使ってわかるCopilot+ PC

第77回

『ヘイ、コパイロット!』をやってみた。「CopilotVoice」のすごい未来感

「Copilot Vision」で画面を共有してガイドも求められる

「Copilot Voice」が動作中のウィンドウ

『ヘイ、コパイロット』と言ってみたい

 チャットAIの「Copilot」の新機能として、音声チャット「Copilot Voice」を呼び出すウェイクワード『Hey, Copilot(ヘイ、コパイロット)』が使えるようになった。発表時はウェイクワードが面白くて話題になったようだが、冗談抜きの新機能なので試して評価してみよう。なお本機能はCopilot+ PC以外の、普通のWindows 11搭載PCでも使える。

 使用するには、「Copilot」のウィンドウを開いて左上にある[サイドバーを開く]ボタンからサイドバーを展開、左下に出てくるアカウントのマークをクリックし、[設定]を選択する。設定画面の下の方にある[「Hey, Copilot」と言って会話を開始します]をONにすればよい。この奥まった設定が、本機能を利用する上で最も高い障壁であることは確かだ。

設定の[「Hey, Copilot」と言って会話を開始します]をONにする

フランクなAIとリアルタイムに会話できる

 それはさておき、実際に使ってみよう。先の設定をONにすると、マイクが常時待機状態になり、『ヘイ、コパイロット』という呼びかけで「Copilot Voice」が起動する。「Copilot」のウィンドウを立ち上げておく必要はない。

 呼びかけは、英語風の発音で言うより、日本語読みで呼びかけた方が認識精度は良いように感じる。筆者の英語の発音が悪いだけかもしれないが。

そもそも英語ですらない言語で認識されているようだが、ウェイクワードや特定の指示語は他の言語に翻訳されて表示されることが結構ある。実用上の問題はない

 『ヘイ、コパイロット』と呼びかけると、画面の下部に小さなウィンドウが現れ、『こんにちは! 調子はどうですか?』とフランクに話しかけられる。発語は日本語が得意な欧米人という感じで、言葉は伝わるがイントネーションがちょっと変。それでも自然に会話できる感じは十分で、未来感がすごい。

「Copilot Voice」が有効になると、画面下部に小さなウィンドウが現れる

 何ができるかについては、テキストチャットの「Copilot」と大きくは変わらない。天気を聞くと教えてくれるので、感覚的にはスマートスピーカーに近いのだが、『ラジオをかけて』と言っても受け付けてはもらえない。

天気は教えてくれるが、ラジオはかけられないらしい。スマートスピーカーのようにはいかない

 リビングにでも置いておけば、気になることがある時に呼びかけて調べさせたりできそう。その点は(先進的なAIが未搭載の)スマートスピーカーより重宝しそうだ。PCを起動したままにしなければいけないというデメリットはあるが……。

 マイクロソフトの公式ガイドによると、会話を終了するには『さよなら』と言えば良いらしい。試してみると、『いったんここで終了にします』とは言うものの、会話の待ち受け状態が続く。『グッバイ』と英語で言ってみても、即座に会話終了とはならない。

『さようなら』と認識されたら終了のワードとはみなされていないらしい。とはいえ正しく認識されても即座に終了はしてくれない

 現状で会話を終了するには、小さく表示されたウィンドウの×ボタンをクリックするか、発語せず数秒間静かにしておくこと。5秒ほど会話がない状態が続くと「Copilot Voice」が自動で閉じる。再度呼び出したい時はまた『ヘイ、コパイロット』と言えばいい。

 「Copilot Voice」の話し声は変更できる。設定から[音声]を開くと、8つの項目がある。どれがどんな声かは説明がないので、選んで聞いてみるしかないが、男女で声質が違うものが揃っている。日本語のイントネーションがちょっと怪しいものと、割と怪しいものの中から選ぶ感じになるが、一応どれも日本語は話せる。

話し声は8パターンから選択可能

 会話の内容は、「Copilot」のウィンドウを開けば後から確認できる。話した内容を忘れてしまっても慌てる必要はない。

「Copilot Vision」で画面を共有してガイドを受けられる

 「Copilot Voice」では、「Copilot Vision」のベータ版も利用できる。デスクトップ画面全体、または特定のウィンドウを「Copilot」に共有し、画面を見ながら会話ができる。

