【第151回】
「コサックス ~ 攻城の世紀 ~」
中世ヨーロッパを舞台にしたリアルタイムストラテジー
(01/10/03)
現代のように航空機が発達した時代では“無用の長物”…というか、ほとんど戦略的な価値を持たなくなってしまったが、17~18世紀のヨーロッパでは城塞や要塞が戦争の拠点だった。高く厚い城壁と、それを取り囲む堀。「敵が立てこもる城をいかに攻め落とすか?」は、攻撃側にとって重要な課題だ。その結果、火砲は著しい進化を遂げ、攻城兵器の主役となる。またこの時代はマスケット銃の登場や、短銃を装備した竜騎兵の登場によって野戦のスタイルも大きく変化した。武器や兵種の多様化が、新しい戦術を可能にしたからだ。今回はこうした時代の戦いをテーマにした作品、「コサックス ~ 攻城の世紀 ~」を紹介しよう。
豊富な兵種と陣形がおもしろい
「コサックス ~ 攻城の世紀 ~」はクォータービューでプレイする、リアルタイムのストラテジーだ。プレイ中の画面はマイクロソフトの「エイジ・オブ・エンパイア」に似ている。操作方法を含む多くの点もそっくりなので、「エイジ・オブ・エンパイア」をプレイしたことがある人なら、すぐに楽しむことができるだろう。
しかし外見は似ていても、コンセプトはだいぶ違う。まず第一に、登場する国家が中世ヨーロッパの諸国に限られていること。ザクセン、オーストリア、フランス、ポルトガル、ロシア、ウクライナなど16カ国が登場し、それぞれに強い個性が与えられている。さらにコサック傭兵や火砲が加わり、兵種の奇抜さは「エイジ・オブ・エンパイア」以上だ。また、このゲームには「陣形システム」が取り入れられている点もおもしろい。適切な陣形を組むことによって自軍の2~3倍もの大軍を撃破することもあり、そのぶんプレイヤーには緻密な用兵が求められる。
必要な施設を滞りなく建設せよ
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デモ版では“ランダムマップ”モードを試すことができる |
“製粉所”や“市場”を建てて、食料や必要な物資を生産する |
デモ版を起動したら、メインメニューから“シングルプレイ”をクリック。プレイヤー名を入力し、“シングルプレイ”メニューから“ランダムマップ”を選ぶ。表示されるマップ例を見ながら好みの地形を選択し、画面右下の“Start”ボタンをクリックするとプレイ開始だ。
ゲーム画面が表示されたら、プレイを続ける前に画面の中央上部にある“▼”ボタンをクリックしよう。メニューがプルダウン表示されたら、その中から“ゲームメニュー”→“オプション”を開いて、解像度とゲームモードの設定を行う。解像度は好みに合わせて適当に。ゲームモードは“高速モード”になっているが、操作に慣れないうちは、じっくり落ち着いてプレイできる“低速モード”のほうがいいだろう。
基本的な操作は、マウスのみで行うことができる。命令したい住民をマウスの左ボタンでクリック、もしくは範囲指定で選択し、建物の建築や行動を指定する。建造物は、画面左下の一覧から選択すること。とりあえず、“町の公会堂”“製粉所”“倉庫”“市場”“鉱山”“かじ屋”“歩兵育成所”“研究施設”の順に建てるといいだろう。序盤はとにかく生産施設を建てたくなるものだが、敵の部隊が偵察にやってくる場合に備えて、最低でも10名程度の歩兵か槍兵を用意するのを忘れないように。
金鉱と制海権の確保が基本戦略
このゲームでは、“食料”“石”“金”“鉄”“石炭”の5つが、国家を支える資源として登場する。勝利するためにはこれら全てが潤沢でなければならないが、その中でもとくに重要なのが“金”だ。兵を雇い、軍を動かすためにはとにかく“金”必要だし、文明の進歩にも莫大な“金”が欠かせない。プレイが始まったら手近な金鉱に人を派遣し、採掘と坑道の拡張を行うこと。逆に、敵の金鉱を破壊や奪取することができれば、戦力の拡充を阻止することができる。
