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Googleがベータ版「Google Chrome 91」の新機能を発表 ~WebAssembly SIMDが有効化

WebAssemblyアプリで行うマルチメディアや暗号化などの処理が大幅に高速化

「Google Chrome 91」がベータ版に。WebAssembly SIMDが有効化

 米Googleは4月22日(現地時間、以下同)、「Google Chrome 91」のベータ版に追加された新機能を発表した。「Chrome 91」では、これまでテストされてきた以下の3つの機能がOrigin Trialsを卒業し、初期状態で有効化されている。

  • battery-savings Meta Tag:フレームレートを減らしたり、スクリプトの速度を落としてバッテリーを節約するようmetaタグで指定可能に
  • Searching Hidden Text:目には見えないがページ内検索にはマッチする“content-visibility: hidden-matchable”と、検索にマッチした場合に発生するイベントを組み合わせて、折り畳みテキストを検索する際の使い勝手を向上
  • WebAssembly SIMD:WebAssemblyでプラットフォームに依存しないSIMD演算が可能に

 なかでも注目すべきは「WebAssembly SIMD」だろう。現代のCPUには複数のデータに対して1つの命令を一度に適用できるSIMD(Single Instruction/Multiple Data)拡張命令が備わっており、1回の命令で1つのデータしか処理できない古典的なSISD(Single Instruction/SIngle Data)命令よりも高速な処理が可能。マルチメディアや暗号化、VRなど幅広いで活用されている。

「WebAssembly SIMD」を用いたハンドトラッキングのデモ。SIMDを用いた方(左)がはるかに高いパフォーマンスが得られる

 SIMD命令はCPUアーキテクチャーによって大きく異なるが、「Google」のスクリプトエンジン「V8」ではさまざまなプラットフォームで問題なく動作するよう、固定幅の128ビットSIMD操作に絞って標準化が進められている。「Firefox」でもプレビュー版でWebAssembly SIMDがデフォルト有効化されており、今後の普及が期待できる。

 そのほかにも、本バージョンでは以下の機能がOrigin Trialsに加えられた。

  • Declarative Link Capturing for PWAs:Web App Manifestで「capture_links」をサポート。ページ遷移の際にマルチウィンドウやシングルウィンドウの制御が可能
  • WebTransport:UDP/QUICによるリアルタイム双方向通信API
  • WebXR Plane Detection API:WebXR アプリケーションでユーザー環境の平面に関するデータを取得できるように

 また、HTTP/2を使ったWebSocketsやデスクトップ版におけるSharedArrayBuffer制限の強化同じサービスであればドメインが異なっていても資格情報のオートフィルを共有する仕組みなどが導入される。

 「Google Chrome」ベータ版はWindows/Mac/Linux/Android/Chrome OSに対応するフリーソフトで、現在、同社のWebサイトからダウンロード可能。Windows版は64bit版を含むWindows 7/8/8.1/10で利用できる。