週末ゲーム
第556回
第4回“ウディフェス”お勧め作品ピックアップ
「WOLF RPGエディター」によって制作された個性豊かなRPG4作品を紹介
2014年4月18日 10:43
「WOLF RPGエディター」を使って制作されたゲームを集めるイベント“ウディフェス”の第4回が、2月14日から3月月末にかけて開催された。開催期間は終了したが、作品のダウンロード自体は当面可能。また、作者のWebサイトなどで公開が継続されている作品もある。
第4回のウディフェスには、47本の作品が集まった。今回の“週末ゲーム”では、その中からユニークな戦闘システムを構築した作品など、個性豊かなRPGを4作品ピックアップしてご紹介する。
- Wodifes - Woditor Festa -
- http://hinezumi.net/wodifes/
光と闇の属性を制御して戦う、読み合い重視の1vs1バトル「モノクローム・キャスト」
3つの魔法とさまざまな効果をもつアクセサリを駆使して敵を倒し、塔を攻略していくRPG。敵・自分共に時間経過で溜まっていくゲージを消費して戦う、読み合い重視の1vs1バトルが特徴だ。
基本は見下ろし型の2D RPG。敵は階段や扉、宝箱などと共にシンプルなアイコンとして表示されており、静止しているため戦うかどうかはプレイヤーの自由。基本的には道を塞ぐ敵を倒して先へ進んでいくことになる。
戦闘画面はサイドビューで、時間経過で0から溜まっていく“AP”の値が1以上になるとAPを消費して魔法の発動が可能になる。魔法は光と闇の攻撃魔法および防御魔法の3つだけだが、宝箱から入手できるさまざまなアクセサリを装備することで、各魔法へ毒などの状態異常付与、自分の攻撃力向上といった効果を追加することが可能。ただし効果によっては魔法の発動に必要なAPが増加する。魔法はAPが0以下になるまで何度でも発動が可能だ。また敵側は、APのゲージがフルになると攻撃を仕掛けてくる。
そして本作の戦闘の最大のポイントが、魔法の発動により変動する“場の属性値”。これは光と闇のバランスを表すもので、使った魔法の属性値が減り、その分逆の属性値が増える。光・闇魔法のダメージは各属性値をベースに決まるため、同じ属性ばかり使ってると与えるダメージはどんどん下がっていくというわけだ。
さらに、場の属性値は敵・自分で共通となっており、敵も属性攻撃を仕掛けてくるので、敵の攻撃パターンを読み取って、この属性値を自分が有利に、敵が不利になるようコントロールするのが戦闘の肝だ。攻撃においては命中率やダメージのばらつきといったランダム要素はなく、敵が次にどんな攻撃をしてくるかは画面に表示されるため、与ダメージ・被ダメージは完全に予測可能。ときにはダメージを与えるよりも、敵の攻撃属性の属性値を減らしてダメージを抑えることが重要になる。
食らえば一発で負けてしまうような敵の大技を、連続攻撃で属性値を動かすことで凌ぎ逆属性で反撃に繋げるなど、ギリギリの攻防を味わえるのが本作の醍醐味だ。
また、魔法はAPが0“以下”になるまで発動可能――すなわち、発動の結果APがマイナスになる場合でも発動できるのも地味にポイントだ。当然、次にAPが溜まるまでその分時間がかかるが、確実に敵を倒せるならトドメの大技を放つのもアリだし、ときには敢えて時間をかけてでも、防御を固めなければならない場面もあるだろう。
このようなシステムを駆使し、さまざまな攻撃を仕掛けてくる敵を倒しながら塔の頂上を目指す。先へ進むとこちらの行動の裏をかくような嫌らしい敵も出てくるが、戦闘は負けても直前からやり直すことが可能。敵の能力や行動に応じたアクセサリを装備して対策するなど、トライ&エラーを存分に楽しめる作りになっている。
戦闘がメインの作品だが、プレイ時間約2時間という短編ながら16種類も用意されたアクセサリに、経験値を最大HPやAP、アクセサリ装備可能数などに割り振る自由度の高い成長要素など、キャラクターカスタマイズも楽しい。RPGの戦闘や装備の組み合わせで頭を使うのが好き!という人にぜひプレイしてもらいたい作品だ。
- 【著作権者】
- ud 氏
- 【対応OS】
- Windows 2000/XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.05(14/03/23)
位置取りと連携がポイントの戦術系RPG「Partners -Sign of Rematch-」
敵・味方共に9マスの戦闘フィールドにおける位置取りや、味方とタイミングを合わせて攻撃する連携が戦術の要となるRPG。なお本作は、昨年の第3回ウディフェス参加作品「Partners 旅する兄妹と無鉄砲猫」の続編だが、戦闘システムは基本コンセプトを受け継ぎつつ一新。ストーリーも別物となっており、本作からでも問題なく楽しめる。
