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ブログシステム「WordPress」が「SQLite」の正式サポートを模索

設置・運用コストの削減で比較的小規模なWebサイトへの普及を狙う

「wordpress.org」におけるアナウンス

 ブログシステム「WordPress」の開発チームは9月12日(日本時間)、「WordPress」で「SQLite」を正式にサポートする計画を発表した。すでに実績のある実装の1つをコアに取り込むことが検討されている。

 「WordPress」をWebサイトに設置して稼働させるには、「MySQL」「MariaDB」といったデータベースサーバーが必要となる。しかし、ホスティングサービスによってはこうしたデータベースが用意されていなかったり、追加の費用が必要になることがある。また、初心者にとっては管理が難しいのも難点だ。

 「SQLite」はその点、扱いが容易だ。サーバーではなくデータを単一のファイルに保存するライブラリ――「Google Chrome」や「Firefox」といったアプリでも用いられている――なので、セットアップや運用に悩まされることはない。データベースサーバーが不要な「ポータブル」な構成なので、サーバーの引っ越しも比較的手軽に行える。

 これまでもプラグインなどを使えば「WordPress」で「SQLite」を利用することはできたが、「WordPress」コアに実装が組み込まれ、開発チームによるテストも行われるのは安心感が違う。「MySQL」「MariaDB」に比べると低機能で、高負荷での耐性に不安があるが、そこまでの性能が不要な場合には適している。

 加えて、データベースサーバー代が不要でホスティングコストを削減できる点も魅力。ローエンド市場で「WordPress」のさらなる普及が見込めるだろう。開発チームは「出版の民主化」「エネルギー消費の削減によるサステナビリティ」といった「WordPress」の使命にもかなう改善だとしている。

 なお、「SQLite」ベースの「WordPress」は複数人による同時編集にはあまり向いていないようだ。保存処理を並列して行うことができないため、若干の待機時間が生じてしまう。また、「MySQL」「MariaDB」からの移行ツールはコアに含まれておらず、プラグインに頼る必要がある。「SQLite」の採用はブログを新設する際に行うのが無難だろう。