使ってわかるCopilot+ PC

第60回

NPUで気になる下腹を1発修正! 簡単かつ強力な画像編集ソフト「Luminar Neo」

「Luminar Neo」で下腹を1発修正!

NPUを活用する画像編集ソフト

 「Luminar Neo」は写真などの画像を編集するためのソフト。AIによる機能を積極的に採用しているのが特徴で、NPUにもいち早く対応している。

 今回はSnapdragon Xを搭載したPCで試用した内容をお伝えするが、IntelのNPUにも対応しており、処理に応じてCPUやGPUも活用する。ユーザーが意識することなく、適切に性能を引き出してくれる設計になっているのが嬉しい。

 なお本ソフトは1週間の試用が可能で、その後はライセンスの購入が必要。本稿執筆時点ではセール価格で14,980円からとなっている。またArm版Windows用ソフトについては、公式サイトではなくMicrosoft Storeからダウンロードするよう指示されている。

AI処理が簡単に使える

 本ソフトのAI機能を試してみよう。適当な画像を読み込んだのち、画面上部にある[編集]をクリックすると、右側に編集ツールのリストが現れる。AI機能を用いるものにはAIと書かれていてわかりやすい。

 まずは[スーパーシャープ]から。AI機能を用いて画像をシャープにするもので、最近はスマートフォンのカメラアプリでも見かける。[スーパーシャープ]を選んだ後、[低]、[中]、[高]の3段階から1つを選んでクリックすると、すぐさまAI処理が始まる。

 [高]をクリックして14メガピクセルの画像に適用すると、数秒でシャープ化が完了する。スピードの速さもさることながら、細部が丁寧に補間されており、非常に質の高いシャープ処理がかかる。ただし細かい文字は補正により潰れたりして読みづらくなるものもあり、AI処理にありがちな傾向も見える。

大きな写真の一部を表示した、建物の屋根の部分。細かい部分が描写しきれていない
[スーパーシャープ]により、自然でくっきりした画像になった
写真の隅に写っていた看板の文字。輪郭がぼやけ気味
[スーパーシャープ]適用ですっきりしたが、小さい文字は不自然な潰れも見られる

 次は[ポートレートボケ]。特定の人物にフォーカスを当て、その他の背景をぼかす処理だ。写真を読み込んで、[適用量]のバーを動かしてやるだけで処理が適用される。わかりやすいよう[適用量]を最大の100で試してみたところ、人物の切り抜きは適切で、背景のぼかし方も写真っぽく、概ね上手に処理されている。

街中で立つ筆者の写真
[ポートレートボケ]を選ぶだけで、適切に筆者を抜き出し、背景だけにボケを適用

 [ウォーターエンハンサー]は、写真の中でも水に限って見た目を加工するというもの。例えば海の写真で、水の色味を変えて印象的な見た目に変えたりできる。どこに水があるかもAIが自動で把握した上、色味や明るさなどを調整できる。

琵琶湖岸を撮影した写真
水の部分だけを自動認識し、色を補正できる

 ちょっと面白いのが[ポートレート]の項目にあるAI処理。[フェイス]では、メインとなる人物の顔の明るさを補正できるのに加え、[スリムフェイス]という項目で顔が細くなるよう処理できる。処理がスリム方向にしかないので、用途が一目瞭然である。

筆者の顔の部分にご注目
[フェイスライト]で顔を明るくし、[スリムフェイス]で細くした

 [ボディ]の項目では、[体型]と[腹部]を調整するバーがある。[体型]は太くも細くも加工できるが、[腹部]は出ている腹をへこませる方向にだけ用意されている。

今度は筆者の腹部に注目
[腹部]をへこませて見せる加工。ちゃんと腹部を認識しているのがわかる

NPUを適切に使用したソフト

 こういった実用的なAI処理が、とても簡単なインターフェイスで使えるようになっているのが本ソフトの魅力。本格的な写真加工はかなり難しい作業になるところを、AIがうまく意図をくんで、ピンポイントに処理してくれるのがとても便利だ。

 これらの処理にNPUも使用されている。今回試した中では[スーパーシャープ]が最も使用率が高かったが、実際にNPUを使用したのは処理の終盤の1~2秒だけだったので、実際はAIモデルの読み込み時間の方が長くかかっていたのかもしれない。他の処理はそれほど重くないのかNPU使用率は低めだが、レスポンスの良さはNPUのおかげなのだろう。NPUを適切に使っているのがよくわかる。

 Snapdragon X搭載PCは、Windowsソフトとの互換性が不安という方もいらっしゃると思う。実際には極めて優秀なエミュレーターのおかげでほぼ問題は起きないのだが、それでもArm版Windowsに向けたソフトの方が安心感はあるし、性能面でも無駄がない。Snapdragon Xシリーズ搭載PCで安心して使えるのも本ソフトの魅力の1つと言える。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/