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「Dart 3.8」「Flutter 3.32」が公開 ~「Android Studio」のGeminiからも一級市民扱い
「Dart」にはNull対応要素、「Flutter」はWebでフルホットリロードに実験対応
2025年5月23日 06:45
米Googleは5月20日(現地時間)、開発者向けカンファレンス「Google I/O 2025」で、「Dart 3.8」「Flutter 3.32」を発表した。
Dart 3.8
「Dart」は、Googleが主導で開発を進めているオープンソースのプログラミング言語。クロスプラットフォーム対応のUIツールキット「Flutter」の開発言語として根強い支持を集めている。
「Dart 3.8」では、「Dart 3.7」で導入された新しいフォーマッターの改善、Windows/macOS/Linux開発マシンからネイティブLinuxバイナリへコンパイルできる機能、Null対応要素、ドキュメントのインポート(@docImport)といった新要素が盛り込まれた。
Null対応要素(Null-aware elements)は、コレクション(リスト、セット、マップなど)へ追加する際に要素の先頭に「?」を付与することで「null」チェックを行えるようにしたシンタックスシュガーで、「if」文を減らして記述を平易にすることができる。
そのほかにも、パッケージサイト「pub.dev」のデザインを改善。ダウンロード数だけでなくコミュニティからの関心も加味した「トレンド パッケージ」セクションが設けられ、ユーザーに注目すべきパッケージを紹介するようになった。
Flutter 3.32
「Flutter」はWeb、デスクトップ、モバイルをカバーするクロスプラットフォームのアプリUIフレームワーク。最近ではiOSでの採用が増えているとのことで、調査によると新しい無料iOSアプリの約30%は「Flutter」で開発されているという。先日リリースされたスマートフォン向けの「NotebookLM」アプリも「Flutter」製だ。
「Flutter 3.32」では、Webでフルホットリロードが実験的にサポートされた。コードの変更を保存すると、それが即座にUIに反映されるので、デバッグが簡単になる。
そのほかにも、以下の改善が盛り込まれている。
- フレームワークの改良:「Material」ライブラリの整理、新しい「Expansible」ウィジェット、「RawMenuAnchor」の導入など、UI設計の柔軟性が向上
- iOS向けに「Squircles」を導入:「Cupertino」のデザイン改善の一環として、角丸の四角形「Squircles」がサポートされた
- アクセシビリティ強化:セマンティックロールの追加やWebフォーカスの改善など、支援技術との連携が向上
- テキスト入力の改良:iOSのテキスト選択メニューの改善や、テキストフィールドのカスタマイズ性向上
- デスクトップサポートの拡張:「Canonical」による複数ウィンドウ対応が進み、WindowsとmacOSでのUIとプラットフォームスレッド統合が可能に
- Androidの最適化:「Gradle」ツールの「Kotlin」化、スタイラス入力対応、「Impeller」レンダリングの最適化などを実施
- 「Firebase AI Logic」の導入:「Gemini AI」との統合を強化し、「Flutter」アプリにAI機能を簡単に追加できるように
- 「Flutter DevTools」の改善:プロパティエディターの追加、ネットワークツールのオフラインサポートなど開発者体験の向上
「Android Studio」の「Gemini」でファーストクラスサポート
「Google I/O 2025」では、「Android Studio」のコーディング支援AI「Gemini」で「Dart」と「Flutter」を用いた開発がファーストクラスサポート(first-class support)された。つまり、「Java」や「Kotlin」と同等の扱いを受けるようになる。「Gemini」は「Dart」構文を認識し、「Flutter」のウィジェットとレイアウトを理解し、簡単なプロンプトでアプリを生成したり、レイアウトエラーを修正したり、ウィジェットの使い方を説明してもらったり、既存のコードを読みやすく書き直してもらったり、ユニットテストやウィジェットテストを作成してもらったりできる。
「Gemini」による開発支援は、最新版「Android Studio」で利用可能だ。「Flutter」プロジェクトを開いて、ツールバーの「Gemini」アイコンをクリックし、案内に従って有効化すれば、チャットなどが利用できるようになる。エンタープライズグレードのプライバシーとセキュリティを備えた企業向けのライセンスも利用可能だ。