高橋忍のにゃんともWindows
Windows 10Xのエミュレーターで遊んでみました ~2画面向けOSとMicrosoftの目指すもの
2020年2月21日 19:06
さて、先日Windows 10Xのエミュレーター環境が公開されたのでちょっと遊んでみました。
なかなか面白いですが、これまでのWindows 10の遍歴と照らし合わせてみると色々想像できて楽しいです。
Windows 10Xエミュレーター環境
Windows 10Xのエミュレーター環境はすべてWindows 10の仮想環境技術Hyper-Vを使っています。Hyper-VはWindows 10の上で仮想環境を作って、他のOSを動かす技術ですが、Windows Emulator は簡単に言うと、Windows 10上で、他のバージョンのWindows 10を動かす技術です。Hyper-VはWindows 10 Proに入っている機能ですので、Proが必用です。
もう一つ、Windows EmulatorでWindows 10Xを動かすには同じバージョンのWindows 10上で動かさないといけないです。ベースとなっているWindows 10のコアを使っているんですね。そのためWindows Insider Programに参加して最新版のベータ版のWindows 10を入れないといけません。
アプリはすべてMicrosoft Storeからダウンロードします。まずは、「Microsoft Emulator」をインストールしましょう。
それから本体である、Windows 10Xのエミュレーションイメージ(「Windows 10X Emulator Image」)です。これは「Microsoft Emulator」のアドオンという扱いですね。
2つを入れたら準備OK。いや、ホント簡単に環境が作れるようになったなぁ。ちなみにマシンパワーは結構必用です。そりゃPC1つの上で2つのOSを動かすんですからね。
Windows 10XとSurface NEO的な
この「Microsoft Emulator」は昔からあるアプリです。多分Windows Phoneの頃からだと思います。開発者が実行テストをする際にいちいち実機がなくても検証ができるように用意されたもので、Microsoftのアプリ開発環境である、「Visual Studio」でWindows PhoneやWindows 8/10の開発環境についてきたものと同じです。Windows 8/10ではエミュレーターは必用なさそうですが、タッチパネルがない環境でもタッチパネルのテストをするためなど、主にハードウェアのエミュレーションを使います。なので、このWindows 10Xのエミュレーターにもハードウェアエミュレーションがあります。
こんな風に、Windows 10Xに対応した、デュアルスクリーンデバイスを操作している時の状態をエミュレーションすることができます。デバイスの状態によってアプリがきちんと動作するのか確認できるわけです。
OSはホロレンズやWindows Phoneライク
エクスプローラーはあっても中身を見られるのは、自分のフォルダーのみ。アプリのアイコンはランチャーかタスクバーにしか置けない。など、Windows 10と言ってもPC用のWindowsというよりも、HoloLensやWindows PhoneのWindows 10に似ています。
ある意味別OSなので、エミュレーターの中にファイルを簡単に渡したりすることが難しいですが、“Windows Device Portal”という、Windows 10の状態をWebブラウザーを通じて確認したり、操作したりする機能が使えるので、こちらを使うと色々操作ができます。リセットするときとか、“Windows Device Portal”を知らないとけっこう大変かも。
アプリは基本ストアから、Win32アプリもインストール可能
さて、そもそもアプリをインストールするのが大変。基本的にはiPadなどを使うのと同じ感覚でMicrosoft Storeからダウンロードしてインストールすることになるでしょう。
ただ、Win32と言われる、いわゆる昔からあるWindowsのアプリケーションをインストールすることもできます。「Google Chrome」もちゃんとインストールできましたし、勿論、新しい「Edge」もOKです。いまは「iTunes」など多くのWin32アプリもUWP(Windows 10専用のストアで公開されているアプリ)としてパッケージされ、Microsoft Storeで公開されているので、ゆくゆくは皆ストアからダウンロードすることになるでしょうね。
アプリは2画面、片面、1/2画面、ただし2画面利用は限定
予想したとおりアプリにはウィンドウ状態で開くモードは基本的に無いようです。アプリは1画面の全面表示か、1画面の上下表示が基本のようです。これはWindows 10のPCが持っている、Aero Snapと同じですね。挙動を見る限りAero Snapをそのまま使っている感じです。
また、2画面使って1つのアプリを表示できるのはネイティブのUWPアプリのみのようです。
アプリのウィンドウをヒンジ近くの上の辺付近にドラッグすると、2画面表示ができます。標準搭載の「Edge」や設定、「File Explorer」そしてストアからダウンロードした「Facebook」はできましたが、「Google Chrome」や後からインストールしたアプリではできなかったです。
ただし、Win32アプリには、ウィンドウサイズを変えられないものも有り、そういったアプリが動作する時はウィンドウ表示のような挙動になります。この際はWin32アプリだけが同時起動している状態になります。ただ、自由にウィンドウサイズを変更できるわけでもなく、この挙動が正式な動きかどうかはわかりません。
もしこれに近い動きが、正式だとしたら多分使いづらいです。ですからやっぱりアプリはUWPアプリをストアからダウンロードして使うことになりそうです。
Windows 10Xは、初めてのタブレット用Windows
かつてWindowsタブレットは、PC用のOSであるWindows 10 Desktopが動いていました。Windows 10 Desktopはタッチでも操作できるようなハイブリッドUI機能を持っていますが、やはり基本的にはキーボードとマウス・タッチパッドで動作することを前提としたOSです。タブレットですべてタッチ操作するにはかなりストレスを感じます。
ここが、iPadやAndroidタブレットと比べて操作的に大きく劣る点でした。
Windows 10Xはデュアルスクリーン用のOSですが、タッチ操作を前提としたWindows Phoneに近いOSはであり、iPadのようにタッチ操作を軸にキーボードやマウスも使える、というOS設計になっています。これは今までWindows 10には有りませんでした。7番目にしてタブレット用Windows 10がようやく登場したのです。
- Windows 10 Desktop(PC用)
- Windows 10 Mobile(Windows Phone用)※没
- Windows 10 Teams(Surface Hub用)
- Windows 10 IoT(組み込みデバイス用)
- Windows 10 XBOX(XOB One用)
- Windows 10 Holographic(HoloLens用)
- Windows 10X(デュアルスクリーン タブレット用)
何故今またタブレットなのか?
なぜ今、タブレット用のWindowsなのか? これはMicrosoftが推し進めているクラウドコンピューティングの世界において、使用されるデバイスは、ウェアラブルデバイスであったり、専用の組み込みデバイスであったり、そしてタブレットだったりするからでしょう。PCは、アプリやものをつくるための、ハイエンドクリエイターのためのツールにまた回帰します。いや、もうしています。
すでに“Azure Sphere”というIoTプラットフォームをリリースし、ウェアラブルの世界では、HoloLens 2は他のデバイスを大きく引き離した機能を持っています。そしてより多くの情報をフレキシブルに取得できるデバイスとして、Windows 10Xをリリースするのでしょう。多分来年のカンファレンスではWindows 10Xデバイスを使ったソリューションデモができるでしょうし、HoloLens用のアプリ「Microsoft Remote Assist」のWindows 10X対応版も出てくるでしょう。
デジタルツインとエッジコンピューティングのストーリーにおいて、エッジデバイスでも、Microsoftプラットフォームが動けば、Microsoftが実現したいことがよりやりやすくなりますからね。
にゃんとも: 遠隔管理したい
最近、うちのにゃんずは肥満気味です。健康診断に言ったらコレステロールと、脂肪がちょっと多いかもと、飼い主と同じことを言われました。ただコントロールが大変です。タブレットでリモート監視したいなぁ。