特別企画
習熟度に合わせて入力モードを選べる「ガッチリ節税 青色申告 2011」無料版
無料ながら取引入力から決算書や申告書の印刷までワンストップで対応
今月21日に(株)アスクより、3月末までの期間限定で公開された「ガッチリ節税 青色申告 2011」無料版は、青色申告に必要な記帳から帳票出力までを行える青色申告ソフト。習熟度に合わせて簡単モードと通常モードの2つの取引入力モードを切り替えることができ、日々の仕訳から確定申告に必要な決算書の印刷までをワンストップで行える。Windows XP/Vista/7および64bit版のVista/7に対応するソフトで、無料版に加え、消費税申告などの機能制限のない7,980円(税込み)の製品版が31日にダウンロード版として発売予定だ。
“簡単モード”と“通常モード”の2つのモードから選べる
確定申告を目前にしたこの時期、個人事業主を中心に、どの申告ソフトを利用すべきか迷っている人は多いのではないだろうか。確定申告ソフトの多くは税制改正の絡みもあって利用期限が1年とされているので、昨年使っていたソフトが期限切れで使えなくなっており、これから更新の手続きを行わなくてはいけない場合も少なくないだろう。
こうした人にお勧めしたいのが、今回紹介する「ガッチリ節税 青色申告 2011」無料版。無料でありながら、取引入力から決算書や申告書の印刷までワンストップで対応した青色申告ソフトだ。
インストールを終えて起動すると、新規設定ウィザードが表示される。このウィザードで、事業所情報のほか会計年度、業種、青色・白色の種別、預金の種類、銀行口座、得意先・仕入先などの情報を入力する。他社のソフトにもみられる導入アドバイザー系の機能だが、極端にステップが長すぎることもなく、簡潔にまとまっている印象だ。もちろん、入力をスキップした場合でも、あとから追加や修正を行うことができる。
新規設定ウィザードが完了すると、メイン画面が表示される。本ソフトでは“簡単モード”と“通常モード”の2つのモードが用意されており、デフォルトでは簡単モードで表示される。この簡単モードでは確定申告を前提にしたウィザードライクな入力ステップが表示されるので、前年分の入力をこれからまとめて行う場合、こちらのモードを用いて入力していくとよい。他社ソフトの利用経験があり、仕訳日記帳からの入力のほうが慣れているという場合は、通常モードに切り替えるとよいだろう。
入力しやすく工夫された取引入力画面
“簡単モード”は5つのステップに分かれている。まずは青色申告の準備として、入力を容易にするためのマスタ設定や辞書設定を行う。“マスタ設定”では、各勘定科目に対する補助科目の設定のほか、年初の残高を入力したり、家事按分の割合を設定する。まずはここをしっかりと入力していくことで、以降の伝票入力が容易になるというわけだ。別の青色申告ソフトから乗り換える場合は、過去のデータを見ながら転記するとよい。
また“取引辞書登録”では、勘定科目に対する摘要欄のコメントを設定しておける。たとえば借方に“普通預金”、貸方に“現金”という組み合わせで入力した場合は、摘要欄へ自動的に“預金口座に現金を預け入れ”といったコメントが追加される、といった具合だ。あらかじめ多くのコメントが用意されているが、それ以外にも自分が後日見たときに直感的に理解できるよう、積極的にコメントを登録しておくことをお勧めする。
続いて取引内容の入力。“簡単入力”の画面からは、仕訳の知識がなくとも、取引の種類や内容をリストから選択して入力していくことができる。もし借方や貸方といった従来の仕訳入力のほうがやりやすければ、通常モードに切り替えた上で、仕訳日記帳や入金伝票、現金出納帳、売掛帳など目的に合った伝票および出納帳から入力していけばよい。他社の会計ソフトを使ったことのあるユーザーであれば、すぐに馴染むことができるだろう。予期しない方向にカーソルが移動するといった、独特のクセがないのもよい。
ひとつ気になったのは、取引日のデフォルト値が期末である12月31日に固定されており、前の取引を入力し終えて次の取引を入力しようとすると、また12月31日に戻ってしまうこと。取引は日付順に入力していくことが多いと思われるので、直前に入力した日付を引き継いでくれれば、さらに使いやすくなりそうだ。
決算書や申告書はもちろん、仕訳日記帳など帳票類の印刷にも対応
