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Microsoft、「May 2020 Update」の“記憶域スペース”問題に新たな対策
OS標準のトラブルシューティングツールを利用した回避策を案内
2020年7月6日 06:00
米Microsoftは7月1日(現地時間)、サポートドキュメント「KB4570719」を公開した。「Windows 10 May 2020 Update(バージョン2004)」にアップグレードした環境で“記憶域スペース”機能に問題が発生する件に関し、OS標準のトラブルシューティングツールを利用した回避策が案内されている。
“記憶域スペース”は数台のディスクを組み合わせて容量を拡張したり、ミラーリングやパリティによるデータの冗長構成(障害が発生してもデータが失われないようにすること)を行うOS機能。これを“パリティ”モードで利用していた環境を「May 2020 Update」へアップグレードすると、ストレージが利用できなくなったり、アクセスに問題が発生する場合がある。
同社は影響を受けるデバイスに対しセーフガードホールドを実施しており、当該デバイスに「May 2020 Update」のアップグレードが案内されることはない。手動でアップグレードを試みても、サポートされていないためアップグレードできないというエラーメッセージが表示され、処理はブロックされる。
同社によると、現在のところ本問題で引き起こされるすべての状況に対応できる完全な緩和策は存在しない。今回案内されているトラブルシューティングツールは、ストレージを読み取り専用としてマークし、問題が解決されるまでにデータが破損してしまうのを防ぐものだ。手動で「Windows PowerShell」スクリプトを実行する方法も案内されているが、慣れない場合はトラブルシューティングツールに頼る方がよいだろう。
トラブルシューティングツールへアクセスするには、まずOSの検索ボックスで“トラブルシューティング”と入力する。すると[トラブルシューティングの設定]がサジェストされるので、それを選択して「設定」アプリの[更新とセキュリティ]-[トラブルシューティング]セクションに移動する。あとは当該セクションにある[履歴の表示]リンクを選択し、重要または推奨として表示されているトラブルシューティングツールを実行すればよい。“実行されていません”と表示されている場合は、今回の問題の影響を受けない環境なので無視してよい。
この問題はOSのバージョンを元に戻しても解決しない。トラブルシューティングツールか手動の緩和策を実施し、完全な解決や修正プログラムが提供されるまでそのまま待つことが推奨されている。
とくに「ディスクの管理」でストレージが“未割り当て”と表示されている場合、推奨の方法以外をとるとファイルが破損する可能性がある。この問題の影響を受けるデバイスで「chkdsk」コマンドを実行することも推奨されていないので注意したい。
なお、パリティストレージスペースにアクセスでき、かつ「ディスクの管理」で“未割り当て”と表示されていない場合は、「Windows File Recovery」(WinFR)ツールで回復を試みることもできる。また、「ディスクの管理」で“未割り当て”と表示されていてもReFSボリュームであれば“refsutil salvage”コマンドで同等のサイズのボリュームにデータをリカバリできるとのこと。