舞台となるのは、人類と魔王の戦い“聖戦”から十数年経った世界。過去の記憶をもたない少女“ユニア”を中心に、聖戦の中で生み出された特殊な武器“レイトナン”をめぐる物語が展開する。なお、記事執筆時点では未完成となっており、アップデートでシナリオが追加される予定だ。
戦闘は、敵・味方入り交じって順次行動するCTB方式。戦闘画面はサイドビューで、自分のターンが回ってくると、コマンドを選択する前にキャラクターから見て前後3列・左右3列の自陣内を1マスだけ移動できる。前列は近接攻撃の威力が高く後ろに居る味方を守れる、左右の端から逆の端へは攻撃できないなど、位置取りの影響は直観的でわかりやすい。
最大4人の戦闘参加メンバーを、前衛・後衛など役割分担を決めてどう配置するかがポイントだが、回復スキルが近接する味方にしか使えないため、状況に応じてどの位置にもすぐに動ける中衛も重要なポジションだ。さらに、これらの位置取りによる効果は敵も同様なほか、スキルの攻撃範囲も一列直線、T字型などがあり、常時移り変わる戦況を見ながら移動しつつ戦う、臨場感のあるバトルが楽しめる。
前作から引き継いだ連携攻撃は、敵の行動を挟まず味方の攻撃を続けることで、通常のダメージにコンボダメージが加算されるというもの。とくにボス戦は連携攻撃を積み重ねることが前提のバランスとなっており、やみくもに攻撃するだけでは到底敵わない。
なかでも発動までに時間のかかる“チャージスキル”は連携によるダメージアップの効果が大きく、敵の行動を遅らせるスキルなども駆使していかにチャージスキルを繋げるかがポイントとなっている。
戦闘時の連携としては、“連携援護”も面白い。これは敵が最後に行動してから味方が回復スキルを使うまでに、すべての敵に最低1回攻撃しておくことで回復スキルの効果が上がるというもの。RPGの戦闘ではどうしても各個撃破が基本になりがちだが、このシステムにより“味方を支援するために敵を牽制する”というシチュエーションを再現できるわけだ。
スキルを利用するにはターン経過で回復するSPを消費するが、回復量は少なめで容易に連発はできない。敵の攻撃も激しく、回復スキルが間に合わないこともしばしばだ。パーティメンバーが5人以上のときは控えメンバーとの交代が可能なほか、HPは戦闘終了時に全快、SPも一定値にリセットされるので、一戦一戦を全力を尽くして戦うのが楽しい作品となっている。
さらに、ダメージを受けることで溜まる“RP”を消費して、スキルの効果を倍加させる、SPを消費せずにスキルを使う、次の自分のターンまで全ての攻撃を回避するといった特殊効果を得ることができるほか、RPを消費する特殊スキルもキャラクターごとに存在する。ここぞという時に攻撃を畳みかけたり、ピンチからの脱出に利用したりなど、奥の手として活用したい。
戦闘以外では、ダンジョンがランダム生成となっており疲労度によるステータスの低下要素があるため、武器の素材といったアイテムの収集とフロア攻略のバランスを考えながらの探索となるのが特徴。また、移動中のメニューから選べる“会話”には次の目的地などを確認する“相談”のほかキャラクターのさまざまな面が垣間見える“雑談”もあり、ユニアが出逢い、共に旅をしていく仲間達との交流も楽しい作品となっている。
- 【著作権者】
- あるぅ 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 0.71(14/04/18)
- Ark with Souls
- http://arkwithsouls.blog.fc2.com/
ランダム性を廃した固定シチュエーションで戦術が試される“詰めRPG”「願力物語」
願望によってさまざまな超常現象を起こす“願力(がんりょく)”という力がある世界を舞台にした作品。体裁としてはRPGだが、フィールド探索やランダムエンカウントのザコ戦などはなく、ストーリーの進行に従ってさまざまな敵と戦闘を繰り広げていく一本道のゲームとなっている。
ターン制でサイドビューの戦闘は、敵・味方の体力(HP)や行動順が固定、攻撃は必中でダメージは固定値と、ランダム性を廃した作り。また、主人公がもつ“人の心を読む”という願力により、“回復役を狙う”など敵の行動パターンがある程度読める仕組みだ。
戦闘コマンドはキャラクターごとに固有のものが用意されており、MPに相当する“願力”の値を消費して戦う。願力値は1ターンごとに一定量回復する仕組みだが、ほとんどのコマンドは消費する願力値が回復量を上回り、願力値の最大値も高くない。
そのため敵の行動の二手三手先を読んで、先回りして封じたり、防御の願力で味方を守ったりと、限られた願力値をやりくりしつつ最善手を探していくことになる。固定のシチュエーションで戦術が試される、詰め将棋のようなバトルが本作の醍醐味だ。
