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Pythonの新しい言語サーバー「Pylance」がプレビューを卒業 ~「Visual Studio Code」でリッチな開発支援を実現

「Python」拡張機能の5月リリースで既定の言語サーバーに。10~20%の起動時間短縮も

「Python」拡張機能の5月リリースで正式版「Pylance」が既定の言語サーバーに

 米Microsoftは5月13日(現地時間)、「Python」の新しい言語サーバー「Pylance」がプレビューを卒業したと発表した。昨年6月からパブリックプレビューが行われていたが、11カ月のテストを経て、ようやく安定版として利用できるようになった。「Visual Studio Code」用の「Python」拡張機能でも、5月リリースで「Pylance」がデフォルトの言語サーバーとなっている。

 「Pylance」の特徴は、同社の開発する静的型チェックツール「Pyright」による型ヒント(Type Hints)で、型スタブファイル(.pyi)と遅延型推論を利用してPythonコードに型情報を追加することだ。ここで得られた型情報は言語サーバープロトコル(LSP)を介して「Visual Studio Code」に伝えられ、シンタックスハイライト(構文色分け)やコードナビゲーションなど、さまざまな開発支援機能に使われる。

リッチな開発支援を実現する「Pylance」

 パブリックプレビューのリリース当初は「IntelliSense」による入力補完や欠けているモジュールの自動インポート、関数シグネチャーのヘルプ、関数やクラスに対する説明文(docstring)といった機能がサポートされていたが、その後の改善で以下の機能が追加されている。

  • 変数の抽出:選択した処理の返り値を変数に格納するリファクタリング機能
  • メソッドの抽出:選択した処理をメソッドとしてまとめるリファクタリング機能
  • コンテキストハイライト:シンボルをクリックすると、当該ファイルで使われているそのシンボルを強調表示

 「Visual Studio Code」は、Windows/macOS/Linuxで動作する高機能なコードエディター。Windows版(64bitのみ)で「Visual Studio Code」を用いた「Python」開発環境を整えたい場合は、「Coding Pack for Python」の利用がお勧めだ。以下のツールをまとめて導入できる。

  • 「Visual Studio Code」
  • 「Visual Studio Code」拡張機能(Python、Pylance、Gather)
  • Pythonランタイム(CPython 3.8.5)
  • Pythonパッケージ(jupyter、numpy、sklearn、pandas、Matplotlib)

 なお、「Python」拡張機能の5月リリースでは言語サーバーの変更以外にも、拡張機能の起動時間の短縮(Windows/Macで10%、Linuxで20%)や、Pythonスクリプトのライブリロード(ブレークポイントでデバッグが停止中のコードを変更すると自動で再読み込み)対応などが行われているとのこと。拡張機能が応答しなくなる回数も15%削減されており、全体的な安定性向上が図られている。

ソフトウェア情報

「Python」Visual Studio Code拡張機能
【著作権者】
Microsoft
【対応OS】
(編集部にてWindows 10で動作確認)
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
2021.5.829140558(21/05/11)