いまさら聞けないWindows 10のTips

第321回

#初歩からのリモートデスクトップ ~外出先から自宅のパソコンへ接続(IPv4)編

IPv4アドレスが割り当てられた自宅のパソコンを外出先から操作する

 Windows 10に搭載されているリモートデスクトップを使って、外出先から自宅のパソコンに接続してみましょう。

 外出先からの接続の場合、自宅に設置されているルーターの設定がとても大切です。通常はセキュリティを確保するために、外部からの通信のほとんどが遮断されるようになっているため、リモートデスクトップの通信を許可させる必要があります。

 IPv6とIPv4で設定方法が異なるため、今回はIPv4での設定を見てみましょう。

 なお、IPv4でも、“v6プラス”や“transix”といったサービスを利用している場合は注意が必要です。“v6プラス”の場合はレジストリでリモートデスクトップが利用するポートを変更することで対応することも不可能ではありませんが、“transix”の場合はNAT(アドレス変換)の機能が事業者側で実施されるため、対応できません。

 “v6プラス”や“transix”の環境では、残念ながらリモートデスクトップをあきらめるか、接続元でIPv6が使える場合は、IPv6での接続を検討しましょう。

①エディションの確認

 まずは、接続先(受け付ける側)のパソコンのWindows 10のエディションを確認しましょう。リモートデスクトップの接続を受け付けるには、Windows 10 Pro/Enterpriseが実行されている必要があります。

「設定」アプリの[システム]画面にある[バージョン情報]でWindows 10のエディションを確認

②リモートデスクトップを有効化

 続いて、リモートデスクトップの機能を有効化します。これで他のパソコンからの接続を受け付けられるようになります。

「設定」アプリの[システム]画面にある[リモート デスクトップ]で、[リモート デスクトップを有効にする]を[オン]に設定

③ファイアウォールの確認

 Windowsのファイアウォールによってリモートデスクトップ接続が拒否されていると接続できません。通常は、リモートデスクトップを有効にした段階で、自動的に[受信の規則]が追加されますが、念のため確認しておくと安心です。

タスクバーの検索ボックスで[ファイアウォール]と検索し、[Windows Defender ファイアウォール]の設定画面を起動。左側にある[詳細設定]をクリック後、[受信の規則]をクリック。一覧画面をスクロールし、リモート デスクトップ関連の規則にチェックマークが付いている(有効になっている)ことを確認

④パソコンのIPアドレスを確認

 ルーターでポートマッピングの設定をするために、転送先として指定するパソコンのIPアドレスを確認します。実際に運用する場合は固定でIPアドレスを割り当てておくことを推奨します。

「設定」アプリの[ネットワークとインターネット]から[イーサネット](または[Wi-Fi])を選択し、接続中のネットワークをクリック。画面をスクロールし、[プロパティ]の部分で[IPv4 アドレス]の値を確認する

⑤ポートマッピングの設定

 ルーターのポートマッピング設定で、外部から受信したリモートデスクトップの通信(TCP 3389)をどのパソコンに転送するかを指定します。

ここではNECプラットフォームズの“Aterm WG2600HP3”を使って設定。ルーターによって設定画面に違いはあるが、宛先LANのホスト、転送したいプロトコル、ポート番号を指定するルールは基本的に同じ。LAN側のホストは、④で調べたIPアドレスを指定。プロトコルは“TCP”、ポート番号は“3389”を指定する
追加されたポートマッピングのルール

⑥WAN側のアドレスを確認

 接続先として指定するWAN側のグローバルIPアドレスを確認します。ルーターの接続状態画面などから、WAN側IPアドレスを確認しておきましょう。

 なお、DynamicDNSを使えば、IPアドレスではなく、ホスト名で接続できるうえ、WAN側のIPアドレスが変更されても(再接続で値が変わる)対応できる。ルーターにDynamicDNSサービスが搭載されている場合はそれを利用し、そうでない場合は“No-IP”などの外部サービスの利用を検討しよう。

WAN側のIPアドレスを確認する

⑦接続

 準備はこれで完了です。早速、外出先のパソコンから接続してみましょう。タスクバーの検索ボックスで[リモートデスクトップ]で検索して[リモートデスクトップ接続]を起動し、接続先として⑥で調べたWAN側のグローバルIPアドレスを指定しましょう。

[リモートデスクトップ接続]を起動し、接続先にWAN側のIPアドレスを指定する
接続するアカウントを指定する。標準では、現在パソコンにサインインしているアカウントが表示されるので、[その他]をクリックしてから[別のアカウントを使用する]を選択し、接続先のパソコンで使っているアカウントを指定する
[接続]ボタンをクリックすると、リモートデスクトップで接続される。

編集部追記:WAN側からRDP接続を許可することはセキュリティ上のリスクがあるため、Windowsにログインするパスワードの強度を高める、不要な場合はルーターのTCP3389ポートは閉じておく、どうしても必要な場合はレジストリでRDP接続に使用するポートを変更しておく等の対策を行うことを強くお勧めします。