どれ使う?プログラミング教育ツール

iRobotのルンバ似? 「Root」は磁石でホワイトボードに貼りついて絵を描き消せるきれい好き

 ロボット掃除機ルンバで知られるアイロボット社のプログラミング学習用ロボット「Root coding robot(以下、Root)」前回前々回に引き続きご紹介します。今回は「Root」の一番の特徴ともいえるホワイトボードに貼り付いて移動する様子をご覧いただきましょう。

マグネットでがっしり貼りつく壁のぼりの術

 「Root」の底面にはマグネットが内蔵されていて、ホワイトボードにピタリと貼りつきます。貼りつくといってもタイヤがついていて底面はホワイトボードから浮いていますので、ガリガリと這っていくわけではありません。タイヤで動きます。

ホワイトボードに貼り付いて動く

 早速、プログラムを作って動かしてみましょう。「Root」のプログラミングには、iOS、Android用のアプリか、WebブラウザーでアクセスできるWebアプリ「iRobot Coding」を使います。ここではWebアプリを使うので、Webブラウザーで「iRobot Coding」にアクセスしてください。Web Bluetoothの機能で「Root」と接続するため、ブラウザーは「Google Chrome」か「Microsoft Edge」を使用します。「Safari」は非対応です。

Webアプリ「iRobot Coding」にアクセスしたところ。メニュー内の[Language]で[にほんご]を選び、あたらしいプロジェクトを開く

 まず、六角形を描いてみます。小学校の学習指導要領に算数で行うプログラミングの例として多角形を描かせるという内容が示されたため、なかば定番化しているプログラムです。“がくしゅうレベル2”で次の図の通りのプログラムを作成して動かしてみます。

進む距離と曲がる角度のセットを繰り返すことで、多角形を描く

 ホワイトボードに貼りつけて実際に動かした動画をご覧ください。ウィーンと厳かにペンが下ろされ、慎重かつ丁寧に動く姿が印象的です。

アイロボットの「Root」がホワイトボードに張り付いて六角形を描くところ - 窓の杜

ホワイトボード用イレイサーをプログラムできるのがお掃除ロボット風

 もうひとつ「Root」ならではの特徴があります。ホワイトボード用イレイサーがついているのです。底面にあるイレイサー部分が、プログラムで指示をするとウィーンと飛び出てホワイトボードに密着します。密着して動くことでマーカーを消します。

「Root」の底面。イレイサー部分はホワイトボード消しと同じ質感

 丸を描画するプログラムと、イレイサーの機能を使って丸を消すプログラムを作成します。「Root」の表面はタッチセンサーになっていて、4箇所のいずれかを押した時にプログラムを実行させることができます。タッチセンサーの上側を押すと丸を描画し、下側を押すとバックで逆方向に進んで丸を消すというプログラムにしましょう。プログラムは次の図の通りです。

コマンド[まがる]は円を描くのに使う。出発点からどちら側に描くかで「みぎ/ひだり」を指定。円弧を描く範囲を中心角“○ど”と半径“○センチ”で指定。角度をマイナスにするとバックで進む。演出用にライトを設定した

 動画で見てみましょう。円の終わりまでていねいに動いて描画します。少しずれることもあります。

アイロボットの「Root」がホワイトボードに丸を書いて消すところ - 窓の杜

 なお、コマンド[まがる]は、オリジナル英語版では[arc]と記載されています。日本語では「まがる」というより「円」とか「円弧」と捉えるべきでしょう。このように日本語版にするとかえってわかりづらくなるケースもあるので、大人が使う場合は英語版のまま使ったり、ちょっと疑問に思ったら英語版に切り替えるとわかりやすくなるかもしれません。

 マーカーをきれいに消してくれるというコンセプトが、どこかお掃除ロボットをイメージさせます。

 なお、ホワイトボードに貼り付けて描画させるときは、少し重力に負けるようで、下方向に移動するときに指定より長い距離を移動する傾向があります。ホワイトボードでプログラムを実行するときは、多少のずれを覚悟しつつ、シンプルに、何か図形や絵、文字などを描画させるプログラムを作ってかわるがわるにデモンストレーションして皆で眺めるのが楽しそうです。

 2020年度から小学校でプログラミング教育が実施されています。これに伴い家庭でも手軽にプログラミングを学習できるツールが多数登場していますが、どんなツールを使えばいいのか迷ってしまう方も多いのではないでしょうか? そこで本連載では家庭でのプログラミング教育にピッタリなお勧めツールを紹介していきたいと思います。