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「Windows 10 バージョン 2004」は慎重に展開 ~配信を制御する機械学習プロセスが始動

今の段階で機能更新プログラムが自動でインストールされてしまうことはない

 現在、「Windows 10 バージョン 2004」は「バージョン 1903/1909」を利用しており、手動で[更新プログラムのチェック]している一部のユーザー(Seeker)を対象に配信されているが、いずれこの対象は拡大され、サポートの終了が近づいている「Windows 10」デバイスへの配信・自動更新が開始されることになる。その際にトラブルを招かないよう、どのデバイスへ新しい機能アップデートを配信するかは機械学習(ML)ベースのプロセスを用いて慎重に決定されているが、米Microsoftは6月16日(現地時間)、この機械学習プロセスのトレーニングを開始したと発表した。

 「設定」アプリの[更新とセキュリティ]-[Windows Update]セクションにある[更新プログラムのチェック]ボタンを押すと、「Windows 10」は新たにリリースされた更新プログラムがないかアップデートサーバーに問い合わせる。

 もし利用中のデバイスが「Windows 10 バージョン 2004」で確認されている既知の不具合に影響しないのであれば、インストールを促すトースト通知がデスクトップに表示される。ユーザーはその場でOSを再起動して機能更新プログラムをインストールすることもできるし、その日の夜または指定した日時にインストール処理を行うよう選択することもできる。

機能更新プログラムのインストールを促すトースト通知

 もし利用中の端末が不具合の影響を受ける場合は、[Windows Update]セクションに“お使いのデバイスでは、まだ準備が完了していません”というメッセージが表示される。どちらにせよ、今の段階で機能更新プログラムが自動でインストールされてしまうことはない。

“お使いのデバイスでは、まだ準備が完了していません”というメッセージ

 万が一「Windows 10 バージョン 2004」を手動でインストールしてトラブルに遭遇すると、それがMicrosoftにフィードバックされる。フィードバックで報告される問題は膨大で、軽微なものから致命的なものまでさまざま。これを人間の目でチェックするのはほぼ不可能だが、機械学習(ML)などの技術を応用して問題の軽重を判定(トリアージ)し、重大な問題を迅速に検出する仕組みになっている。トラブルが検知されると、Microsoftは類似の環境に影響が及ばないようにアップグレードの配信対象を制御する。フィードバックにより問題が起こりうるとわかったデバイスに対しては、機能更新プログラムの配信を一時的に中止するわけだ。

 この仕組みで肝となるのは、いかに多くのフィードバックを集め、検出プロセスを適切にトレーニングするかだ。社内のデバイスを管理するIT管理者や複数のデバイスを運用するパワーユーザーは、一部のデバイスに「Windows 10 バージョン 2004」を導入し、先行テストを行うことでこれに協力できるだろう。

 とはいえ、すでに判明しているトラブルにわざわざ巻き込まれることもない。「Windows 10 バージョン 2004」で現在どのような問題が発生しているかは、同社のリリース情報ページで確認可能。トラブルの回避策が案内されていることもあるので、導入の前に目を通しておくとよい。

「Windows 10」のリリース情報ページ