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「Python 3.10」のベータ版が登場、「Python 3.8」系は最後のメンテナンスリリース

プログラミング言語「Python」の隔月アップデートが公開

「Python 3.9.5」が公開

 「Python 3.9.5」および「Python 3.8.10」が、5月3日に公開された。隔月で実施されているマイナーアップデートで、多くの不具合が修正されている。また、次期バージョン「Python 3.10」のベータ版も初めてお披露目されている。

 「Python 3.10」のベータ版は4回のリリースが予定されており、今回の「3.10.0b1」はその最初のものだ。match文を利用した構造的パターンマッチング(Structural Pattern Matching)をはじめとする新機能がテストされる。「3.10.0b4」以降はABIの変更は基本的に行われず、リリース候補(RC)版で細かい不具合の修正や安定性の向上が図られる予定。正式リリースは今年秋になる見込みだ。

match文で条件分岐をスマートに記述できる構造的パターンマッチング

 なお、「Python 3.10」のベータ移行に伴い、2022年リリース予定の「Python 3.11」を開発するためのリポジトリが新設されたが、このリポジトリでは「master」ブランチの名前が「main」に変更されているとのこと。昨今のBlack Lives Matter(BLM)運動の盛り上がりを受け、ソフトウェア業界でも奴隷制を連想させたり、差別的とみなされうる用語の置き換えようという声が高まっているが、紆余曲折の末、「Python」リポジトリでも「master」(主人、師匠、熟練者、原盤、制御する側)という語がより無難な「main」に置き換えられることになった。

 一方、「Python 3.8」シリーズは今回が最後のバグフィックスリリースとなる。バイナリの提供は終了し、ソースコードのみの提供となるので注意したい。

 「Python 3.8」シリーズはすでに安定しており、開発は落ち着いている。しかし、最近のバージョンには「macOS Big Sur」のサポートやApple Siliconビルドの追加といった比較的重要なアップデートも含まれている。

 「Python 3.9」のインストーラーは現在、公式サイト「python.org」から無償でダウンロード可能。Windows 10であれば「Microsoft Store」からも入手できる。システムにインストールされていなければ、「コマンド プロンプト」などで「python」と入力すれば「ストア」アプリが起動し、ダウンロード画面に案内される。

システムにインストールされていなければ、「コマンド プロンプト」などで「python」と入力すれば「ストア」アプリが起動し、ダウンロード画面に案内される

 次の「Python 3.9」メンテナンスリリースは「3.9.6」で、現在のところ6月28日が予定されている。