杜のVR部

第29回

インストの曲に合わせてリズミカルに変化していくミュージックビデオ「Surge」

音楽と体験が一致し、曲を“感じる”心地良さ

 世界観に没入させるVRは、数分間という短い時間で世界観を伝え、メッセージを発する音楽と相性がいい。

 これまでもCGキャラクターがダンスミュージックに合わせて踊る「[NUREN] The New Renaissance」や「ユニティちゃんライブステージ! -Candy Rock Star-」などを本連載で紹介してきた。他にも、スマホ用のVRデバイス“ハコスコ”で楽しめる「初音ミクVR Special LIVE」なども公開されている。

 また、アーティストのすぐ近くで撮影した実写の360度映像をVRコンテンツ化したものも多い。ポール・マッカートニーのライブを収録した「Paul McCartney」はOculus RiftやGoogle Cardboad、そしてGear VRでも体験できる。また、アイスランド出身の歌手ビョークは、360度映像と3Dサウンドにより、アイスランドの大自然の中で楽曲を楽しめるコンテンツを制作した。

 これらはほんの一例だ。VRを音楽で活用しようという試みは多く見られ、今後も増えていくものと思われる。

 今回紹介するOculus Rift向けソフト「Surge」は、歌が入っていないインストの曲に合わせてCG映像が流れるVRコンテンツだ。

曲に合わせてリズミカルに動くCG

 この「Surge」を体験して感じるのは、音楽とCGの動きが一致するある種の心地良さだ。これまでの音楽をテーマにしたVRコンテンツよりも、音楽と動きの一致へのこだわりが見られる。

 イントロは、単音が奏でられ、非常に穏やかで幻想的な入り方だ。夕暮れのような赤系統の色彩の中、音とともに光が点滅している。

光の点滅はイントロに合わせて動く

 その後、曲が盛り上がりながら、映像は夜明けのように明るくなっていく。床のブロックが人のような形になったりして動くのだが、その動きも曲のリズムと一致しているなど、曲の盛り上がりと目の前の映像の盛り上がりが連動している。

床のブロックがもこもこと動き出す
光とブロックの連動した動き
クライマックスでは、ブロックの巨人が現れゆっくりと歩く。リズムに合っているというよりは、クライマックスの雰囲気にふさわしい圧倒的な存在感だ

 本来、音楽は耳で聴き、楽しむものだ。しかし曲と体験が一致すると、さらに心地よい。ふと気付くと、曲に合わせて自然と身体を動かしたり、口ずさんでいる自分がいる。Haddawayの名曲『What is Love』に合わせて首を振るOculus Rift向けゲーム「A Night at the Roculus」は、リズムに合わせて首を振るという、曲と体験が一致するものだった。

 ライブで大人数が同時にひとつの音楽に耳を震わせることで一体感・高揚感が生まれるように、耳以外の感覚と合わさることによって、音楽の楽しさは増していく。この「Surge」は、VRの中で体験として音楽を”感じる”ことができるオススメのコンテンツだ。

ソフトウェア情報

「Surge」
【著作権者】
ArjanM
【対応OS】
Windows
【対応ハードウェア】
Oculus Rift DK1/DK2
【ソフト種別】
フリーソフト
【バージョン】
1.1

評価PCスペック(参考)

マウスコンピューター G-Tune NEXTGEAR-NOTE i790SA1
【CPU】
Core i7-4700MQ 2.40GHz
【メモリ】
16GB(増設)
【グラフィックボード】
GeForce GTX870M
【fps】
75fps
【ヘッドホン】
Creative Sound Blaster EVO Zx

(もぐらゲームス:すんくぼ)