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ARM64アプリの開発をサポート ~Microsoft、「Windows Community Toolkit」v6.0を発表

UWPをWin32アプリへ組み込むXAML Islands、After Effects効果が使えるLottie-Windowsなども

Microsoft、「Windows Community Toolkit」v6.0を発表。UWPコントロールをWin32アプリへ組み込む“XAML Islands”などをサポート

 米Microsoftは11月13日(現地時間)、「Windows Community Toolkit」v6.0を発表した。「Windows Community Toolkit」は、コミュニティ主導で開発されているオープンソースライブラリ。標準ライブラリに欠けている機能を補うことができる。

 今回のアップデートでは、ARM64をターゲットとしたアプリの開発をサポート。“Surface Pro X”をはじめとするArm CPU搭載デバイスでネイティブ動作するアプリを作れるようになった。Arm版「Windows 10」にはx86アプリをエミュレーションする互換機能を備えるが、ネイティブ動作が可能であればエミュレーションのオーバーヘッドを避けることができるので、パフォーマンスの向上とバッテリー持続時間の延長が期待できる。

 そのほかにも、以下の改善や新機能が導入されている。

「Lottie」アニメーション

 このアップデートではより多くの「Adobe After Effects」機能が「Lottie-Windows」に追加された。線形グラデーションや放射状(円形)グラデーション、マスク、トラックマットに加え、イメージレイヤーのコード生成などがサポートされている。

 そのほかにも、“Microsoft.Toolkit.Uwp.UI.Lottie”には「Adobe After Effects」アニメーションをアプリでネイティブレンダリングするためのライブラリやクラスが含まれている。

XAML Islands

 “XAML Islands”は、UWPコントロールをWin32アプリ(WinForms/WPF/C++ Win32)へ組み込むための仕組み。v5.0で初めて導入されたが、あくまでも開発者向けのプレビュー版という扱いに過ぎず、品質上の問題で製品に組み込むことは推奨されていなかった。

 v6.0では「.NET Core 3」ツールのサポートが強化されるなど、技術の成熟が図られた。インクなどUWPコントロールを介してのみ提供されているWindows 10のUI機能を自分のアプリに組み込みたいと考えている開発者は、ぜひ試してみてほしい。

新しいスポイトコントロール

 新しい“Eye Dropper(点眼器、スポイト)”ツールが追加され、アプリ内で指定した座標の色を取得できるようになった。

新しいスポイトコントロール

“Microsoft Graph”コントロールのプレビュー

 加えて、Microsoft ID プラットフォームをWindows 10環境で容易に扱えるようにしたGUI部品がいくつかプレビューとして導入された。手始めとしてログイン、ユーザー情報の表示、ユーザーの選択の3つを行うための“Microsoft Graph”コントロールが、v6.1リリースに含まれるという。

ログイン、ユーザー情報の表示、ユーザーの選択の3つを行うための“Microsoft Graph”コントロールがプレビュー

 これらのコントロールは“XAML Islands”を介してWin32アプリでも利用できるほか、Xamarin/Uno Platformの力を借りてiOS/Androidでも利用可能になる予定だ。

 「Windows Community Toolkit」は現在、パッケージ管理システム「NuGet」から無償で入手可能。「Windows Community Toolkit」に含まれる要素をチェックしたい場合は、サンプルアプリ「Windows Community Toolkit Sample App」の利用がお勧めだ。サンプルアプリは現在、“Microsoft Store”から無償でダウンロードできる。

「Windows Community Toolkit」に含まれる要素をチェックできるサンプルアプリ「Windows Community Toolkit Sample App」