特別企画
「Sleipnir 3」徹底解剖
“タブグループ”“TouchPaging”などの新機能や新しくなったUIを解説
(11/11/17)
11月16日、定番のWebブラウザー「Sleipnir」が約6年ぶりにメジャーバージョンアップし、「Sleipnir 3 for Windows」として公開された。開発元であるフェンリル(株)が開発を表明してから約3年、Webブラウザーを取り巻く環境が変化するなかで公開された「Sleipnir 3 for Windows」は大きな進化を遂げ、全く新しいWebブラウザーとなっている。
本特別企画では、「Sleipnir 3 for Windows」で大きく変化したユーザーインターフェイスや新機能を取り上げ、その使い方を紹介していく。
無駄を廃したシンプルなウィンドウデザイン
まず目につくのはv2シリーズとは全く別物になったウィンドウデザインだろう。ツールバーは廃止され、メニューバーも基本的には表示されない。また、戻る・進むボタンなどとアドレスバー、検索バーが1段に納められ、更新ボタンと中止ボタンはアドレスバーと一体化している。さらに、ステータスバーも廃止され、リンクにマウスカーソルが重なった場合のみウィンドウの左下にリンク先のURLが表示される仕様になった。昨今のWebブラウザーの流れに沿ったシンプルなデザインで、Webページの表示領域を広く取れるようになっている。
その代わりにタイトルバー左端へ[Sleipnir]ボタンが追加された。[Sleipnir]ボタンから表示されるメニューでは、ブックマークやヘルプ関連の操作のほか、設定画面の呼び出しに加え、Webページ上で選択したURLやクリップボードへコピーしたURLを新規タブで開くといった操作が可能。また、[Alt]キーを押すことで従来型のメニューバーを表示することもできる。
さらに、タブバーの右端には、閉じたタブの復元・ホームページの表示・コピーやページ内検索、印刷などを行うためのボタンなどが配置されている。これらにより、シンプルなデザインでも、多様な機能へすばやくアクセスすることが可能だ。
2段タブによるタブグループ機能で大量のタブを整理
タブ機能も強化され、2段のタブバーによるタブグループ機能が追加された。タブグループ機能では、上段のタブを切り替えることで下段に表示されるタブを一気に切り替え可能。下段のタブは上段タブへのドラッグ&ドロップで好きなタブグループへ移動でき、大量のタブを開いて作業する場合も必要なタブのみを表示できる。
また、検索欄から検索を行った際は自動で専用の“検索結果”タブグループが追加され、検索結果が表示される。これにより、大量のタブを開くことになりがちなWeb検索による情報収集時に、関連するWebページを意識せずにグループ化可能。タブバーの上段は、タブバー下段の左端にあるボタンなどから非表示にすることもできる。
さらに、タブを“Favicon”のみの表示にして常にタブバー上へ表示できる“Tablet”機能も追加された。そのほか、タブ上へマウスカーソルを重ねてしばらく待つとそのタブのサムネイルを表示でき、サムネイルの上部にあるボタンからそのタブをブックマークに追加したり、そのタブの左または右にあるタブをすべて閉じるといった操作が可能。
進化したマウスジェスチャー“TouchPaging”
マウスジェスチャー機能は、スマートフォン向けの「Sleipnir Mobile」で好評の機能を取り入れ、“TouchPaging”へと進化した。“TouchPaging”では、Webページ上を右ドラッグで勢いよく動かすフリック操作で、慣性をつけてページをスクロール可能。また、Webページ上の左右の端からさらに左右へスワイプすると、画面が横にスクロールして隣のタブへ切り替わる。
さらに、これまでになかった円や斜め方向へのマウスジェスチャーによる操作も加わった。新たに追加されたマウスジェスチャーは以下の通り。
- “下”→“右”→“上”:直前に閉じたタブを開く
- “下”→“右”→“下”→“右”:すべてのタブを閉じる
- “左下”→“右下”→“左下”:選択したテキストをWeb検索
- “右上”:フルスクリーン表示に切り替え
- “左下”:ウィンドウ表示に切り替え
- 時計回りに1回転:Webページの更新
- 時計回りに2回転:タブグループ全体の更新
なお“TouchPaging”のマウスジェスチャーでは、利用頻度の高いと思われる“戻る”“進む”操作は用意されていないが、マウスの右ボタンを押しながら左ボタンを押すことで“戻る”、マウスの左ボタンを押しながら右ボタンを押すことで“進む”操作を実現可能。また、設定により“TouchPaging”の代わりにv2系のマウスジェスチャーを利用可能で、v2系のマウスジェスチャーを選択した際はカスタマイズすることもできる。