とはいえ、解法が1つだけというほどガチガチのパズルではなく、戦術ミスをしたらしたで、そこからの挽回も状況判断のゲームとしてやり応えがある。プレイ時間は3~4時間ほどだが、ストーリーの進行によって変化するパーティメンバーやそれぞれの能力、さまざまなギミックを仕掛けてくる敵などにより、最後まで飽きずにバラエティに富んだ戦いを堪能できるだろう。
ストーリーは、盗賊に攫われた幼なじみを助けるために立ち上がった主人公とその親友が、盗賊のアジトで出会った二人組の賞金稼ぎや助け出した幼なじみと共に、さらに大きな事件へ立ち向かっていくというもの。コミカルなやり取りも多いが、故郷や友を守るために戦う熱い展開も見所となっている。
- 【著作権者】
- 英雄ナーゴ 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.2(14/03/02)
- アリビオン通信
- http://heronago.web.fc2.com/
バトルと育成、アイテム収集をとことん楽しめるコミカルRPG「ファルクメイデンR」
宝箱や敵から山のようにドロップする装備品などによる、自由度の高いキャラクターカスタマイズが魅力のRPG。なお本作は、昨年の第3回ウディフェスに体験版で参加した作品の完成版だ。
物語の舞台となるのは、異界の使徒“セフィロト”により通信や物質転送といった過剰な技術がもたらされ、平和ではあるが停滞してしまった剣と魔法の世界“ルセルアーク”。そんな世界で人々に夢と希望を届けるために冒険譚を紡ぐ“戦詩(ファルクメイデン)”の少女“ルクレリーナ”とその仲間達による冒険がコミカルに描かれる。
特徴は、“アタッチメントデバイス”によるキャラクターのカスタマイズ。デバイスは攻撃方法を変化させるウェポン系、ステータスを向上させるサポート系など3タイプに分かれる。タイプごとに1つまたは2つ、計5つの装備スロットが用意されており、これを任意に付け替えてキャラクターの戦闘スタイルを変化させることが可能だ。なお戦闘システム自体は、オーソドックスなフロントビューのコマンド選択型となっている。
デバイスは宝箱や、戦闘後に発生する“トレジャールーレット”からどんどん手に入る。デバイスはお店で売ったりポイントに交換して別のデバイスを入手できるほか、シリーズで揃えてより強力なデバイスとトレードすることもできるため、ダブりを気にせず存分に収集を楽しめるというわけだ。
また、レベルアップ時や宝箱から手に入る“グレイスポイント”はキャラクターの育成に重要な要素。グレイスポイントを消費して、任意のステータスを向上させたり魔法を覚えることができる。
パーティメンバーは、パワータイプのルクレリーナのほか、その相棒でバランス型の“ゼルフィス”、友人で支援・回復タイプの“シリィ”。MPを消費して強力な攻撃を行うルクレリーナの“戦詩乱舞(オーバーメイデン)”など、キャラクターごとの特殊攻撃も用意されている。デバイスやグレイスポイントにより、それぞれの特徴を活かすか弱点を補うかはプレイヤーの自由だ。
さらに、ファルクメイデンを支援する“感応式サポートモジュール かのん”も戦闘に参加する。かのんは自動で行動するが、このとき装備したデバイスに応じて行動が変化する仕組み。状況に応じたデバイスを装備することで、パーティのサポート役として活躍させることができる。
なお本作は、“Ver/HS(ハック&スラッシュ)”および“Ver/CH(コミカルハートフル)”という2種類の配布ファイルが用意されており、前者は高難易度でバトルや育成を存分に楽しみたい人向け、後者はストーリーを追いたい人向けとのこと。とはいえVer/HSでも大量の戦闘が必要というほどではなく、ボスに勝てなかったらちょっとレベル上げ、という程度で十分なので、筆者としてはVer/HSがお勧めだ。
プレイ時間はVer/HSで10時間を越える程度とそこそこのボリュームがあるが、デバイスなどのアイテムがどんどん手に入り、物語もテンポよく進むのでプレイ感は軽快。ストーリーは天然ボケで猪突猛進のルクレリーナが常識人の二人を引っ張り回す形で、ライトなノリで進行する。ネットスラングやパロディが散りばめられたシナリオはやや人を選ぶ面もあるが、冒頭の30分が趣味に合えば最後まできっと楽しめるだろう。
- 【著作権者】
- SeeYou(ROWProject) 氏
- 【対応OS】
- (編集部にてWindows 7で動作確認)
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- -
- ウディフェス特設ファルクメイデンR
- http://7thmoon.gg-blog.com/