石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』
「ロマサガ2」リメイクの体験版が登場 ~ただの3D化ではない多彩なアレンジと確かな原作愛
2024年10月10日 06:55
シリーズ屈指の人気作品が31年目にして3Dリメイク
スーパーファミコンで発売されたRPG「ロマンシング サ・ガ2」を3Dリメイクした作品「ロマンシング サガ2 リベンジオブザセブン」が10月24日に発売される(Steam版は10月25日)。これに先駆けて、本作の無料体験版が公開されている。
リメイクということで本作の内容を覚えている方もいらっしゃるかもしれないが、スーパーファミコン版が発売されたのはもう31年前になる。筆者も1回クリアしたはずだが「2って何だっけ……流し斬りが完全に入る奴?」と記憶が曖昧になっている。
その辺りの記憶の補完も踏まえつつ、体験版をプレイしていこうと思う。
「ひらめき」が狙いやすくなった
本作のアレンジで最も大きな変更点は、「サ・ガ」の「・」が消えていることである。……というお約束は置いといて(「サガ フロンティア」以降のシリーズ作品では消されている)、やはり3Dグラフィックスの採用が最も目を引く。フィールドの移動(マップ移動を除く)やバトル、イベントシーンなど、基本的に全て3Dで描かれている。
見た目が変わっただけではない。フィールド移動中はジャンプも可能になり、ジャンプをしないと進めない場所もある。高低差を利用して敵をやり過ごすことも可能だ。また敵の背後から近寄って攻撃を仕掛けることで先手を取れるという要素もある。
バトルシーンも3D化。技を選んで攻撃するというコマンドバトル形式は変わらず、バトルの進行速度もスムーズで、プレイ感は損なわれていない。強いて言えば、戦闘中は俯瞰視点ではなくなるため、5人のキャラクターによる陣形が見えづらいという程度だろうか(陣形の要素や効果はもちろんある)。
本作で人気の、技をひらめく要素は無論ある。しかも武器や技でひらめきやすい状態になっているものに、電球マークが付くようになり、ひらめきを狙いやすくなった。もちろんマークがあれば必ずひらめくわけではなく、ランダム要素は強い。
技に関しても、3D化されたおかげでキャラクターのモーションが丁寧に描かれ、見ごたえが増している(2Dの技のエフェクトも素晴らしいものであったが)。ちなみに「二段斬り」は2回のダメージ表示になっていた。多段ヒット技はバランスが変わるかもしれない。
さらに本作では連携という要素が追加された。行動するごとに画面下部のオーバードライブゲージが貯まり、満タンになると連携を発動できる。2人以上のキャラクターが連続攻撃する形で、2人連携だと攻撃力が2倍になっているようだ。バトル後も持ち越せるので、ボス戦まで貯めておくなど戦略的な使い方もできる。
ストーリー展開もほぼ変わっていない。印象深い流し斬りのシーンも、3Dでカメラワークをつけた派手な演出になっている。本作のボス的存在である七英雄の1人「クジンシー」の必殺技「ソウルスティール」も、よりまがまがしく描かれている。
音楽やシステムのアレンジに原作愛を感じる
さて、本作で注目されるのはビジュアルよりサウンドかもしれない。伊藤賢治氏が作曲した音楽は、本作では楽器を変えるなどのアレンジが加わっているが、メロディに大きな変更はなく、スーパーファミコン版のオリジナル曲のイメージを極力変えない形になっている。また設定でアレンジ版とオリジナル版の切り替えも可能だ。
システム面では、バトルの難易度調整が可能になった。3段階の設定が可能で、RPGに慣れていない方に向けた設定も用意されている。なお設定は途中変更が可能で、物語への影響はないという。
筆者が面白いなと思ったのは、プレイ中のメニュー画面。やたらと派手で豪華な見た目で、5人のキャラクターが大写しになっている。ゲーム的に中央は必ず皇帝になるので、皇帝らしい豪華なイメージを見せたいのだろう。ただ美麗な映像にしただけでなく、作品のイメージを最大限活かしているように感じられる。
体験版は、クジンシーとの戦いを経て、レオンからジェラールへ能力を継承する場面までとなる。クジンシーに負けっぱなしで終わりになるのは残念だが、この先は製品版でという見せ方としてはいい切り方だと思う。
なお体験版では、バトルで70回勝利するとキャラクターの成長が止まる。体験版でレベルを上げて技を覚えまくるという遊び方はできない。ただし体験版のセーブデータが製品版に引き継げるそうなので、道中のアイテムをしっかり拾っておくなどする意味はある。
筆者のプレイ時間は、アイテム拾いなどを丁寧にやって2時間弱。オープニングもスーパーファミコン版の流れがそのままで、見た目は全然違うのに懐かしさを感じられるのが面白い。体験版でも本作の雰囲気はしっかり堪能できるので、リメイクの内容が気になる方はぜひプレイしてみていただきたい。
1977年生まれ、滋賀県出身
ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。
・著者Webサイト:https://ougi.net/
PCゲームに関する話題を、窓の杜らしくソフトウェアと絡め、コラム形式でお届けする連載「石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』」。PCゲームファンはもちろん、普段ゲームを遊ばない方も歓迎の気楽な読み物です。