ブックマークは「FenrirFS」と連携してラベルで管理
ブックマークは、従来のフォルダによる管理からラベルによる管理へと変貌を遂げ、大量のブックマークを効率的に管理できるようになった。ラベルによるブックマーク管理では、Webページに複数のラベルを付加して管理可能なほか、ラベルに階層構造をもたせることも可能。また、同梱のファイル管理ソフト「FenrirFS」でブックマークを整理することが可能になり、大幅に作業効率が上がっている。
ブックマークに登録したWebページは、ブックマークバー上に並んだラベルをクリックすると表示されるメニューから開くほか、ブックマークバーの左端にある星形のボタンから表示されるポップアップ上のツリーからWebページを開いたり、ラベルを付加するといった操作が可能。さらに、よく使うWebページにはラベルとは別に“リボン”を付加することで、ブックマークバー上の[リボン]ボタンなどからすばやくアクセスできるようになる。
「FenrirFS」によるブックマークを整理するには、まずブックマークバー上の「FenrirFS」アイコンをクリックして「FenrirFS」を起動する。すると“Sleipnir お気に入り”プロファイルが開かれ、ドラッグ&ドロップなどでラベルの付加を行える。「FenrirFS」上では、“今日使ったお気に入り”“一週間以内に使ったお気に入り”“一ヶ月以上使っていないお気に入り”といった“スマートフォルダ”も用意されている。
そのほか、設定により従来のフォルダによるブックマーク管理を行うことも可能。
“Sleipnir”シリーズのWebブラウザーとブックマークを同期する“Fenrir Pass”
同社のサービス“Fenrir Pass”を使えばほかのデバイス上の「Sleipnir 3 for Windows」や、Mac版の「Sleipnir 3 for Mac」、iOS版の「Sleipnir Mobile for iPhone / iPad」、Android版の「Sleipnir Mobile for Android」とブックマークを同期可能。ノートパソコンやスマートフォンで常に共通のブックマークを利用することで、どこに居ても同じWebサイトへすばやくアクセスできる。
“Fenrir Pass”のアカウントは、タブバー右端にある円形の[同期]ボタンのプルダウンメニューから[ブックマークの同期]-[アカウント]-[新規アカウント作成]項目を選択し、任意のユーザー名・パスワードと、メールアドレスを登録するだけで作成できる。ブックマークは自動で同期されるほか、任意のタイミングで同期を行うことも可能。
同社によると今後“Fenrir Pass”を使ったサービスを拡充し、デバイス間でのデータのやりとりや、Webサービスへのログインなどに利用できるようになっていく予定とのこと。
快適にWebブラウジングできるフルスクリーン表示
フルスクリーン表示は快適にWebブラウジングできるように改良された。フルスクリーン表示画面の上部には[Sleipnir]ボタンや[戻る][進む][更新]といったボタンとアドレス欄、ページタイトルが1段のツールバーに並び、画面下部には「Sleipnir Mobile」などと同様のタブのサムネイルが半透明で表示される。
ツールバーとタブのサムネイルはマウスが上下の端にない場合は自動で隠れる仕組みで、Webページの表示部分を最大限に取ることが可能だ。さらに、前述の“TouchPaging”と合わせて利用することでツールバーなどを表示しないまま快適なWebブラウジングができるだろう。
マルチスレッド処理で動作も軽快に
動作速度もマルチスレッド処理を利用することで大幅に向上しており、さらにリソースの管理を改良することで多数のタブを開いた際のパフォーマンスが大幅に向上した。また、バックグラウンドで開いているタブの処理を効率化する“エコモード”を搭載しており、大量のタブを開いていても動作の軽快さを損ねないようにできる。
旧バージョンのユーザーにも配慮されているのがうれしい
先進的な機能を多数備えて全く新たなWebブラウザーとなった「Sleipnir 3 for Windows」だが、マウスジェスチャーやタブ、ブックマークなどは従来の「Sleipnir」と同様の操作法に切り替えられるようになっている。旧バージョンの操作法に慣れたユーザーも戸惑わずに移行することができるだろう。
- 【著作権者】
- フェンリル(株)
- 【対応OS】
- Windows XP/Vista/7
- 【ソフト種別】
- フリーソフト
- 【バージョン】
- 3.0.0.4000(11/11/16)