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Chromium/V8版「Microsoft Edge」に“IE モード” ~今年後半にも導入へ
Webで収集した情報を整理・共有できる“コレクション”や新しいプライバシーツールも
2019年5月7日 08:00
米Microsoftは5月6日(現地時間)、開発者向けイベント“Build 2019”で、プレビュー版「Microsoft Edge」に投入予定のアップデートを明らかにした。
同社は今年に入り、現行のEdgeHTML/Chakra版「Microsoft Edge」の後継として、オープンソースのChromium/V8をベースとした「Microsoft Edge Insider」をテストしている。レンダリングエンジンやJavaScriptエンジンが「Google Chrome」などと共通化されることにより互換性が向上するほか、開発コストの削減が期待できる。また、マルチプラットフォーム対応のChromium/V8がベースとなることで、Windows 10以外のプラットフォームでも「Microsoft Edge」が利用できるようになる(Windows 7/8.1向けやMac版の出荷が計画中)。
しかし、企業内部では「Internet Explorer」(IE)に依存するソリューションが多く残されており、「Internet Explorer」と「Microsoft Edge」の使い分けを強いられている現場は少なくない。このことはIT担当者による管理の負担やユーザーのトレーニングコストに悪影響を与えるが、なかには「Internet Explorer」への一本化によりモダンブラウザーへの移行が妨げられてしまうケースも見受けられる。
そこで、新しい「Microsoft Edge」では“IE モード”が新たに導入されるとのこと。わざわざブラウザーを切り替えなくても、「Microsoft Edge」の内部でレガシーコンテンツをシームレスかつ忠実にレンダリングすることができる。IEによるレンダリングが必要なサイトの特定には、既存のエンタープライズモードサイトリストが利用できるようだ。この機能は、今年後半の導入が予定されている。
そのほかにも、ユーザビリティを高める新機能が2件、アナウンスされた。いずれも将来バージョンに導入される予定。
1つ目は、Webで収集した情報を整理・共有できる“コレクション”だ。「Microsoft Edge」のサイドパネルにドラッグ&ドロップなどでテキストや画像を追加し、それをオンライン版の「Word」や「Excel」へエクスポートできる。公開リンクを生成して、エクスポートしたドキュメントを他のユーザーと共有するのも簡単だ。
また、エクスポートの際の変換処理にはクラウドベースの機械学習技術が用いられており、コンテンツの論理構造などをインテリジェントに処理できる。たとえば、商品の比較検討のために収集した情報を「Excel」へエクスポートすれば、価格順などで並び替えが可能なスプレッドシートに変換される。
2つ目は、エントリーユーザーでも簡単に扱えるプライバシーツールだ。Webサイトはより多くの広告収入を得るため、ユーザーの行動追跡(トラッキング)を行っていることが多い。ユーザーのプライバシーを保護するには行き過ぎたトラッキングを防止するのが望ましいが、一方でそうしたブロック策はWebサイトの互換性に悪影響を及ぼすことが懸念される。
そこで新しいプライバシーツールでは、プライバシーの保護強度を“Unrestricted(制限なし)”、“Balanced(バランス)”、“Strict(強固)”の3つから選べるようになる。状況に応じてプライバシー保護と互換性のどちらを優先するかを切り替えられるというわけだ。