石田賀津男の『酒の肴にPCゲーム』

「フロストパンク2」本編をプレイ ~極寒の地で住民の声を聞けば、絶望が訪れる

前作と変わらぬダークなテイストと、一筋の光に心を救われるドラマを楽しむ

「フロストパンク2」のタイトル画面

いよいよ極寒ドラマの本編がスタート

 今週も9月21日に発売された極寒サバイバルシミュレーションゲーム「フロストパンク2(Frostpunk 2)」の話をしよう。先週はチュートリアルが終わっただけで、ゲームを理解したつもりになるわけにはいかない! ……という建前で、ようやく筆者がプレイ時間を取れたのでちゃんとやりたいだけである。

 今回はストーリーモードの第1話「石炭の終わり」をプレイしていく。難易度は前回述べた理由により、最も簡単な設定を選択した。筆者は前作の経験者なので、初プレイでもそう苦労はしないはずだ、たぶん。

ストーリーの始まり。先がどれくらいあるのかもわからない

目標達成を目指してプレイすれば大丈夫か?

 本作は極寒を舞台にしたサバイバルゲーム。プレイヤーは住民を率いるスチュワード(執政官)となり、住民らとともに困難を生き抜いていく。俯瞰視点でフィールドを見つつ、住民が凍えたり飢えたりしないよう、必要な資源を集めたり、施設を建てたりする。わからないことがあれば、[T]キーを押せばいつでもガイドが開くので安心だ。

 やるべきことは、画面左上に表示されている目標に書かれている。最初は石炭を回収し、暖を取るためのジェネレーターを起動。そして住む家を用意することだ。チュートリアルで学んだとおり、石炭がある場所までフロストブレイク(氷を割る)で進み、石炭がある場所に採集地区を建てる。合わせて別の場所に居住地区を作ればいい。このくらいは手持ちの資源で楽勝。

石炭がある場所までフロストブレイク
採集地区や居住地区などを建てていく
石炭を掘り始めたらジェネレーターを起動

 次は居住地区の拡張。本作では設置した施設を拡張でき、居住地区であれば居住スペースが増えると同時に、特殊な建物を設置するスロットを追加できる。最初に建てる建物は、最初から利用できる研究所。これを居住地区のスロットに置く。

居住地区を拡張する。拡張は他の地区でも可能
拡張した居住地区に研究所を建設

 研究所を設置すると、「アイデアツリー」を開けられるようになる。ここでは新たな建物を研究開発できる。ただし、研究できる内容は1つの要素に対して2つ以上あり、住民の各勢力が好みの方向性を支持する。選んだ研究内容によって、勢力との関連性が変化するというわけだ。

アイデアツリーでは各勢力が支持する案から1つを選ぶ
目的はどちらも同じだが、効果やデメリットに違いがある

 今回は石炭の採掘量を増やす「爆発型炭鉱」を選択。採集地区に設置すると、石炭の採掘量が劇的に増えた。

「爆発型炭鉱」で石炭を掘れる量が増える

 などとやっていると、画面に突然の通知が。「寒さにより住民の一部が凍死した」とあり、4,000名の住民のうち80名が凍死してしまった。目標のとおりに進めていたのだが、どうやら石炭が足りておらずジェネレーターの熱が不足しており、さらに居住地区が足りないため家に住めない住民が少し残っていたようだ。言われた通りのことをやるだけではいけないらしい。前作同様、住民は本当にあっさり死ぬ。

家がなかった人々の一部が凍死した模様。この通知だけで80人が死んだイベントはおしまいという淡白さ

 次は評議会を建設するよう指示が出る。街の中心部に評議会を設置すると、第1回評議会が開かれる。ここで採決されるのは、スチュワードの継続可否。過半数の賛成が得られなければ、いきなり失職してゲームオーバーなるらしい。恐る恐る「投票」ボタンを押してみると、即座に投票が開始される。今回は100票中60票が支持してくれて、無事にスチュワードを続けられることになった。

第1回評議会ではスチュワードの信任を問う
無事に認められた

 なお評議会はこの後も10日に1回開くことができ、街に関するさまざまな取り決めができる。例えば生産物をより効率的に作る方法を指示したり、子供を働かせるか教育を受けさせるか選ぶ、といったようなものだ。基本的にはポジティブな要素が多いので、できるだけ何かを採択しておくといい。

犯罪が増えており、子供の対応が必要。働かせるか教育するか
特にデメリットがない法案もある

 ただし、住民の勢力によっては、法案を好まないものもいる。そのまま議決を行えば、否決されてしまうこともあり得る。そこで勢力と交渉し、交換条件を与えることで、協力を取り付けることも可能だ。

