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商用可能な画像生成AI「Adobe Firefly Image Model 5」が発表、テキストプロンプトで画像編集が可能に

動画領域にはサウンドトラックやナレーションを生成できる編集ツールを追加

Adobe Fireflyの画像生成AIが「Adobe Firefly Image Model 5」にアップデート

 米Adobeは10月28日(日本時間)、同社の生成AI「Adobe Firefly」の機能アップデートを発表した。画像生成では、最新モデル「Adobe Firefly Image Model 5」を追加し、テキストプロンプトによる画像編集に対応。また、新機能として「サウンドトラックを生成」および「音声を生成」「動画を編集」といった動画編集ツールも追加する。

刷新された「Adobe Firefly」Web版のホーム画面
[新機能]ボタンからAdobe Firefly Web版で提供されているさまざまな機能にアクセスできる

最新「Adobe Firefly Image Model 5」発表、テキストで画像編集が可能に

 Adobe Fireflyモデルに、新たに商用利用可能な「Adobe Firefly Image Model 5」が追加。画質の向上(アップスケーリングなしでネイティブ4MP解像度を生成可能)はもちろんのこと、ユーザーによるコントロール性が向上している点が特徴で、新たにテキストプロンプトで画像を編集ができる「プロンプトで編集」(「画像を編集」)ツールが利用可能になる。

「Adobe Firefly Image Model 5」が追加、パートナーモデルとして「Gemini 2.5 Flash Image(Nano Banana)」も選択可能に

 Adobe Fireflyの画像生成では、生成された画像を編集したいと思っても、これまではプロンプトを打ち直してすべてイチから作り直したり、特定の部分が不要なら「生成塗りつぶし」などの機能を別途利用する必要があった。今回のアップデートにより、他社モデルでもすでに実装されているような、プロンプト指示による画像編集がAdobe Fireflyでも可能になる。

 新たに追加される「プロンプトで編集」ツールでは「テキストから画像生成」のようなツールへの指示と同様の方法で、新規に画像を生成。編集したいところがあれば、その生成画像をベースに、そのまま自分の言葉で画像編集の意図を指示できる。これは既存の写真・画像をアップロードして編集することも可能。よりユーザーが求める画像を直接的に生成しやすくなった。

「プロンプトで編集」の操作画面

 なお、Adobe Fireflyの「プロンプトで編集」機能は、本日よりAdobe Fireflyユーザー向けに一般提供を開始。Firefly Image Model 5に加え、GoogleやOpenAIのパートナーモデルで利用可能となる。ただし、Firefly Image Model 5は、現時点ではベータ版(プレビュー版)として提供される。

新機能「サウンドトラックを生成」「音声を生成」

 Adobe Fireflyの新機能であるスタジオ品質の音声・動画ツールには、完全ライセンス取得済みのオーディオトラックを作成する「サウンドトラックを生成」、クリアなナレーションを生成する「音声を生成」、そしてタイムラインベースの「動画を編集」が含まれる。

 これらのAIクリエイティブツールが新たに追加されたことにより、クリエイターは画像・動画・音声の全領域でプロ品質のコンテンツを生成・編集・強化可能。一連の必要な作業はすべてAdobe Firefly内で直接行なえるようになる。

 なお、各新機能はすべてベータ版としての位置づけ。詳細は下記の通り。

  • サウンドトラックを生成(ベータ)
    アドビの商用利用可能な「Adobe Firefly Audio Model」を搭載した音楽生成AIツールで、インストゥルメンタルトラック(完全ライセンス取得済み、スタジオ品質)を作成可能。プロンプト指示による生成が可能だが、自由にテキスト入力ができるものではなく、「雰囲気」「スタイル」「目的」の項目からプリセットのキーワードを選択して生成する。最大300秒まで生成可能で、秒数に応じて必要な生成クレジットの値が変わる。また、動画ファイルを直接アップロードしてFireflyに最適なプロンプトを作ってもらうことも可能。生成されたサウンドトラックは、サウンドトラックのみをダウンロードするか、トラックを組み合わせた動画ファイルをダウンロードするか、を選択できる
    「サウンドトラックを生成」の操作画面
    「雰囲気」「スタイル」「目的」の項目からプリセットのキーワードを選択して生成
  • 音声を生成(ベータ)
    クリアなナレーションを作成するテキスト読み上げツール。「Firefly Speech Model」と「ElevenLabs」から音声を選択できる。セリフやテキストを入力すると、プリセットのナレーターが読み上げてくれる。日本語も選択可能。感情、ペース、強弱、ポーズ(間)を微調整することで自然で表情豊かな発話を実現する
    「音声を生成」の操作画面
  • 動画を編集(ベータ)
    クリップの生成、整理、トリミング、シーケンス操作を高速かつ直感的に行なえるWebベースのマルチトラック型タイムラインエディター。Adobe Fireflyで作成した全コンテンツを表示する「生成履歴」パネルからクリップを追加できるほか、新規クリップをエディター内で生成し、タイムライン上で直接開始フレームと終了フレームを作成することもできる。また、手持ちのメディアをアップロードすることで、キャプチャーしたコンテンツと生成コンテンツを1カ所で組み合わせることも可能なほか、フレーム単位の精密な編集や、組み込みの文字起こし機能によるテキストベースの迅速な編集もできる

 なお、Adobe Fireflyの「サウンドトラックを生成」および「音声を生成」は本日より利用可能。「動画を編集」については来月12月よりベータ版の提供を開始予定で、早期アクセス版のウェイティングリストへの登録を受け付けている。

Adobe Fireflyアプリ内で直接選択できる「Fireflyカスタムモデル」

 「Fireflyカスタムモデル」では「テキストから画像生成」機能を使用して画像バリエーションを生成できる。エンタープライズ版のユーザー向けに最初に導入された機能がクリエイターにも提供される(現在ベータ版への早期アクセスのウェイティングリスト登録を受付中)。

 このモデルでは、クリエイターが独自のAIモデルを簡単にパーソナライズし、独自のスタイルで視覚的に一貫性のある一連のアセットを生成できる。パーソナライズは画像をドラッグ&ドロップするだけの簡単な操作で可能。カスタムモデルはFireflyアプリまたは「Firefly ボード」からアクセスできるが、デフォルトで非公開となっており、他のユーザーが利用するには作成者による承認が必要となる。