いまさら聞けないExcelの使い方講座
【Excel効率化】残業時間を30分短く!エクセルの置換機能を使った時短テク3選
2017年10月25日 06:55
Excel(エクセル)は、仕事や普段の生活で使う機会の多い、最も身近なアプリケーションのひとつです。しかし、「イマイチよくわからないまま使っている」「実は少し苦手……」という人も多いのではないでしょうか? この連載では、いまさら人に聞けないけど、知っていれば必ず役に立つ、Excelを使いこなすためのノウハウを紹介します。
置換機能を使って作業を効率アップしよう
大量のデータが入力されたExcelファイルから、目的の単語や文字などを探したい時、検索の機能を使いますよね。検索する際におなじみの[検索と置換]ダイアログボックスですが、「置換」の機能は使いこなしているでしょうか。
「置換」の一般的な機能は、検索条件に一致する単語や文字などを別の文字や単語などに置き換えることです。文字の置き換えを、シート全体に対して一気にできるので、とても効率的ですよね。さらに使い方を少し工夫すれば、文字の置き換えだけではなく、削除や書式の変更も一括でできることを知っていますか。
今回は、Excelの置換機能を使って、手動で行うと面倒な作業を一括で片づけるテクニック3つを解説します。
テクニック1:表記統一をする
「『コンピュータ』か『コンピューター』か?」「『プリンタ』か『プリンター』か?」など、カタカナ用語の末尾に長音を付けるかどうか、判断に困った経験のある人は多いのではないでしょうか。どのような表記で記載するかなどのルールは、皆さんがいる業界の慣習や、上司や顧客の好みによって異なることがあると思います。「うちの上司はどっち派だったっけ……?」などと迷っている時でも、置換機能の使い方を覚えておけば、とりあえずどちらかのルールで記載しておいて、あとでまとめて変換するということができます。
受講者名簿に記載されている「コンピュータ」という用語を「コンピューター」に置換する例を考えてみます。現在の名簿には、「コンピュータ」という表記が3カ所ありますね(①)。これをすべて「コンピューター」という長音付きの表記にしてみましょう。
まずは、[検索と選択]ダイアログボックスを表示します。[ホーム]タブ(②)の[検索と選択](③)をクリックして表示されるメニューから[置換](④)を選択するか、[Ctrl]+[H]キーを押します。
[検索と置換]ダイアログボックスが表示されるので、[検索する文字列]に「コンピュータ」(⑤)と入力し、[置換後の文字列]に「コンピューター」(⑥)と入力します。[すべて置換](⑦)をクリックして、文字列を置換します。
[すべて置換]をクリックすると、一気に文字列を置換できて便利ですが、場合によっては、意図しない文字列まで置換されてしまうことがあります。1件ずつ確認しながら処理する場合は、[置換]をクリックしてください。この記事では今後も[すべて置換]で一気に置換していきます。
処理が終わった旨を表すダイアログボックスが表示されます。想定どおり、3件のデータが置換された(⑧)ことを確認し、[OK](⑨)をクリックして「受講者名簿」に戻ります。
3カ所あった「コンピュータ」という用語が「コンピューター」に置き換えられました(⑩)。
何十件ものデータを書き換えなければならないような場合、手動でひとつひとつ修正していると途方もない時間がかかってしまいます。でも、これなら一瞬で完了できますね。
テクニック2:特定の文字列を削除する
置換の機能を応用して、不要な文字列を一括で削除することもできます。受講者名簿の住所の欄に入力されている「東京都」や「神奈川県」という都道府県名の部分が不要だとして削除する例(①)を考えてみます。
テクニック1で説明したとおり、[ホーム]タブ→[検索と選択]→[置換]をクリックするか、[Ctrl]+[H]キーを押して[検索と置換]ダイアログボックスを表示します。[検索する文字列]に「東京都」(②)と入力します。[置換後の文字列]には何も入力しません(③)。何も入力しないということは空欄ですよね。空欄と置換するということは、結果的に削除したことと同じになります。
[すべて置換](④)をクリックして、文字列を置換します。
置換後のメッセージを確認して、[OK](⑤)をクリックします。
置換されたデータはあとで確認するとして、続けて「神奈川県」と「埼玉県」も削除してしまいましょう。ここでは「ワイルドカード」という記号を使って「神奈川県」と「埼玉県」を一気に削除します。
ワイルドカードとは、検索や置換などで使う特別な記号で、任意の1文字を示す「?」と、0~複数の文字を示す「*(アスタリスク)」があります。ワイルドカードの「*」を使って置換をすると、「神奈川県」や「埼玉県」のように「県」という共通の文字が含まれる文字列を、1回の操作でまとめて削除することができます。
[検索と置換]ダイアログボックスの[検索する文字列]に「*県」(⑥)と入力します。「*(アスタリスク)」は必ず半角で入力してください。
アスタリスクは、「すべての文字」を指すワイルドカードです。検索する文字列に「*県」と入力した場合、「神奈川県」や「埼玉県」のように、「県」が含まれる文字列をすべて検索するという意味になります。
[置換後の文字列]には何も入力せずに(⑦)、[すべてを置換](⑧)をクリックします。
置換後のメッセージを確認して、[OK](⑨)をクリックします。
「受講者名簿」に戻ってみましょう。住所の欄から、都道府県名の部分(「東京都」「神奈川県」「埼玉県」)が削除されました(⑩)。
「置換の機能を使って削除する」というアイディアは、思いつきにくいかもしれませんが、さまざまなケースに応用できてとても便利ですよ。
テクニック3:空欄に色を塗る
置換の対象は文字列だけではありません。この機能を応用して、一括で書式を置換することもできます。
有給休暇申請一覧の例を使って、E列の空白のセル(①)を、「該当なし」を意味するグレーで塗りつぶしてみましょう。
まず、色を付ける対象のセル範囲E3:E11を選択した状態で、[検索と置換]ダイアログボックスを表示します。[オプション](②)をクリックすると、書式などのオプションを指定できるエリア(③)が表示されます。
空白のセルを検索したいので、[検索する文字列]には何も入力しません(④)。[置換後の文字列]の[書式]をクリックして表示されるメニューから[書式](⑤)を選択します。
[書式の変換]ダイアログボックスが表示されるので、好みの色(⑥)を選択して、[OK](⑦)をクリックします。
書式のプレビュー(⑧)が表示されるので確認します。[すべて置換](⑨)をクリックして置換を実行します。
有給休暇申請一覧に戻って、結果を確認してみましょう。空白だったセルの色がグレーになりました(⑩)。
このほかにも、「グレーのセルをピンクにしたい」「特定の文字列だけ太字にしたい」などという時にも応用できますよ。
アイディア次第!仕事の効率をアップしよう
今回は、Excelの置換機能を使って、手動で行うと面倒な作業を一括で片づけるテクニック3つを紹介しました。
置換機能を使ったテクニックはWordでも応用できます。ワイルドカードを含めて使いこなせるようになると、利用の幅が広がり作業効率もぐんとアップします。
ただし、慌てて「すべて置換」を実行してしまうと、意図しない箇所まで変更されてしまう恐れがあります。処理は慎重に行うか、必ず予備のコピーを用意しておいてくださいね。
面倒な仕事はExcelの置換機能に任せて残業を切り上げ、自宅でゆっくり休息しましょう!