年末年始に試したいWindows 10最新機能
第5回
着実な進化を遂げた「Microsoft Edge」 ~2019年は「Google Chrome」と同じ「Chromium」ベースに
メディアの自動再生の設定などを新たにサポート
2019年1月7日 07:15
登場から3年。着実な進化を遂げてきた「Microsoft Edge」
「Microsoft Edge」(当時は「Spartan」というコードネームで呼ばれていました)が「Windows 10」のテクニカルプレビュー版に搭載されたのは、2015年3月のこと。スクリプトエンジン「Chakra」に新しいレンダリングエンジン「EdgeHTML」を組み合わせ、パフォーマンスの向上とWeb標準技術への追従を図る一方で、Webページにペンで注釈を書き込む機能、Webページを保存してオフラインで閲覧する“リーディング リスト”、内蔵のPDFビューワー機能、コンテンツを読みやすく整形表示する“読み取りビュー”といったユニークな機能をサポートしていました。
その後も「Windows 10」の機能アップデートのたびに機能拡張が行われ、着実な進歩を遂げてきました。
- バージョン 1607:拡張機能をサポート
- バージョン 1703:EPUBリーダー、タブを保存して閉じる(set aside)機能、タブのプレビュー
- バージョン 1709:フルスクリーン表示、読み上げ機能
- バージョン 1803:“ハブ”のデザイン刷新、EPUBリーダーのオーバーホール、タブのミュート、ダークモードのサポート
また、iOSとAndroid向けにモバイル版「Microsoft Edge」が追加され、お気に入りやパスワードの同期がサポートされました。
「October 2018 Update」ではメディアの自動再生の設定などを新たにサポート
「October 2018 Update」でも引き続き「Microsoft Edge」の改善が行われています。なかでも注目したいのが、Webサイトごとにメディアの自動再生をコントロールできるようになったことです。Webページを開いたとき、いきなり音が鳴って(メディアが再生されて)びっくりしたことはありませんか? 「April 2018 Update」ではそれを防止するため、タブをミュート(無音化)する機能が追加されましたが、「October 2018 Update」ではこれをさらに強化して、ドメインごとにメディアの自動再生を制御できるようになりました。
メディアの自動再生オプションは、許可・制限・禁止の3つから選択可能で、それぞれの意味は以下の通りです。
- 許可:初期設定。タブがアクティブになったとき、自動再生のメディアがあれば再生される
- 制限:無音のメディアのみ自動再生が許可される
- 禁止:ユーザーが許可しない限り自動再生は行われない。一部のサイトで動作に不具合が出ることもある
ユーザーインターフェイス関連では、ツールバーのデザイン刷新とジャンプリストへの対応が目玉です。
ツールバーはカスタマイズ性が向上し、初期状態からあるボタンでも不要であれば削除できるようになりました。一方で[…]メニューは拡充され、それぞれのコマンドにアイコンが付くようになっています。
また、オプションの拡充に伴い、設定画面もリデザインされました。新しい設定画面にはナビゲーションパネルが導入されており、設定項目がわかりやすく整理されています。
ジャンプリストには、[新しいウィンドウ][新しい InPrivate ウィンドウ]コマンドに加え、よくアクセスするサイトが表示されるようになりました。ジャンプリストに固定表示しておきたい場合は、“ピン留め”を利用することもできます。
さらに、[ダウンロード]ペインでは右クリックメニューに[リンクのコピー]と[フォルダーに表示]コマンドが追加。ちょっとした改善ですが、使い勝手が大きく向上しました。
そのほかにも、“読み取りビュー”が強化されています。“読み取りビュー”は、Webページのヘッダーやサイドバー、広告などを取り除いて読みやすくする機能で、アドレスバーの“本”アイコンから利用できます(非対応ページではアイコンはグレーアウトされます)。「October 2018 Update」では、以下の機能が強化されました。
- 行フォーカス
- 文書校正ツール
- ページのテーマ
また、一般のユーザーにはあまり関係ありませんが、“キオスクモード”に「Microsoft Edge」専用のセットアッププロセスが追加されています。検索専用のPCをセットアップしたいといった場合に役立ちます。
残念ながら「EdgeHtml」は終了……「Chromium」ベースに
さて、ここまで長々と「Microsoft Edge」の新機能を紹介してきましたが、残念ながら現行の「EdgeHtml」を採用した「Microsoft Edge」の開発は終了。2019年には「Google Chrome」と同じ「Chromium(Blink+V8)」ベースになります。
とはいえ、「Microsoft Edge」という名前(ブランド)は維持される見込み。また、ユーザーインターフェイスに大きな変更もないでしょう。というのも、すでにリリースしているモバイル版と齟齬が出ないようにする必要があるためです。また、ペン機能や“読み取りビュー”といった機能も、(初期バージョンでサポートされるかは不透明ですが)サポートされるはずです。「Opera」や「Vivaldi」といった「Chromium」ベースブラウザーも、独自のインターフェイス、独自の機能を持っています。
つまり、エンドユーザーにとっては「Chromium」化の影響はあまりなく、単にレンダリングエンジン・スクリプトエンジンが「Google Chrome」と共通化されるというだけになりそう。むしろ、「Chromium」へ移行することによるメリットの方が大きいのではないでしょうか。
- アップデートの頻度が上がり、新しい機能がどんどん追加される
- クロスプラットフォームとなり、Mac版などのリリースが期待できる
- 「Google Chrome」向け拡張機能が利用できるかもしれない
実際にどうなるかは蓋を開けてみないとわからない部分も多いですが、「Microsoft Edge」の着実な改善はまだまだ続きそうです。