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【第146回】

貿易ストラテジー「Trade Empires」

買い占めろ!! 売りさばけ!! そして世界を支配しろ!!

(01/08/29)

タイトル画面

 世界を支配するには、3つの方法があるそうだ。ひとつは武力によるもの。気に入らない相手は実力でねじ伏せてしまえばいいわけだから、これはわかりやすい。ふたつめは宗教や思想によるもの。被支配者から無償の忠誠を得ることができるので、支配度で言えば武力に勝るだろう。そして残るひとつが、経済によるもの。マクロでは国家・世界レベルで動いているが、実は家庭内や社内でもよくあるケース。我が家の場合も、家内が経済的に家族全員を支配し、筆者は重税と過酷な労働にあえぐ毎日だ。同時に武力的にも気持ち的にもすっかり支配下にあり、今後が思いやられる。…なんていうヨタ話はさておき、今回は物流と経済で世界を支配するストラテジーゲーム、「Trade Empires」を紹介しよう。

貿易によって都市や地域の活性化を目指す

デモ版では古代中国を舞台にしたシナリオをプレイできる
デモ版では古代中国を舞台にしたシナリオをプレイできる

 「Trade Empires」は、貿易を行うことによって都市を成長させるという、ちょっと変わったストラテジーゲームだ。プレイヤーは貿易商を演じて、都市間に物流ルートを構築する。食料や工業製品を移動させることによって都市の生産性をアップさせ、その地域の活性化を目指すというわけ。他の多くのストラテジーが都市の発展を農業や工業に求め、貿易はあくまでも資金獲得のための一手段と位置付けているのに対して、「Trade Empires」では逆に「貿易があるからこそ農業や工業が発展する」という発想に基づいているところがおもしろい。

古代中国を反映させた5つの商品を売買

面倒でも、まずはチュートリアルで操作の基本を学びたい
面倒でも、まずはチュートリアルで操作の基本を学びたい

 メインメニューが表示されたら、“LEARN TO PLAY”をクリックして、まずチュートリアルから始めてみよう。チュートリアルは全部で5種類用意されており、このゲームの基本を対話形式で学ぶことができる。画面いっぱいに表示される英語のメッセージにちょっとウンザリさせられるが、とりあえず最初のチュートリアルだけでも目をとおしておいたほうがいいだろう。

 再びメインメニューに戻ったら、“NEW GAME”をクリックしてプレイ開始だ。表示されるシナリオ一覧のうち一番上の“SHANG DYNASTY CHINA”を選択できる。これは古代中国を舞台にしたシナリオで、勝利条件は“Rice(米)”、“Millet(雑穀)”、“Silk Cloth(絹)”、“Jade Idols(ヒスイの像)”、“Bronze Vessels(青銅の壷)”の5品目を売買できるようにすること。しかしそのためには十分な人口を擁する都市をいくつか育てなければならないし、それなりに文明も発達させなければならない。

穀倉地帯に都市を建設する

全体マップで生産品目を確認する
全体マップで生産品目を確認する

 マップが表示されたら、最初に全体をくまなく眺めてみよう。都市はまだひとつもなく、一つだけ建っている建物がプレイヤーの本拠地だ。平地には林が点在するほか、四角い畑のようなものが見える。黒っぽい四角は“Millet(雑穀)”、白っぽい四角は“Rice(米)”。どちらも食料になるが、“Rice(米)”のほうが商品価値は高い。“Millet(雑穀)”は家畜の飼料と考えたほうがいいだろう。“Rice(米)”が豊かに収穫できそうな場所を探して、そのすぐ隣に都市を作ろう。画面左下の“CONSTRUCTION”ボタンを押して建設に関するメニューを開き、“MARKET”の中から“TRADING POST”を選んで場所をクリックする。するとそこに都市ができ上がり、自動的に中国っぽい名前が付けられるはずだ。

 “TRADING POST”をクリックすると、ウィンドウがポップアップ表示されて、その都市の詳細を見ることができる。生産物アイコンの横に表示されている赤色の矢印は、この都市で余っている商品。水色の矢印は、この都市で求められている商品だ。ようするに需要と供給のバランスを示しているわけで、プレイヤーはこの都市で赤色の商品を仕入れ、逆に水色の商品を売れば儲かることになる。


