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オープンソースの3DCG制作ツール「Blender」の最新版v2.80が正式公開

ユーザーインターフェイスを再設計して初心者にもやさしく

「Blender」v2.80

 蘭Stichting Blender Foundationは7月30日(現地時間)、オープンソースの3DCG制作ツール「Blender」の最新版v2.80を公開した。「Blender 2.80」は、2014年にリリースされた「Blender 2.70」に続くメジャーバージョン。ユーザーインターフェイスや内部エンジンが刷新されたほか、多くの新機能が導入されている。

 「Blender 2.80」は、製作中のアートワークにフォーカスできるようユーザーインターフェイスを再設計。新しい暗いテーマとモダンなアイコンセットが導入された。キーボードやマウス、タッチパネルの併用を考慮して、従来の“右クリックで選択”という既定の操作を見直し、“左クリックで選択”がデフォルトの操作となったほか、右クリックには状況に応じて最適なコマンドへのアクセスを提供するコンテキストメニューが割り当てられた。

 バージョンを重ねるごとに肥大化していたショートカットキーも大幅に見直され、ユーザーが割り当て可能なキーが増えている。旧バージョンや他のソフトとの互換性を重視したキーマップも用意されており、初期設定ダイアログで選択が可能。頻繁に利用するツールへすばやくアクセスするための“Quick Favorites”メニューも追加された。

テーマやショートカットキー、選択を行うマウスボタンは初期設定ダイアログで変更が可能

 また、新規ファイルを作成する際、目的に応じたテンプレートを選択できるようになった。ワークスペースでは、モデリングやスカルプティング、テクスチャペインティングといった特定のタスクに最適化されたスクリーンレイアウトを選べる。3Dビューポートも刷新され、最近のグラフィックカードに最適化。実行するタスクに最適化されたシーンを表示できる。

 内部的な変更としては、新しい物理ベースのリアルタイムレンダラー「Eevee」の導入が目玉となる。最終フレームのレンダラーとして利用されるほか、アセットを制作するためのリアルタイムビューポートを駆動するエンジンとして用いられる。レンダリングエンジン「Cycles」も強化され、“Cryptomatte”や“BSDF hair”、ボリュームシェーディング、“Random Walk Subsurface scattering”といった業界標準技術に対応。多くのレンダリング最適化が実施された。もともと3D向けのツールであったグリースペンシルが通常のオブジェクトとなり、2Dレンダリングとアニメーションでも利用可能となったのも大きな変更点といえるだろう。

 なお、ユーザーインターフェイスは初期状態で英語となっているが、日本語化することも可能。[Edit]-[Preferences]画面の[Interface]セクションで[Translation]オプションを有効化して、“Language”を“日本語”に変更し、日本語化したい部分にチェックを入れればよい。

[Edit]-[Preferences]画面の[Interface]セクションでUIを日本語化可能

 「Blender」はWindows/Mac/Linuxに対応する寄付歓迎のフリーソフトで、本ソフトの公式サイトからダウンロード可能。Windows版のインストーラーは窓の杜ライブラリからもダウンロードできる。Windows 10ならば“Microsoft Store”から入手することも可能だ(執筆時現在のバージョンはv2.79.0.0)。

ソフトウェア情報

「Blender」Windows版
【著作権者】
Stichting Blender Foundation
【対応OS】
64bit版を含むWindows 7/8/10
【ソフト種別】
フリーソフト(寄付歓迎)
【バージョン】
2.80(19/07/30)