レビュー
Microsoft公式の削除ファイル復旧ツール「Windows File Recovery」
ただし、「Windows 10 May 2020 Update(バージョン 2004)」以降が必要
2020年6月29日 06:54
「Windows File Recovery」(winfr)は、誤って削除してしまったファイルを復旧できるコマンドラインツール。「Windows 10 May 2020 Update(バージョン 2004)」以降に対応するフリーソフトで、“Microsoft Store”からダウンロードできる。
重要なファイルを誤って削除してしまったり、ディスクドライブやメモリカードのファイルシステムが破損してデータにアクセスできなくなったときに役立つのが、ファイル復旧ツールだ。これで復旧できないファイルをサルベージするのはほぼ絶望的なので、まさに最後の手段といえる。
この手のツールはサードパーティー製が充実しており、無償のものも少なくない。GUIで操作できる入門者向けもあるので、わざわざコマンドラインで利用しなければならない「Windows File Recovery」を選ぶ理由はないかもしれない。しかし、Microsoftが公式に提供しており安心して利用できる点や“Microsoft Store”経由で手軽に導入できる点、自動で更新できる点などはメリットといえるだろう。「May 2020 Update」以降でないと利用できないのはネックだが、移行が進めばいずれは問題にならなくなるだろう。対応するファイルシステムは、以下の通り。Windowsデバイスで利用することの多いファイルシステムは網羅されている。
- FAT/exFAT:SDカードやフラッシュメモリ、USBドライブ(4GB以下)で利用されている
- ReFS:「Windows Server」や「Windows Pro for Workstations」で利用されているファイルシステム
- NTFS:Windows環境でもっとも一般的なファイルシステム。PCに接続されたHDD/SSD、外付けディスクドライブ、4GB以上のフラッシュメモリやUSBドライブで利用されている
さて、本ツールを扱う上でまず理解しておきたいのが3つの動作モードだ。
- 既定モード(Default mode):“MFT(マスター ファイル テーブル)”をスキャン。もっとも高速な動作モード
- セグメントモード(Segment mode):NTFSがMFTに格納している“FRS(ファイル・レコード・セグメント)”情報をスキャン。少し時間がかかるが、MFTが壊れている場合に適している
- シグネチャーモード(Signature mode):あらかじめスキャンするファイル形式を想定し、それに合致しているデータをファイルとして取り出す。MFTやFRSが壊れていたり、そもそもそれらを持たないファイルシステムでも利用できるが、ある程度大きなファイルでないと復旧できない。時間もかかる
以下に推奨の動作モードがまとめられているが、よくわからない場合は“既定のモード”、“セグメントモード”、“シグネチャーモード”の順に試すとよいだろう。フラッシュメモリやUSBドライブであれば、最初から“シグネチャーモード”を利用すればよい。
既定モード・セグメントモード
既定モードで手っ取り早く削除ファイルを復旧したい場合は、以下のようなコマンドを利用する。
winfr C: E:
これは“Cドライブをスキャンして、見つかったファイルをEドライブに復元する”という意味になる。スキャンするドライブと復元ファイルを保存するドライブは別にしないといけない点に注意したい。
ただし、この方法では不要なファイルも大量に復元される可能性がある。特定のファイルのみをサルベージしたい場合は、フィルタリングオプション(/n)を利用するとよいだろう。
# ドキュメントフォルダーのファイルを復旧する
winfr C: E: /n ¥Users¥(username)¥Documents¥
# PDFとWordファイルのみを復旧する
winfr C: E: /n *.pdf /n *.docx
セグメントモードの場合は、“/r”オプションを加えればよい。
winfr C: E: /r /n *.pdf /n *.docx
復旧されたファイルは実行日時でフォルダー分けされ、保存先として指定したドライブに保存される。
シグネチャーモード
デジカメのSDカードが壊れた、USBメモリにアクセスできないといったケースでは、シグネチャーモード(/x)を用いる。シグネチャーモードはファイルのメタデータに頼らないスキャンモードで、たとえば画像フォーマットに合致した部分が見つかれば、それを画像ファイルとしてサルベージしようとする。
winfr C: E: /x
そのため少し時間がかかるが、“/y”オプションであらかじめ“拡張子グループ(Extension group)”を指定してスキャンするファイルの種類を絞り込んでおけば、処理時間を短縮させることができる。
winfr C: E: /x /y:JPEG,PNG
なお、拡張子グループは“/#”オプションで確認可能だ。
ソフトウェア情報
- 「Windows File Recovery」
- 【著作権者】
- Microsoft Corporation
- 【対応OS】
- Windows 10 May 2020 Update(バージョン 2004)以降
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.0.11761.0