特別企画

ペーパーレス化の頼もしい味方!世界初のPDF“追記”アプリ「AxelaNote」の魅力とは

編集禁止の書類にも書き込み可能。ファイルを編集せずに“追記”する画期的な仕組み

 2020年9月、行政手続きで求める押印の原則廃止が内閣府から全省庁に要請された。書面提出の制度や慣行も見直されており、社会全体でペーパーレス化と業務効率化が推進されている。

 また、働き方改革関連法の施行により、多くの企業で改革が迫られている。昨今では、新型コロナウイルスの影響もあり、多くの企業でテレワーク(リモートワーク)の導入も促進されている状況だ。

 ペーパーレス化とテレワーク導入は共通する課題が多く、ペーパーレス化によって、実質テレワークの環境も改善される。紙に代わるデジタルデータの代表格はPDFだろう。

 今回紹介するのは、PDFファイルに文字や図形を“追記”できる「AxelaNote」(アクセラノート)だ。東京都立大学(首都大学東京より2020年4月に改称)発のベンチャー企業(株)TransRecogが、開発・提供する。

「AxelaNote」v1.82 Build 1082

 「AxelaNote」は、いわゆる“PDF編集ソフト”とはPDFファイルへのアプローチが異なり、“世界初のWindows用追記アプリ”と同社は謳う。それも伊達ではなく、日産自動車株式会社や公益財団法人東京しごと財団での導入も進んでおり、ペーパーレス化社会の一翼を担うアプリともいえる。本稿ではその魅力について掘り下げてみたい。

PDFファイルを“編集しない”ことが最大の特徴

 「AxelaNote」の最大の特徴は、PDFファイルそのものを“編集しない”こと。これが、ほかのPDF編集ソフトと一線を画すところだ。原本となるPDFファイルに“透明なシート”を重ねて追記していく仕組みだ。

「AxelaNote」は、原本となるPDFファイルに“透明なシート”を重ねて追記する(プレスリリースより引用)

 画像編集ソフトを使用している方なら、レイヤーをイメージするとわかりやすいと思う。PDFファイルの上に、「AxelaNote」を“重ねて”文字や図形を追記する。原本のPDFファイルを“編集しない”ため、どんなPDFファイルでも“追記”できるわけだ。

 詳しくは後述するが、「AxelaNote」からは、拡張子“.axl”の付与されたファイルが生成される。原本のPDFと対になるファイルだ。

 謄本などの公的な書類や設計図面など、編集できない、もしくは編集してはいけない文書が世の中にはたくさんある。AXL形式のファイルのみを更新する仕組みが、結果的に原本の改ざんを防ぐことになる。

その作業は編集? それとも注釈の追加?

 「AxelaNote」の活用例や具体的な操作を紹介する前に、そもそもPDFファイルが手軽に編集できないのはなぜか? PDFの成り立ちを簡単に振り返っておこう。

 PDF(Portable Document Format)は、1993年にアドビシステムズ(現アドビ)が開発・提唱したファイル形式だ。ご存じの通り、アドビは図版、文字、画像などのデジタルデータをまとめて扱えるソフト「Illustrator」や「Photoshop」などの開発元でもある。

 当時のアドビは、それらのソフトで作成したデータを“印刷する”ほか、複数のデジタルデータを“パッケージ(オーサリング)する”ことを模索していた。そのパッケージ内の個々のデータを固定し、どのOSやデバイスで表示してもレイアウトを保つのに適したファイル形式として誕生したのがPDFファイルである。つまり、元々PDFファイルは“編集できない(しない)”ものなのだ。

 例えば、チームのメンバーと共同作業する際、ファイルを相互に“編集できる”ことを重視して、docx形式やxlsx形式のファイルを利用する。作業が最終段階となると、納品用のファイルとしてPDF形式に変換し、“編集できない”状態にすることがあるだろう。

 しかし、なんにでも間違いはつきもので、修正指示をPDFファイルに書き込むことになる。この時、主に使うのはマーカーを引いたり、コメントしたりする“注釈”ツールだ。それに対して、文字の書き換え、図形などの移動や削除、ページの追加や削除、PDFファイルの分割や結合といった操作が“編集”となる。しかし、前述の通りそれはPDFファイルで本来するべきことではないし、PDFファイルの性質によっては“改ざん”となる恐れすらある。