十分な労働力と兵力を養うためには、食料も必要だ。食料は“製粉所(農場)”で生産できるが、“釣り舟”を使った漁業のほうがはるかに効率がいい。付近に海や湖がある場合は、できるだけ早く“造船所”を建てて“釣り舟”を稼動させよう。同時に“ガレオン船”も建造し、周囲を調査する。敵の“造船所”を先制して破壊すれば、制海権を確保できるだけでなく、敵の重要な食料源を絶つこともできる。文明が進み、“フリゲート艦”や“戦艦”を建造できるようになれば、沿岸部での戦いが圧倒的に有利になるだろう。
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水上での戦い。“ガレオン船”と“フリゲート艦”で敵を叩く |
兵種と陣形を使い分ける
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ズラリと並んだ騎馬軍団。隊列を組んで敵陣へ突入だ!! |
てき弾兵の部隊を派遣して敵の塔を破壊する。騎馬隊はその護衛 |
戦闘に勝利するためには、兵種と陣形が重要なポイントだ。“歩兵”“槍兵”“マスケット兵”は必ず陣形を組み、統率された部隊として戦わせるのが基本。陣形を組むには同種の兵士が36人、72人、120人、196人で1単位となり、欠員は許されない。もし同種の兵士が71人しかいない場合は、36人の陣形しか組むことができないので注意しよう。ただし、一度組んだ陣形は、その後欠員が生じても維持される。
兵種と陣形の使い方は戦術によって変わるが、それぞれの特徴を活かして戦いたい。たとえば“マスケット歩兵”は中距離での戦闘に強いが、接近戦持ち込まれると簡単に蹂躙されてしまう。“柵”や“槍兵”を配置して敵の動きを制し、その背後から撃つ戦法が有効だ。また“歩兵”“槍兵”“マスケット兵”は、建造物を破壊することができない。敵の塔や建造物を潰したい場合は“カノン砲”を使うこと。傭兵として雇うことができる“弓兵”や“てき弾兵”も、建造物の攻撃に威力を発揮する。
完成度の高いリアルタイムストラテジー
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弓兵で“歩兵育成所”を集中攻撃 |
敵の建物をすべて破壊、もしくは接収すれば勝利だ |
見た目は「エイジ・オブ・エンパイア」に似ているが、戦闘はさらに過激でおもしろい。100騎を超える騎馬大隊で敵地を蹂躙したり、槍兵の密集陣を数部隊並べて突入させたり、マスケット歩兵で防御陣を張ったりと、様々な戦い方を楽しむことができた。日本語化も良好で、海外からの移植ゲームにありがちな「バタくささ」も感じない。丁寧に作られた、完成度の高いリアルタイムストラテジーだと思う。
ただし「エイジ・オブ・エンパイア」に慣れたプレイヤーにとっては、似て非なるこの作品に違和感を覚えることもあるだろう。兵の生産が遅く、展開が緩く感じられるかもしれない。
デモ版とは思えない濃さ。ぜひお試しを
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人口の増減グラフと文明の発展が表示される |
デモ版では、毎回ランダムに生成されるマップで戦う“ランダムマップ”モードを試すことができる。利用できる軍隊は“オーストリア”のみ。…というと薄く聞こえてしまうかもしれないが、ランダムで作成されるマップは“地形タイプ”“土地の性質”“初期資源量”“鉱物資源”の4つを組み合わせて様々なタイプを造ることができるし、難易度も4段階の中から選ぶことができる。LANやインターネットを経由した対戦プレイ、公開されているロビーサーバーを使ったマルチプレイも可能だ。たっぷりと楽しめる内容なので、ぜひ一度お試しあれ。
製品版はすでに発売中で、価格は8,800円。Windows95/98/Me/2000に対応している。
(cossacks_jp_demo.zip、52.7MB、ゲームデモ)
□「コサックス ~ 攻城の世紀 ~」のホームページ
http://cossacks.zoo.co.jp/
□「コサックス ~ 攻城の世紀 ~」のダウンロードページ
http://cossacks.zoo.co.jp/download.html
(駒沢 丈治)
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