ここまでのステップで伝票の入力がすべて完了したら、次はいよいよ決算書の作成だ。あらためて家事按分を行ったのち、青色申告決算書の印刷プレビュー画面で内容を確認してから印刷を実行する。普通に入力ができていれば、65万円の特別控除の対象となる決算書一式が印刷できるはずだ。もしこの時点で計算がおかしかったり、項目に抜けがあるようなら、前のステップに戻ってチェックする。ちなみに減価償却資産の入力などもこの画面で行う。
決算書の作成が終わったら最後のステップ、申告書の作成だ。前のステップで決算書が正しく出力できていれば、あとは控除額や、還付金がある場合の振り込み先などいくつかの項目を入力して印刷を実行すれば、『平成22年分の所得税の確定申告書』が印刷される。
ところで本ソフトは無料でありながら、決算書や申告書のほか、仕訳日記帳などの帳票類の印刷にもしっかり対応しているのが特徴だ。帳票類の印刷時は背景に“Free Edition”というスタンプが追加されるのだが、実用上とくに問題はない。少なくとも提出が必要な決算書や申告書についてはこうしたスタンプもないので、無料版のままで使っても提出先には見分けがつかない。もちろん有料の製品版であれば、スタンプなしでの帳票印刷が可能だ。
さて、青色申告に必要な書類の作成は以上なのだが、最後にもうひとつ、今期の振り返りを行うためのステップが用意されている。期首に立てた目標に対してどの程度の実績を達成できたのかをグラフで表示するという画面である。青色申告向けの書類の作成だけでなく、入力した数字の傾向を見たいという人は、これらの機能を活用してもよいだろう。
他ソフトからの乗り換えはもちろん、初めて青色・白色申告をするユーザーにもお勧め
市販の青色申告ソフトや確定申告ソフトには、一般的なWindows対応ソフトとは違った独特の操作性をもった製品が多く、申告以前に入力するだけで一苦労ということも少なくないが、本ソフトは操作性が素直で、慣れるまでの時間も短くて済む。ほかのソフトからの乗り換えを十二分に意識した作りになっているので、これから確定申告に向けて、今年度用の青色申告ソフトをあらためて購入したり、ライセンス延長の手続きを取らなくてはいけないユーザーなら、その前に本ソフトを試す価値は十分にあるだろう。該当期間中に他社ソフトで途中まで入力しかけたデータがあれば、汎用CSVデータのインポート機能で取り込むこともできる。
また本ソフトは、青色申告ソフトと銘打ってはいるものの白色申告にも利用可能。わかりやすいウィザードや充実したヘルプ機能と合わせて、副業での収入を申告しなくてはいけないユーザーや、初めて独力で確定申告を行うユーザーにもお勧めできる。ただし電話およびメールによる専用サポートについては製品版のみとなるので、これらがないと心細いというユーザーは、製品版や他社の有料ソフトを候補に製品を選ぶとよいだろう。
無料版と製品版の違いとして、専用サポートの有無のほか、消費税申告への対応の有無が挙げられる。消費税の申告は売上が一千万円を超えると必要になるので、年間の売上高がこのラインを上回っているようであれば、無料版ではなく製品版の利用が必須となる。もっとも、取引を入力しているうちに消費税申告が必要であることに気づいた場合でも、その時点で製品版に切り替えればいいだけの話なので、入力済みのデータが無駄になるといった心配はない。
また、多くの青色申告ソフトと同様に利用期限は12カ月に限定されているが、データをエクスポートした上で再度インポートすることで次年度へのデータ繰越が可能であるなど、無料版ながらも良心的な作りとなっている。また発売元のアスク社によると、翌年も無料版はリリースされる予定とのことなので、乗り換えた翌年にいちからデータを作り直さなくてはならないといった心配はない。
製品版の価格も7,980円と他社に比べ安価に設定されており、こちらはエクスポート機能とは別に次年度へのデータ繰越機能も使えるとのことなので、無料版を試してみて気に入ったら製品版を購入するのもよいだろう。
「ガッチリ節税 青色申告 2011」無料版
- 【著作権者】
- プライマル(株)
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7/Vista x64/7 x64
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 1.0.0.0(11/01/21)