マーカーを引き、注釈を追加した状態のPDFファイル
文字の書き換えや図形などの移動が可能な状態のPDFファイル

編集禁止のPDFファイルに“追記”できる

 「AxelaNote」に話を戻そう。前述の通り、「AxelaNote」の強みは、制限があるPDFファイルにも“追記”できることだ。以下は、パスワードによって編集を制限したPDFファイルのセキュリティ設定の画面だ。

パスワードで編集を制限したPDFファイルのセキュリティ設定画面
“注釈”ツールがグレーアウトして利用できないことがわかる

 このPDFファイルは、パスワードがわからない限りPDF編集ソフトでは注釈の追加さえできないのだが、「AxelaNote」で開けばコメントやテキストボックスの追加ができるのだ。“PDFファイルを開く”こと自体にパスワードが設定されている場合は、「AxelaNote」の起動時にパスワード入力画面が表示される。

同じPDFファイルを「AxelaNote」で開いたところ。編集禁止のPDFファイルだが、「AxelaNote」の“透明なシート”により、マーカーやコメントの“追記”が可能

 “追記”の結果をさらにPDFファイルとして保存できるのも、「AxelaNote」の特徴だ。追記した“透明なシート”もろとも出力できる。出力したPDFは、もちろん一般的なPDFソフトで表示可能だ。

ツールバーの[PDF出力]をクリックし、解像度を指定して出力すると、一般的なPDFソフトで追記したPDFを表示できる。右側の[画像]の項目でフォーマット(JPEG/PNG)を選択して、画像として出力することも可能だ

 ツールバーの[ファイル保存]ボタンをクリックすると、AXLファイルが生成される。これが「AxelaNote」の“透明なシート”だ。

ツールバーの[ファイル保存]をクリックすると、PDFファイルと同じフォルダーにAXLファイルが生成される
“追記”した状態のPDFファイルを「AxelaNote」で開くには、PDFファイルとAXLファイルを同じフォルダーに置いておけばよい

 “追記”した状態のPDFファイルを開くには、このAXLファイルを「AxelaNote」から開くかダブルクリックするといった、一般的なWindowsアプリと同じ操作をすればよい。PDFファイルとAXLファイルが同一フォルダーに置いてさえあれば、特に意識する必要はない。

 例えば、印刷入稿データや設計図面など、クライアントから預かっているデータなら、安易に更新してはいけない。印刷業界や建築業界などから「AxelaNote」への問い合わせが多いのもうなずける。また、教育関係者からも注目されているようだ。

シンプルに見えて豊富なツール群

 ここで、実際に“追記”に利用するツールを見てみよう。

「AxelaNote」なら、原本のPDFファイルを更新せずに、さまざまな“追記”が可能だ(同社提供)

 「AxelaNote」のツールバー左側から[アンドゥ(やり直し)][リドゥ(繰り返し)][ファイル読み込み][ファイル保存][PDF出力][拡大][縮小]とボタンが並ぶ。その右側からのボタンが追記用のツールになる。

 [蛍光ペン]の色、濃度、太さのオプションは、[線][四角・描画][フリーハンド]の[太さ][色]とは独立している。蛍光ペンと普通のペンの2本持ち替えて利用できるイメージだ。テキストボックスの文字色は“ペン”と連動する。

[蛍光ペン]のボタンからは、色の濃淡の指定やペンの太さを選択できる
[線][四角・描画]のボタンからは図形の形状を指定する。[フリーハンド]のボタンはペンやマウスで文字通りフリーハンドで描き込むことができる
[線][四角・描画][フリーハンド]の線の太さを指定する
[線][四角・描画][フリーハンド][テキスト]の色を指定する

 追加したオブジェクトは[選択ツール]を使って選択。テキストボックスを再編集するにはダブルクリックが必要だ。オブジェクトの消去には[消しゴムツール]を使用する。

[選択ツール]でオブジェクトの選択、[手のひらツール]で表示位置の移動、[消しゴムツール]でオブジェクトの消去ができる

 項目にマウスポインターを合わせれば、ツールチップが表示されるので操作に迷うことは少ないだろう。下方向へのオプションに加え、右方向に展開できるサブオプションのある項目も用意されており、シンプルに見えて用意されているツールは豊富だ。

校正作業には“定型語句”が便利

 テキストボックスに関して、オススメの機能が[定型語句]だ。挿入したテキストボックス上部に表示される小さなメニューから、よく使う文言を定型語句として登録できる。頻繁に確認・校正作業をする方は重宝するはずだ。

