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デジタル庁が公開している『ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック』がお勧めらしい

「電車内で動画を見たいのにイヤホンを忘れた」ときにも役立つみんなのためのデザイン

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デジタル庁が公開している『ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック』

 デジタル庁が公開している『ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック』という文書がおすすめなのだそうで、ちょっと読んでみました。

 ドキュメントはPDF形式で、ファイルサイズは13MBほど。計56ページあります。「デジタル庁は2021年9月に発足しましたが、発足準備の段階からウェブアクセシビリティの専門家チームを組み、デジタル庁の情報発信やサービス開発におけるウェブアクセシビリティの達成に取り組んできました」とのことで、その過程で得られた知見がまとまっているようです。執筆時現在の最終改訂日は2023年5月12日で、もちろん無料。

 「アクセシビリティ」と聞くとちょっと難しそうですが、つまりは「どんな状況でもコンテンツをちゃんと利用できるかどうか」ということです。

「アクセシビリティ」とは?

 よく言われるのが「身体にハンディキャップのあるユーザーでもコンテンツを利用できること」で、色が見分けられない人にも情報が伝わるように、色分けに頼らない表現を心がけたり、目が見えない人が読み上げソフト(スクリーンリーダー)を使ってコンテンツへアクセスすることを考えて、画像にテキストで説明文を入れたりするといったことが挙げられます。

なんらかの身体的ハンディキャップを抱えた人は、思ったより多い

 でも、実はそれだけではありません。以下のようなケースも、アクセシビリティの対象です。

  • 電車内で動画を見たいのにイヤホンを忘れた
  • 眼鏡を忘れてきたので目が疲れやすい
  • 利き手を怪我してマウスが使えない

 「自分は障碍者じゃないから関係ないのでは」と思っていた方も、こういわれると身近なことに感じられるのではないのでしょうか。

 自分でブログサイトを運営している方で、なんとなく「面白そうなのでつけてみたい」「とりあえずこういうのがあれば便利なのでは」という理由だけで文字サイズ拡大ボタンやカラーテーマ変更ボタンを入れている人はいませんか? 凝ったデザインのスライド、時間をかけて一生懸命作ったのはわかりますが、白黒の端末で見たときもわかりやすいですか? プレゼン相手の上司が、実は色覚に異常を抱えているのを隠していたら?

 『ウェブアクセシビリティ導入ガイドブック』では具体的な事例を挙げながら、問題を「必須」(やらなければいけないこと)、「重大」(やったほうがよいこと)、「非推奨」(やらない方がいいこと)とラベリングしながら解決策を提示してくれています。そのため、ちょっと目を通すだけでもかなり勉強になります。規格への準拠や製品のテストといった項目はあまり一般ユーザーには関係ありませんが、そのあたりも知っておいて損はないでしょう。

具体的な事例を挙げながら解決策を提示
アクセシビリティ規格の話なんかはあまりエンドユーザーに関係なさそうですが、それでも知っておくといざというときに役に立つかも

 完璧なものを作るのは大変ですが、日頃のちょっとした注意や配慮で改善できることも少なくありません。最近のオーサリングソフトにはアクセシビリティチェックツールを搭載しているのも多いので、一般に公開する際は1回ツールにかけて、問題点をあぶりだしてみるのもよいでしょう。もちろん、本ドキュメントでも指摘されている通り、アクセシビリティチェックツールをパスしたからOKというものではありませんが、そうしたちょっとした配慮を忘れないようにしたいものです。