使ってわかるCopilot+ PC

第78回

Intel/AMD/Qualcommの各プラットフォームでCopilot+ PCの機能の違いをチェック

Qualcomm先行で始まった影響か、現在もなお差が残る

Intel/AMD/Qualcommの各プラットフォームでCopilot+ PCの機能の違いをチェック

3プラットフォームのCopilot+ PCの対応状況は?

 Copilot+ PCは現在、Qualcomm、Intel、AMDの3社から対応CPUが登場している。いずれも40TOPS以上の性能を持つNPUを搭載しており、低消費電力でAI処理を行えるという点では共通している。

 しかし、Copilot+ PCとしての機能の実装は、最初に製品が登場したQualcommが先行し、遅れて登場したIntelとAMDは発売後のアップデートで対応することになった。しかもそのアップデートも当初の予定が大幅にずれ込み、Qualcommに約半年遅れての実装となってしまった。

 その影響もあってか、その後もCopilot+ PCの新機能の実装はQualcommで先行し、IntelとAMDは後追いで対応するという形になっていた。それからある程度の時間が経過した現在は、どうなっているだろうか?

 今回は3種類のプラットフォームを搭載したPCを用意し、現時点でのCopilot+ PC専用機能をチェックする。どんな差があるのか、それともないのか、見てみよう。

 なお、機能によってはプラットフォームではなく機種依存の違いがある可能性もある。ただCopilot+ PCの機能としての実装の有無は確認できるはずなので、今回はそちらに注目しながら見ていく。

Windowsスタジオエフェクト

 まずは最も人気の高い機能と思われる「Windowsスタジオエフェクト」。カメラ映像に背景ぼかしなどの機能を加えるものだ。実は本機能はCopilot+ PC専用ではなく、もっと低い性能のNPUを搭載したPCでも一部の機能が使用できるものがある。

 今回の機材では、Intel機のみマイクの音声フォーカス機能が使用できなかった。また映像のエフェクトは、Qualcomm機だけは映像フィルター機能が搭載されていた。音声については機種の実装の有無かと思うが、映像フィルターはプラットフォームの違いと思われる。

Qualcomm機は選べる項目が多い
音声フォーカス機能も利用可能
Intel機は設定項目が減る。音声フォーカス機能も項目がなかった
AMD機も設定項目は少ない。こちらは音声フォーカス機能は使用できた

ライブ キャプション

 「ライブ キャプション」は、PCで再生される音声をAIが読み取り、字幕状のテキストにしていく機能。これは通常のWindows 11にも実装されているが、Copilot+ PCではAIを用いたリアルタイム翻訳機能も利用できる。ただし日本語への翻訳はまだ実装されておらず、英語と中国語のみ対応している。

 こちらは3機種とも翻訳機能が動作した。翻訳精度には若干の差があるようだが、これはAIモデルの問題よりも、サウンドチップや設計の違いによる音声入出力精度の違いの方が影響しているように見える。

Qualcomm機。日本語から英語に変換したものを表示している
Intel機。翻訳機能は動作している
AMD機。こちらも翻訳できている

ペイント

 Windowsではおなじみのお絵かきソフト「ペイント」には、Copilot+ PC専用のAI生成機能がいくつか用意されている。テキストから画像を生成する「ステッカージェネレーター」では、3機種とも指示に沿ったステッカー画像を生成できた。

 ただし機能一覧を見ると、Qualcomm機には「生成フィル」と「スタイル変更」の機能が搭載されているが、Intel機とAMD機にはない。

Qualcomm機。8つのAI機能が使える
Intel機。機能は6つで「生成フィル」と「スタイル変更」がない
AMD機もIntel機と同様

フォト

 画像ビューワーとして使われる「フォト」には編集機能も搭載されている。その中にはCopilot+ PC専用のAI機能もあり、画像の超解像処理や画像生成が行える。

 試してみると、Qualcomm機には5つのAI機能があるのに対し、Intel機とAMD機には4つしかなかった。Qualcomm機にのみ、写真の明るさを3次元的に修正する「リライト」がある。他の2機種でも別のAI機能は使用でき、例えば「超解像度」はきちんと動作している。

Qualcomm機。「リライト」という機能を使用できる
Intel機。「リライト」の項目がないが、「超解像度」は使用可能
AMD機。Intel機と同様の状態

クリックして実行

 画面のスナップショットから検索や編集を行う「クリックして実行(Click to Do)」は、[Windows]キーを押しながら画面をクリックという操作で利用できる。写真の中にある文字を読み取ったり、画像そのものを編集ソフトに送ったりと、クリック対象に応じた操作が提案される。

 こちらは3機種とも同じように動作し、特に違いは見られなかった。

 なお、下にあるWebブラウザーのスクリーンショットを撮影する際には、おおまかな範囲指定からAIが適切な範囲を切り取ってくれる「パーフェクトスクリーンショット」を使用している。これもCopilot+ PC向けの機能で、3機種とも問題なく動作した。

Qualcomm機。問題なく動作している
Intel機。きちんと動作しており、Qualcomm機との違いは見られない
AMD機も正常に動作しているようだ

リコール

 Copilot+ PCの花形機能として発表されつつも、セキュリティの問題などから実装が遅れてしまった「リコール」。画面のスナップショットを自動で撮影し、AIで解析しながら蓄積し、後から検索できる。『前にショッピングサイトで調べたスニーカーって何だっけ?』となったりした時に、『スニーカー』と文字で検索すると、該当するスナップショットを表示。さらに「クリックして実行」のように情報検索にも使える。

 テストが短期間だったため、スナップショットの蓄積量はわずかではあったが、3機種とも正しくスナップショットを撮影でき、情報検索も機能していた。

Qualcomm機。スナップショットの撮影から検索まで使用できた
Intel機。こちらも問題は見られない
AMD機。他と同様に問題なく動作している

セマンティックインデックス

 「セマンティックインデックス」は、AIが自然言語を理解した上でファイルや機能を検索できる機能。検索の文字列が一致している必要はなく、探し物を文章で指示できる。また『ネコの画像』などと指示した場合、ファイル名のみならず画像の内容まで解析した上で検索結果に表示する。

 これも3機種とも問題なく動作した。

Qualcomm機。自然言語で適切な画像を見つけ出した
Intel機。こちらも同じ文言で同じ画像を発見
AMD機も同じように見つけられた

依然としてQualcomm先行の状態

 ひととおりの機能を見ていくと、現在もまだQualcommが先行している状態が確認できる。またゲームの映像をAIで高解像度化する「自動スーパー解像度(Auto SR)」もあるが、これは現在もSnapdragon Xシリーズ専用の機能とされている。

Qualcomm機にのみ、「自動スーパー解像度」の設定項目がある

 Copilot+ PCの機能面では依然としてQualcommが優位な状態ではあるが、IntelとAMDもスタートで出遅れた割には各AI機能の実装が進んではいる。今後、実装タイミングが追いつくのかは不透明だが、今のところはCopilot+ PCの最新機能を使いたいならQualcomm、ソフトの互換性を重視するならIntelとAMD、という構図は続いているようだ。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/