[テキスト]ボタンでテキストボックスを配置できる。フォントの種類とサイズは右側の項目で指定する
テキストボックス上部の[定型語句]ボタンをクリックすると、定型語句の登録用ダイアログボックスが表示される。[カテゴリ]や[定型語句]を右クリックして[追加]を選択すると追加ができる
登録した定型語句はダブルクリックすることでテキストボックスに入力可能

 標準で用意されている文言はサンプルなので、すべて削除して自分好みにカスタマイズしてもいい。[定型語句]の左側にある[分類の選択]は修正指示の分類を意味する。集計機能が備わっており、修正の傾向を把握したいときに便利だ。長い論文などの校正時に使えるだろう。

[定型語句]の左側にある[分類の選択]から、修正指示を分類することができる

 定型語句のほか、修正指示にテキストボックスを利用するメリットはまだある。「AxelaNote」のもう1つの保存形式であるCSV形式を使うと、テキストボックスの内容、位置をCSVファイルに出力し、Excelなどで一覧表示できるのだ。

画面右上の歯車のアイコンから[設定]をクリックし、設定画面の[CSVファイルを保存する]にチェックを付けると、AXLファイルと同時にCSVファイルも保存される。「AxelaNote」に追記した内容がExcelなどで一覧で確認できるのは便利だ

同じ操作を繰り返す&オリジナルスタンプ

 ちょっと便利な設定が[自動で選択アイテムに遷移しない]だ。例えばテストの採点やチェックシートへのチェックマーク挿入など、連続して同じ図形を挿入するような場合にはぜひ設定しておきたい。たかが1クリックの省略だが、日常業務では生産性の向上にじわりと効いてくる。

画面右上の歯車のアイコンから[設定]をクリックし、設定画面の[自動で選択アイテムに遷移しない]にチェックを付けると、連続して同じツールを使えるようになる。学校現場でテストの丸付けをするときなどに重宝するだろう

 最後に紹介したいのがオリジナルのスタンプ機能。「AxelaNote」には、認印と日付印の2つが用意されており、名前、サイズ、フォント色などを任意に設定できる。電子署名ほどの厳格さが必要ない、社内での文書回覧などにはうってつけだ。

画面右上の歯車のアイコンから[スタンプ設定]をクリックして表示されるスタンプ設定画面。左側が認印の設定、右側が日付印の設定だ。名前、サイズ、フォント、色などを任意に設定できる
[図形・描画]ボタンからスタンプを選択すると、クリックした位置に設定したスタンプを捺すことができる

 「AxelaNote」はペンタブレットPCでの利用を製品コンセプトとして開発されており、これらの機能すべてがペンのみの環境でも利用できる。マウスとキーボードが接続されたデスクワークではない、機動性の求められる業界や現場には重要なポイントだろう。ほかにも、ここでは紹介しきれなかった分類集計機能や輪郭抽出機能など、同社のブログにて、バージョンアップの詳細について公開されているので参考にして欲しい。

 代表取締役の小林氏は、ビジネススクール通学時代、配布資料にメモできるツールを熱望したことが、「AxelaNote」開発のきっかけだったと自身のブログで語る。ひと通り「AxelaNote」を操作してみて、確認・校正作業に重宝するアプリだと感じた。

 なお、「AxelaNote」の動作には無償の「Acrobat Reader DC」が必須となる。普段使いのPDFソフトがある方には「Acrobat Reader DC」必須の仕様が気になるかも知れないが、それは既定のアプリの設定で使い分ければよい。書き込みが必要な時には「AxelaNote」を起動する、という使う方でも十分に利用価値がある。

 「AxelaNote」は、月額390円(税別)と年額3,900円(税別)の2パターンで契約可能だ。今なら、2020年12月31日締切の先着100社まで、半額の年額1,950円(税別)、1社につき10ライセンスまで割引価格が適用されるキャンペーンも行っている。

 公式サイトからダウンロードして、30日間無料で試してから購入を検討していただきたい。

[制作協力:テックウインド株式会社]

ソフトウェア情報

「AxelaNote」
【著作権者】
(株)TransRecog
【対応OS】
Windows 10
【ソフト種別】
シェアウェア
【バージョン】
Ver 1.82 Build 1082(20/11/10)