柳谷智宣のAI ウォッチ!
「Nano Banana Pro」が凄すぎる。グラレコからサムネ画像、広告バナーに漫画、画像合成までこなす最新画像生成AIの実力
覚醒したGoogleの画像生成AIを試す、徹底レビュー&プロンプト集[特別編]
2025年12月9日 09:00
11月20日、Google DeepMindが画像生成AI「Nano Banana Pro」(Gemini 3 Pro Image)をリリースした。従来の「Nano Banana」(Gemini 2.5 Flash Image)のバージョンアップ版で、Gemini 3 Proを利用し、大幅に性能が向上している。
より賢くなり、何でもできるようになった上、日本語の描画能力まで上がっており、アイデア次第で実用レベルのさまざまな画像を生成することが可能だ。早速、いろいろ試してみたので、今回は使用したプロンプトと合わせて紹介する。
「Nano Banana Pro」が凄すぎる
イラストと文字をふんだんに使ったグラレコ風画像を作ってみる
まずは、これまで難易度が高かったイラストと文字をふんだんに使ったグラレコ風解説画像を作ってみよう。
本連載の記事を読み込ませ、グラレコ風画像にしてもらった。最初、画像より先に構成案を出してきて確認を求めてきたので「そのステップは不要」という指示も入れた。
Geminiなので、要約と内容の構造化はお手のもの。肝心の文字表現だが、ほぼ完ぺきだ。細かい文字を大量に入れていると、ときどき文字化けが発生するが、以前と比べると格段に改善されている。
STEP1:以下の記事を要約してください。
生成AIは脅威ではなく相棒だ! AIを24時間365日対応の最強家庭教師にして「リスキリング迷子」から脱出せよ
https://forest.watch.impress.co.jp/docs/serial/yaaiwatch/2062721.html
STEP2:その内容を1枚のグラレコ風画像にしてください。
命令:要約後、すぐに画像を生成してください。構成案の提示は不要。
画像編集も試しつつ、YouTubeのサムネ画像を作ってみる
次は、画像編集も試しつつ、YouTubeのサムネイル画像を作ってもらう。
犬の写真をアップしてテーマを与えてみる。あっという間に犬を切り抜いて、いい感じの画像ができた。ただ、犬の首輪が邪魔だったので「犬の首輪を消去して」と追加指示。あっけなくきれいに首輪を除去し、違和感なくレタッチしてくれた。
この犬を使って、AI解説系YouTubeのサムネ画像を作ってください。テーマは「Nano Banana Proの実力がヤバイ!」です。
プロンプトで文字を指定、講演のバナーを作ってみる
プロンプトで文字を指定することもできる。男性の写真に文字を載せて、講演のバナーを作ってみよう。
今回は「テキストを入れて、かっこよくデザインして」とだけ指示してみた。文字のサイズを判断して色も変えていて、いい感じ。
テキストごとに位置やサイズ、色、フォントなどをプロンプトで細かく指定することもできる。とはいえ、デザインセンスのない筆者の場合は、ある程度AIに任せる方がいい感じに仕上がることが多い。
画像に以下のテキストを入れてください。講演の広告バナーで使えるように、カッコよくデザインしてください。
###テキスト
開催:12月12日 会場:レベリングビル 会議室202
今日から“仕事が変わる”実践ワークフロー解説
生成AI活用講座~上級編
1分で生成できる漫画づくりが面白い
面白いのが漫画だ。
文字がきちんと表示される上、プロンプトをよく守るようになり、さらには添付画像もきちんと参照してくれる。例えば、背景と主人公のイラストをアップロードし、漫画の内容を指示すると、アップロードした主人公がその背景のシーンで指示通りに表現されるのだ。今回も構成案が出たので、次のプロンプトで「生成して」と入力してみた。
背景画像は客席側からの視点だが、きちんと1コマ目は主人公の正面から、2コマ目は横からの視点になっている。単なるイラストからでも、Geminiがしっかりと空間把握をしているのがわかる。
縦の2コマ漫画を生成して。
タイトル:「スマホを見ると……」
1コマ目:
カウンターに座っている男性がビールを飲みながらスマホで仕事メールを開く。(ウッ…嫌な連絡来た……)と心の声。