特定勢力に法案の可決をお願いする代わりに、相手の条件を飲む、という交渉が可能

街を大きくすればするほど問題が増えていく

 この後、街の端にある旧中継基地に物流地区を設置し、周辺を探索して人や物資を探すという要素も開放される。もっと遠方を探索して、恒久的な燃料源を得るのが次の目的となる。

 ただ、この辺りから資源のやりくりが辛くなる。人が増えれば新たな居住地区を建てねばならないし、食料や日用品、燃料の消費も増える。必要な資材を集めるには働き手が必要で、外から人を連れてくると働き手は増えるが、さらに居住地区や資源が要る。

街の外にいる人を呼び込めば人口が増える
街が順調に発展していれば、人口は自然に増えることもある

 最低でも暖を取るのと食料は確保しようとすると、日用品や施設の維持管理がおろそかになり、犯罪が増え始める。現状を打破するために研究で新たな手段を探るにも、研究費が必要。その費用を捻出するのに、また何かを我慢せねばならない。そうこうしているうちに寒波がやってきて、さらに多くの燃料が必要になる。

画面右上に並んでいるのが資源の状況。中央が燃料、その右が住宅、食料、資材、日用品。人が増えて燃料以外が全部足りないが、この後は寒波が来るので燃料も足りなくなる

 この感じ、まさに前作「フロストパンク」で味わったものと同じだ。前作とは仕組みが違い、燃料さえ十分にあれば暖は取れたり、道を引かなくても勝手に線路が引かれたりと、システム周りは適切に簡略化され、洗練されている。しかしやるべきことは、やっぱり資源集めである。手順を間違えると取り返しがつかなくなり、にっちもさっちもいかなくなる。

 いよいよ困ったなと思っていると、何と住民から助けの手が。採掘できる石炭の量を増やすアイデアが、複数の勢力から寄せられた。爆発物を使う方法と、子供のボランティアを使う方法だ。子供を働かせるのは気が引けるが、こちらの方が効果が大きいので採用することにした。ありがたいことだ。

住民がアイデアを出してくれた。熟慮して承認

 と思ったのもつかの間、いきなり炭鉱で火災が発生。立坑への空気供給を止めれば火災を食い止められるが、何人かの子供が死ぬ。子供の救出を優先すれば、炭鉱の石炭を大幅に失う。選べるのはこの2つだ。どちらもろくでもない選択肢だし、さっきの案は選ばない方がマシだったわけだ。

あっという間に大事故

 「人口は1万人以上いるし、子供数人ならいいかな」と言えるメンタルを持ち合わせていない筆者は救出一択。見事に炭鉱は崩壊し、石炭収入が半減。そして街はすぐさま燃料不足で凍えることになった。別の石炭鉱床はもうない。

そして残された廃墟

 ここから奇跡のV字回復を目指す案もなくはないのだが、既に相当なミスを犯していることがわかったので、再びチャプターの最初からプレイすることにした。1回やれば勝手がわかるし、特に序盤に何をやったかが後々にとても響いてくるので、やり直しも織り込み済みだ。「初プレイでもそう苦労はしないはずだ」と言ったのはもちろん嘘。無理。

 ひたすらしんどい展開が続く本作だが、いいこともある。教育を施した子供からのメッセージが届けられ、着実に学び成長している様子が見える。ただのメッセージであり、ゲーム的なメリットは何もないのだが、こういう人々の声がちらりと聞こえてくるのも本作の面白いところだ。まあ、メッセージをくれた子もリセットされるわけだが。

こういう心温まるメッセージもたまにある

 繰り返すが、これは一番簡単な難易度で、なおかつ本編のスタート直後だ。もうこんなにいっぱいいっぱいにしてくれるなら、やりがいもあろうものだ。もっと難易度下げてよと言いたい気持ちもあるが、次は誰も死なせず進めるよう、もうちょっとがんばってみようと思う。

 本作は前作を知らなくてもちゃんと遊べる親切設計になっていると感じる。それと同時に、前作をプレイした方は、本作にも恐れず挑戦してみていただきたい。システムは変わったが確実に遊びやすくなっているし、ドラマ性の高さやテイストは変わっていない。この先は人々のご機嫌取りが始まるのかなとも思うが、それも含めて楽しみだと思える内容になっている。

「スチュワード!」と呼ばれ倒す日々がきっと来る
著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/

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