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Windows Subsystem for Android、両OS間のファイル受け渡しを容易にする新機能
2023年6月更新がすべてのWindows Insiderに
2023年6月13日 09:00
米Microsoftは6月12日(現地時間)、「Windows Subsystem for Android」の2023年6月アップデート(v2305.40000.4.0)を発表した。まずは「Windows 11 Insider Preview」プログラムの各チャネルで展開される。
「Windows Subsystem for Android」(WSA)は、Windows 11環境で「Amazon アプリストア」のAndroidアプリ・ゲームをインストール・実行できるようにする仕組み。「Amazonアプリストア」をセットアップする際にインストールされ、実行したAndroidアプリはWindowsアプリと同様、独立したウィンドウをもち、自由にリサイズやスナップが行える。キーボード操作をゲームパッドへ変換するといった互換性(Shim)機能なども担う。
今回のアップデートでは、ファイル共有(file sharing)を試験的にサポート。Windows環境とAndroid環境との間でシームレスにファイルをやり取りできるようになった。具体的には、Windows環境のユーザープロファイルフォルダー(C:¥Users¥<ユーザー名>)がAndroid環境のSDカードファイルシステム(/sdcard/Windows)にマッピングされ、双方からアクセスできるようになる。
プライバシー保護とセキュリティ維持のため、Androidアプリが共有ファイルを表示・編集する際は、許可を求めるシステムダイアログが表示される。許可の取り消しは、アプリの設定からいつでも行える。加えて、「Amazon アプリストア」からインストールしたか、開発者ツールでインストールしたかにかかわらず、すべてのアプリはウイルス対策ソフトでスキャンされる。
加えて、以下の制限が加えられる。
- 「WSA」からアクセスできるのは、ユーザープロファイルフォルダーのみ。他のディスク領域や外付けドライブなどにはアクセスできない
- Windows環境から利用できるのは、「WSA」が「/sdcard/Windows」に保存したファイルのみ。他のフォルダーのファイルを開く際は、オプションのWindows領域でコピーして開く処理が提供される
- Windows/Androidの隠しファイル・フォルダー(ドットから始まるフォルダーも含む)は共有の対象外
- 実行可能なファイルタイプ(*.exe)などはセキュリティ保護のため共有の対象外。ブロックされたファイルタイプを「/sdcard/Windows」に保存しようとしても失敗する
- 「OneDrive」などのクラウドストレージのファイルは、デバイスに実体がダウンロードされていなければならない。「エクスプローラー」であらかじめ開いてダウンロード済みの状態にするか、[このデバイス上に常に保持する]オプションなどを利用する必要がある
- Androidアプリが共有ファイルへアクセスする際、ファイルにはインデックスが作成されている必要がある。インデックスの作成は最近使用したファイルが優先されるため、「エクスプローラー」であらかじめ開いておくとよい
なお、ファイルの共有が無効でも、WindowsのファイルをAndroidアプリにドラッグ&ドロップすればファイルの受け渡しが可能。Androidアプリがサポートしていれば、Windowsのクリップボードにコピーされたファイルを張り付けて共有することもできる(この場合は読み取りのみ、書き込み不可)。
そのほかにも、以下の改善が施されている。
- 設定アプリを再設計し、インストール済みAndroidアプリのリストアップなどに対応。名前は単なる「Windows Subsystem for Android」(Android 用 Windows サブシステム)に
- マニフェストに「android.hardware.type.pc」を指定したアプリが、生の入力イベントの受信を選択できるように
- Wi-Fi APIの互換性を改善
- カメラハードウェアの互換性を改善
- Linuxカーネルのセキュリティアップデートを実施
- 「Chromium WebView」をv113に更新
- 「Android 13」のセキュリティアップデートを適用