェイスの応答性が改善された。複数のGPUを備えた環境では、WebGLの電源プロファイルでパフォーマンス重視でないアプリやアプレットに高性能GPUではなく低電力消費GPUを割り当てられる。

 ユーザーの目に触れる改善点としては、Windows版「Firefox」のテーマがOSのライトモード・ダークモードの設定に追従するようになった点が挙げられる。OSの「設定」アプリにある[個人用設定]-[色]セクションで“アプリ モード”(白・黒)を切り替えると、それに応じて「Firefox」のテーマが切り替わる。

OSの“アプリ モード”を切り替えると、それに応じて「Firefox」のテーマが切り替わる

 さらに、トラッキング防止を強化する取り組みの一環として、[オプション]-[プライバシーとセキュリティ]画面(about:preferences#privacy)にコンテンツブロッキングに関する設定が集約された。初期状態ではプライベートウィンドウでのみトラッカー(アクセス解析や広告のためにユーザー行動を追跡するスクリプト)をブロックする設定になっているが、この適用範囲を通常のウィンドウにまで拡大したり、サードパーティCookieをブロックするよう設定することもできる。オムニバーのサイト情報パネルを利用すれば、ドメインごとにコンテンツブロックの設定をコントロールすることも可能だ。

[オプション]-[プライバシーとセキュリティ]画面(about:preferences#privacy)にコンテンツブロッキングに関する設定が集約
。オムニバーのサイト情報パネルを利用すれば、ドメインごとにコンテンツブロックの設定をコントロールすることも可能

 そのほかにも、“Firefox ホーム”(新規タブ)の“トップサイト”セクションに検索ショートカットを追加する機能が導入された。ただし、利用できるのは米国のみとなる。

 なお、本バージョンにはセキュリティ関係の修正も含まれているので注意。Mozillaが公開したセキュリティ情報によると、今回修正された脆弱性はCVE番号ベースで14件。深刻度の内訳は、Mozillaの基準で4段階中上から最高の“Critical”が2件、上から2番目の“High”が3件、上から3番目の“Moderate”が4件、最低の“Low”が5件となっている。

 「Firefox」はWindows/Mac/Linuxなどに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、現在MozillaのWebサイトからダウンロード可能。Windows版は窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。すでにインストールされている場合は更新機能を利用してアップデートすることも可能。