 「Copilot Vision」を有効化するには、「Copilot Voice」のウィンドウの左側にある眼鏡のアイコンをクリック。すると画面全体の共有、または特定のアプリの画面の共有を選択する画面が出るので、どちらかを選ぶ。その後、『いま画面は見えている?』とでも尋ねれば、画面の情報について話してくれるはずだ。

眼鏡のアイコンから「Copilot Vision」を有効化。画面全体やアプリを共有できる

 例えばWindowsの設定で何かわからないことがあったら、音声だけでガイドを頼むこともできるが、画面を共有すれば『今、開いている設定画面から、左側にあるシステムの項目を選んで』といった具合に話してくれる。操作ができたら『開きました、次は?』と聞けば『今はシステムの画面を開いていますね。次は右側にある……』と、さらに現状の画面を確認した上で案内してくれる。

 「Copilot Vision」の使用中は、黙っていても「Copilot Voice」がOFFにならない。指示に従い、慌てずに操作して、終わったら次の指示を仰ぐといい。ユーザーの声だけでなく咳払いなどにも反応してしまうが、気にせずしゃべらせておけばいい。

 試しにWebブラウザーで弊誌を表示させて、何が見えているか聞いたところ、『窓の杜が表示されていますね』、『○○についての記事ですね』と的確に答えてくれる。

画面全体を共有した後、Webブラウザーで開いた弊誌の情報もきちんと把握している

 また「Copilot Vision」でガイドを受ける際には、操作するポイントに丸いマークを付けて教えてくれるハイライト機能も用意されている。AIが言葉で説明しつつ、『ハイライトした場所を見てね』と伝えてくれるので、よりガイドがわかりやすくなる。

 ……と良かったのだが、筆者の環境ではうまく動作してくれなかった。質問の意味を取り違えて、全く関係ないところにハイライトを表示したり、『ハイライトを表示した』と言う割には画面のどこにもハイライトがないなど、動きが不安定だ。やろうとしていることは素晴らしいので、今後の改善を期待したい。

想定外の場所にハイライトが表示されてしまった。ただ、こういうことがやりたいんだなという「Copilot Vision」の意図は伝わる

プライバシーには注意が必要

 真剣に「Copilot Voice」を使用するなら、注意が必要なのはプライバシーだ。「Copilot」は過去の会話履歴から一部の情報を引っ張ってこられる。家族で共有するPCで使用すると、家族が『以前どんな話をした?』などと尋ねると、過去のチャットの内容が音声で伝えられてしまう。

 複数のユーザーを聞き分けるような機能はなさそうなので、基本的に1ユーザーで使うことは意識しておく方がいい。またオフィスや外出先など、他人が触れる状態では、ウェイクワードの聞き取り機能をOFFにしておく方がいいだろう。

「Copilot」は過去の会話を覚えているため、家族が話した感じで問いかけても過去の内容を答えてしまう

 その点さえ注意すれば、質問に的確に答えてくれるAIとしても、暇な時の話し相手としても、なかなか優秀だと思う。手放しでAIと話せるという経験だけで既にかなり面白いし、無料で利用できるのもとても大きい。まずは実用性を求めるより、好奇心で触ってみて欲しい。

 筆者の感想としては、日本人的な感覚では『ヘイ、コパイロット!』はやっぱり発音しにくいと思うが、AIボイスが外国人っぽいので異文化交流しているみたいで割と楽しい。

著者プロフィール:石田賀津男(いしだ かつお)

1977年生まれ、滋賀県出身

ゲーム専門誌『GAME Watch』(インプレス)の記者を経てフリージャーナリスト。ゲーム等のエンターテイメントと、PC・スマホ・ネットワーク等のIT系にまたがる分野を中心に幅広く執筆中。1990年代からのオンラインゲーマー。窓の杜では連載『初月100円! オススメGame Pass作品』、『週末ゲーム』などを執筆。

・著者Webサイト:https://ougi.net/