#モリトーク

第80話

開発版のススメ Firefox編

 窓の杜では、正式版のオンラインソフトだけでなく、そのベータ版やアルファ版も積極的に紹介している。では、実際にそれをインストールする正式版のユーザーはどれくらいいるだろうか。あくまで筆者の推測だが、それほど多くないと考えている。ベータ版やアルファ版は多くのユーザーにとって、将来の新機能を知るための情報に過ぎず、実際に試すためのソフトではないのかもしれないと。

 だからこそ、窓の杜がそれをレビューする意味は高まるものの、ベータ版やアルファ版はオンラインソフトの醍醐味でもあり、それではもったいないだろう。もちろん、ベータ版やアルファ版のインストールが正式版への上書きでのみ認められるタイプのオンラインソフトも存在するため、そのすべてが手軽に試せるわけではない。

「Opera 18 Next」

 たとえば先週の第79話でも取り上げたように、「Opera」の正式版と開発版は手軽に併用することができる。「Opera」は現在、全面的にリニューアルしているところなので、それをサブのWebブラウザーとして利用しているユーザー、もしくは少し試してみたいと考えているユーザーなら、正式版ではなくベータ版の「Opera Next」を選んでもよいくらいだ。

 また、ちょっとした知識さえあれば「Firefox」の開発版も試すには最適なため、正式版がすでに存在する環境へ開発版をインストールする手順を紹介したい。

インストール直後の自動起動をOFFに

 まず、「Firefox」の開発版が正式版を上書きしないように、“Mozilla Firefox Beta”といった別のフォルダへ開発版をインストールする。それに加えて、インストール直後に開発版が起動しないように、そのオプションをOFFにする必要がある。というのも、「Firefox」の正式版と開発版を併用する場合、ユーザープロファイルをそれぞれで切り替えたほうが好ましく、そのまま起動すると同一のユーザープロファイルを共有してしまうからだ。

 次に、正式版と開発版のショートカットファイルを作成した上で、各ショートカットファイルのプロパティを開き、“-p”という起動オプションを下記のように付け加える。すると、ユーザープロファイルを作成・変更するための管理画面が「Firefox」を起動するたびに表示されるので、たとえば「Firefox Beta」を利用するなら“Beta”、「Firefox Aurora」なら“Aurora”といった名前のユーザープロファイルを作成・選択すればよい。正式版のユーザープロファイルは通常、“default”という名前を使用している。

"C:\Program Files\Mozilla Firefox Beta\firefox.exe" -p
ショートカットファイルに起動オプションを書き足す
「Firefox」のユーザープロファイル管理画面

 このようにいったんユーザープロファイルを作成してしまえば、下記のように起動オプションを追記することで、管理画面をスキップした状態でそれぞれの「Firefox」を起動することもできる。むしろ、ユーザープロファイルの選択を間違えないためにも、下記のような起動オプションを利用したほうがよい。

"C:\Program Files\Mozilla Firefox Beta\firefox.exe" -p Beta

 なお、「Firefox」の正式版をOS既定のWebブラウザーとして利用しつつ、その開発版を多重起動したい場合には、“-no-remote”という起動オプションをさらに追加する必要がある。また、いずれの場合においても、ユーザープロファイルの管理画面にあるオプション[今後このプロファイルを使用する]はOFFにしておこう。

"C:\Program Files\Mozilla Firefox Beta\firefox.exe" -no-remote -p Beta

(中井 浩晶)