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Adobe、「Acrobat DC」「Acrobat Reader DC」をアップデート

84件の脆弱性の修正に加え、使い勝手とセキュリティを向上

Adobe、「Acrobat DC」「Acrobat Reader DC」をアップデート

 米Adobe Systemsは5月14日(現地時間、以下同)、「Adobe Acrobat DC」および「Adobe Acrobat Reader DC」のアップデートを予告通り公開した。今回のバージョンアップは四半期に1回実施される比較的大型のアップデートで、不具合や脆弱性の修正に加え、いくつかの新機能が導入されている。

 まず、ユーザーインターフェイスに手が加えられ、使い勝手が向上した。たとえば、テキストや画像を選択すると、それに応じたツール(注釈の追加、ハイライト、クリップボードへのコピーなど)がポップアップで現れる。[Ctrl]+[F]キーで検索ボックスを呼び出してタイプすると、入力に応じて検索候補が出現頻度とともにプルダウンでサジェストされる。最後のセッションからPDFを再度開くコマンドや最近閉じたタブを再び開くコマンドが利用できるようになったほか、最近利用したファイルのリストをクリアするコマンドも導入された。

テキストや画像を選択すると、それに応じたツールがポップアップ
検索ボックスでタイプすると、入力に応じて検索候補が出現頻度とともにプルダウンでサジェスト

 次に、「Microsoft Office」アプリとの連携が強化された。Windows版の「Word」や「PowerPoint」では、編集中のドキュメントを手軽に共有して署名をリクエストする機能を追加。「Outlook」では、メールに添付されたPDFドキュメントを「Acrobat」で開けるようになった。Mac版「PowerPoint」では、PDF作成サービスを利用してスライドをPDF化・共有するコマンドが導入されている。また、「Google Chrome」でもPDFを「Acrobat」で開く機能が実装された。

 そのほかにも、Macのスクリーンリーダー機能“VoiceOver”を利用したナビゲーションを改善。Windowsではバイナリが“CFG(Control Flow Guard:任意のコード実行を防ぐセキュリティ機能)”対応になったほか、画像変換ワークフローがサンドボックス化された。さらに「Acrobat Reader DC」の実行がデフォルトで権限の低い“AppContainer”になるなど、脆弱性を突いた攻撃への耐性向上が図られ、セキュリティが大幅に向上した。

“AppContainer”で動作する「Acrobat Reader DC」。“CFG”も有効化されている

 なお、本バージョンでは脆弱性の修正も行われているので注意。同社が公開したセキュリティ情報(APSB19-18)によると、今回のアップデートで修正された脆弱性はCVE番号ベースで84件。範囲外読み取りにより情報漏洩が引き起こされる深刻度“Inportant”の欠陥や、任意コードの実行につながる恐れのある深刻度“Critical”の問題が解決されている。これらの問題はWindows/Mac版の両方に影響し、同社はセキュリティアップデートの適用優先度をすべての製品で“2”と定め、30日程度以内を目安に以下の最新版へのアップデートを推奨している。

  • 「Acrobat DC」(Continuous)v2019.012.20034(Windows/Mac)
  • 「Acrobat Reader DC」(Continuous)v2019.012.20034(Windows/Mac)
  • 「Acrobat 2017」(Classic 2017)v2017.011.30142(Windows/Mac)
  • 「Acrobat Reader DC 2017」(Classic 2017)v2017.011.30142(Windows/Mac)
  • 「Acrobat Reader DC」(Classic 2015)v2015.006.30497(Windows/Mac)
  • 「Acrobat DC」(Classic 2015)v2015.006.30497(Windows/Mac)

 「Acrobat DC」および「Acrobat Reader DC」はWindows/Macに対応しており、同社のWebサイトからダウンロード可能。すでにインストール済みの場合は、自動アップデート機能で最新版へ更新できる。

 なお、本バージョンでは「OS X 10.11 El Capitan」のサポートが打ち切られてるので注意。今後も「Acrobat」のアップデートを受け取るには、OSをアップデートする必要がある。