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Microsoft、「Windows App SDK 1.6」を公開 ~「Native AOT」対応で軽量・爆速に

「TabView」でタブのティアアウト(分離)もサポート

同社のリリース

 米Microsoftは3月31日(日本時間)、「Windows App SDK 1.6」をリリースした。本バージョンの目玉は、「Native AOT」のサポートだ。アプリの対応が進めば、大幅なパフォーマンス向上とフットプリントの削減が見込める。

 「Windows App SDK」(旧称:Project Reunion)は、Windowsデスクトップアプリケーションをターゲットとしたアプリ開発キット。「WinUI 3」や「WebView2」などを含んでおり、開発プラットフォーム(C++/.NET、Win32、WinForms、WPF、UWP)を問わず「Fluent Design」に基づいたモダンなデスクトップアプリのUIを設計できる。OSの新機能を古いバージョンでも利用できるようにする後方互換性にも注力されており、新規のアプリ開発はもちろん、古いアプリのUIをモダナイズしたり、最新機能の一部だけを取り込んだりといった用途にも利用可能。

 今回サポートされた「Native AOT」(Native Ahead-Of-Time)とは、中間言語(IL)コードをインタープリターで実行するのではなく、事前にネイティブコードへコンパイルしてしまう手法だ。起動時間が短縮され、メモリフットプリントが小さくなるという利点がある。同社が作成したサンプルカメラアプリでは、起動時間が50%に短縮。パッケージサイズもフレームワークを別にした場合で約1/8に、フレームワークを含む自己完結型モード場合で約1/2にまで削減できたという。

 加えて、「WebView2」のバージョン管理がデカップル(切り離し)された。ハードコードされたバージョンの「Edge WebView2 SDK」を組み込むのではなく、「NuGet」リファレンスとして利用するようになったため、依存関係が簡素化される。いつでも最新の「WebView2」が利用できるのもメリットといえるだろう。

 そのほかにも、新しいパッケージ展開APIを追加。「TabView」でタブのティアアウト(分離)がサポートされるなど、コントロールの強化・拡充も行われている。

「TabView」でタブのティアアウト(分離)がサポート

 「Windows App SDK」は「Visual Studio 2022」(推奨)または「Visual Studio 2019」に含まれており、.NETデスクトップ開発、C++によるデスクトップ開発、ユニバーサル Windows プラットフォーム開発の各ワークロードで利用できる。すでに利用している場合は、パッケージ管理システム「NuGet」でアップデートが可能だ。