2コマ目:
カウンターの中のバーテンダーが「その顔は…強めのウイスキーいる?」と言い、ウイスキーの瓶と空のグラスを取り出す
男性「お願いします…」
レベルが高すぎる画像合成を試してみた
次は、黒柴の子犬を抱いている写真をアップロードして、ゴールデンレトリバーの子犬にしてみた。
合成のレベルが高すぎて、本物かどうか見分けがつかない。もはや、今後SNSで驚き画像を見ても、AIの可能性がちらつき、素直に驚けなくなるような気がする。
この子犬をゴールデンレトリバーの子犬にして
広告用のバナーを作ってみたら、想像を超える画像が出てきた
先述の通り、「Nano Banana Pro」は画像の合成も行える。最大14枚まで画像をアップロードして参照させることができる。オブジェクトは最大6枚、人物は最大5枚まで参照することが可能だ。
今回は、ウイスキーの商品画像、パッケージ画像、ブランドロゴの3枚をアップロードして「広告用のバナーを作って」と指示してみた。
これらの画像を組み合わせて、広告用のかっこいいバナーを作ってください。商品名は「海底熟成ウイスキー Tourbillon」、海に沈めて熟成させたウイスキーです。
想像を超える画像が出てきて驚いた。パッケージの印刷を見てフォントや色を判別し、ボトルのラベルの小さな文字を見て「シングルモルト」と判断している。パッケージが立っている写真は渡していないのに、商品の横にしっかりと並んでいるのもスゴイ。少ない手がかりをきちんと分析し、いろいろと工夫していることがわかる。
きちんとした写真を渡して欲しいイメージを伝えれば、ビジネスクオリティの画像も生成できそうだ。
「Nano Banana Pro」も著作権違反の画像を簡単に生成できる状態
OpenAIの動画生成AI「Sora 2」が著作権違反の画像を出力して問題になったが、「Nano Banana Pro」も同様だ。キャラクターの名前を入れるとそのまま出てくる。
例えば「『ドラえもん』が『生成AI~』と言いながら『Gemini』のアイコンを取り出す」という指示を出してみたところ、そのままの画像ができた。指示していないにもかかわらず、きちんと四次元ポケットから取り出しているのは賢いと言えば賢い。
「Sora 2」は、日本のコンテンツはガードレールをゆるくして、著作権に厳しいディズニーのミッキーマウスなどの生成は拒否していた。「Nano Banana Pro」はどうなのかと試してみたら、ミッキーマウスも見事に生成された。怖いものなしの状態だ。
これは本当にダメだと思う。そのうち、オプトアウトやオプトインの整備が行われ、著作権の所有者側にお金を還流させる仕組みを作るのだろうが、それまでにハイクオリティなディープフェイクが大量に作成されてしまう。なるべく早く対応してもらいたいところだ。
「Nano Banana Pro」は最高に楽しいツール
「Nano Banana Pro」は、無料アカウントでも利用できるが、数回で利用制限がかかり、通常の「Nano Banana」に切り替わる。有料のGemini AI PlusやPro、Ultraプランであれば、存分に生成できる。
日本語テキストの描画能力が向上したことにより、一気に実用度が高まった「Nano Banana Pro」。漫画の表現や画像の合成・編集機能もパワーアップしており、これまでは「惜しい」止まりだった部分が解消され、クリエイティブな実務で即戦力となり得る。その一方で、著作権保護のガードレールが機能していない点は看過できないリスクであり、利用者のモラルとリテラシーが問われる状況になっている。
とはいえ、最高に楽しいツールであることは間違いない。ぜひ、すぐにでも触ってみて、その実力に驚いてほしい。
著者プロフィール:柳谷 智宣
IT・ビジネス関連のライター。キャリアは26年目で、デジタルガジェットからWebサービス、コンシューマー製品からエンタープライズ製品まで幅広く手掛ける。近年はAI、SaaS、DX領域に注力している。日々、大量の原稿を執筆しており、生成AIがないと仕事をさばけない状態になっている。
・著者Webサイト:https://prof.yanagiya.biz/
























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