#モリトーク

「M+ FONTS」とその仲間たち

(12/04/03)

「M+ FONTS」「M+ FONTS」

 窓の杜では先月、「M+ FONTS」の派生フォントを3つほど紹介したが、そもそも「M+ FONTS」とはいったいどんなフォントなのか、ここで改めて取り上げよう。その最大の特長は自由度の高いライセンスにあり、個人・団体を問わずに無償で利用できる上、商用・再配布・改変も許されている。それに加えて字体の品質も折り紙つきで、ウエイトのバリエーションが豊富に用意されている点も魅力のひとつだ。

 逆に「M+ FONTS」の欠点は、収録漢字が今日現在で3,800文字であること。教育・常用漢字は揃っているものの、JIS第一・第二水準漢字には届いていない。そのため、手紙やチラシでの利用なら、言葉を選ぶことで漢字の不足はカバーできるが、一般文書には向かないのが現状だ。ただし、JIS第一・第二水準漢字の完全収録を目指して、ほぼ毎日のように文字が追加されており、定期的にバージョンアップしている。

 このように、改変・再配布が自由という長所と、収録文字が十分ではないという短所に目をつければ、派生フォントが制作されることは自然の流れ。また、「M+ FONTS」をベースにした派生フォントはそのライセンスとコンセプトも引き継ぐ傾向があるため、オープンなフォントを制作したい作者だけでなく、それを使いたいユーザーにとってもメリットが大きく、こうして派生フォントが誕生しているというわけだ。

 ところで、ライセンスが自由なフォントといえば、「IPAフォント」を思い浮かべる人も多いだろう。「IPAフォント」は漢字が揃っていて、欠点らしい欠点もないが、デザインとしてのおもしろみにやや欠ける。そこで「MigMix」や「やさしさゴシック」は、「M+ FONTS」をデザインのベースとして採用しつつ、「IPAフォント」を素材として活用している。

(中井 浩晶)