文明が進むと、様々な施設を建設できるようになる
文明が進むと、様々な施設を建設できるようになる


米と雑穀の貿易で人口を増やす

各都市の需要と供給のバランスを見ながら、貿易ルートを設定する 新しい文明が発見されたら、必ず自分のものにすること
各都市の需要と供給のバランスを見ながら、貿易ルートを設定する 新しい文明が発見されたら、必ず自分のものにすること
 貿易するためには2つ以上の都市が必要だ。“Rice(米)”を作る都市同士では貿易にならないので、もうひとつは“Millet(雑穀)”を豊富に収穫できそうな場所に都市を作ろう。距離はできるだけ近いほうがいい。こうして2つの都市ができ上がったら、貿易ルートを作る。画面左下の“ROUTES”ボタンをクリックしてルート設定メニューを開き、都市名と扱う商品を入力する。“Millet(雑穀)”と“Rice(米)”を交互に売買するルートを設定しよう。

 続いて、商人を雇用する。画面左下の“MERCHANTS”ボタンをクリックすると、3人の商人が表示されるはずだ。各商人にはそれぞれ「穀物の売却に長けている」「舗装されていない道の移動が早い」「商品の値崩れをさせにくい」などの才能があるので、これを見極めて雇用しよう。都市間に“Trail(小道)”があるなら“Shen Nubg”が、ないなら“Huang Ti”がおすすめだ。“ORDERS”ボタンをクリックして、雇用した商人にルートを指定すると、画面内を商人が動き回って自動的に貿易が行われる。

稼いで稼いで、稼ぎまくれ!!

“Palace(宮殿)”は絶好の売却相手。高価な品物を売りつけよう
“Palace(宮殿)”は絶好の売却相手。高価な品物を売りつけよう

 こうして穀物の貿易が始まると、都市の人口が増え始める。“A NEW ADVANCE(新たな進歩)”というダイアログが表示されたら、“Purchase(獲得)”ボタンをクリックして、必ず自分のものにすること。文明が発展するにしたがって、“Raw Silk(生糸)”、“Silk Cloth(絹)”、“Jade(ヒスイ)”、“Copper Ole(銅鉱石)”などが扱えるようになる。鉱山や養蚕場のそばに新しい都市を建設し、より付加価値の高い貿易を行おう。新たに商人も3~4人雇わなければならないだろう。

 効率よく貿易を行うために、都市間に“Trail(小道)”や“Rord(道)”を敷設するのもいい。また貿易は2点間を往復するより、三角貿易のほうが儲けやすい。ある程度都市が増えたら、貿易ルートを見直してみよう。こうして求められる5品目の売買が可能になれば、このシナリオは終了だ。ちなみに筆者のハイスコアは20,521点で、“Cunning Salesman(悪徳商人)”という名誉な称号を与えられた。

育成系が好きな人なら気に入るはず

5品目の売買が行えるようになるとゲームオーバー。さてスコアは?
5品目の売買が行えるようになるとゲームオーバー。さてスコアは?

 今回のテストプレイは苦しかった。はじめのうちはなにをどうすればいいのかまるで見当がつかず、遊び方を理解するまでにずいぶん時間が掛かってしまった。チュートリアルはとても丁寧に作られているのだが、そのぶん大量のメッセージを(もちろん全て英語)読まされることになってしまい、どうにも疲れてしまったのだ。

 しかし一度基本を理解してしまうと、このゲームは鳥肌が立つほどおもしろい。貿易を繰り返すことによってどんどん成長する都市や、新しく手に入る文明。どこで何を生産し、誰に運ばせ、どこで売るか? 効率よく利益を得るには、ただ大量に生産して売りさばけばいいというわけではなく、価格を維持するための生産調整も必要だ。プレイヤーが考えなければならないことは無数にあり、戦略性の高さを感じる。「シヴィライゼーション」や「A列車」など育成系のストラテジーが好きな人なら、きっと気に入るはずだ。ぜひお試しあれ!!

製品版では15本のシナリオを楽しめる

 デモ版では、今回紹介した“SHANG DYNASTY CHINA”を試すことができる。プレイ時間にして約1時間の短いシナリオだが、いろいろな戦略を試しながら、一気に4~5回は楽しめると思う。製品版には古代エジプトやギリシャ、フェニキア、産業革命期のイギリスなどを舞台に15本のシナリオが用意されており、シナリオごとに売買される商品や輸送手段も異なる。海上輸送や鉄道なども登場するようで、なかなかおもしろそうだ。

 製品版は今年の秋に発売される予定だが、日本国内での販売についてはいまのところ未定。奥の深いマニアックな作品なので万人ウケは難しいと思うが、なんとか日本での製品化を期待したいものだ。ひさしぶりに見た本格派のストラテジーであるだけに、今度は日本語版でじっくりと挑戦してみたい。

(Tedemo.exe、85.1MB、ゲームデモ)

□「Trade Empires」のホームページ
http://www.eidosinteractive.com/games/info.html?gmid=107
□「Trade Empires」のダウンロードページ
http://www.eidosinteractive.com/downloads/search.html?gmid=107

(駒沢 丈治)


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