ニュース

「Google Chrome」でFLoCの試験運用が開始 ~個人情報保護型の広告ソリューション

初期テストは日本を含む地域のごく一部のユーザーが対象。4月には管理UIを追加へ

Googleの公式ブログ

 米Googleは3月30日(現地時間)、「Google Chrome」で“Federated Learning of Cohorts”(FLoC)の試験運用(Origin Trials)を開始すると発表した。ユーザーのプライバシー保護のため、主要なWebブラウザーでサードパーティーCookieのブロックが進むなか、コンテンツ制作者の利益、広告の収益との両立を模索する。

 サードパーティーCookieを用いてユーザーの閲覧行動を追跡(トラッキング)する手法には、かねてより行き過ぎが指摘されており、「Chrome」を含む主要なWebブラウザーで対策が進んでいる。しかし、現在無償で享受できているWebコンテンツの多くがCookieベースの広告の収益に依存している点や、Cookieの遮断を迂回するため、フィンガープリンティングに代表されるより悪質な追跡技術が生み出されている点も考慮する必要があるだろう。

 そこでGoogleは、Cookieベースの従来型広告に代わるプライバシー保護型の広告ソリューションとして、“Privacy Sandbox”と呼ばれる仕組みを提案している。従来型の広告はユーザー情報の扱いを広告側に一任していたが、それをWebブラウザーのコントロール下におき、広告側はWebブラウザーのAPIを通じてその結果を利用する仕組みにするのが主眼といえる。

 その具体的なアルゴリズムとして今回テストされるのが、“Federated Learning of Cohorts”(FLoC)だ。FloCアルゴリズムは機械学習によりユーザーの閲覧履歴を分析し、同じような興味や関心をもつ何千人ものユーザーとまとめて“Cohort(コホート:群れ)”を形成する。広告主から要求できるのはどのコホートに属しているかだけで、個人の・具体的な閲覧履歴は共有されない。

 あまりにもコホートが小規模であると複数を組み合わせて個人を特定できてしまう可能性もなくはないが、「Chrome」には機密性が高いと判断したグループを作成しない仕組みが導入されるとのこと。コホートを決定する際に特定のWebサイトへの訪問を含めないようオプトアウトすることもできる。

 FLoCの初期テストは日本を含む地域のごく一部のユーザーを対象に行われるが、トライアルがグローバルに拡大するのに合わせて他の地域にも拡大される予定。ただし、現行版の「Chrome」でサードパーティのCookieをブロックしているプライバシー重視のユーザーが勝手に“Origin Trial”へ参加させられることはないので安心してほしい。また、4月には「Chrome」に“Privacy Sandbox”の管理UIが導入されるとのこと。“Privacy Sandbox”に参加したくない場合は、明示的に拒否しておくとよいだろう。

現行版「Chrome」で試験運用フラグを有効化すると現れるプライバシーサンドボックスの管理UI
今のところまだプレースホルダーが存在するだけで、具体的な設定項目は用意されていない