Windows 10 Fall Creators Updateの新機能をおさらい

第3回

「Fall Creators Update」のユーザーインターフェイスと「Microsoft Edge」

“人物”志向の[共有]コマンド、それ以外は既存機能のブラッシュアップが中心

「Windows 10 Fall Creators Update」

 「Windows 10 Fall Creators Update」の新機能や改善点を紹介する本連載。第3回となる今回は、ユーザーインターフェイスの改善を中心に取り上げたい。

 「Fall Creators Update」にアップグレードしてまず気が付くのが、“Fluent Design System”の採用だ。「Fall Creators Update」では“Fluent Design System”の一部(1st Wave)が導入されており、[スタート]画面や“アクション センター”にアクリル効果が加えられている。少しわかりづらいかもしれないが、背後のウィンドウがうっすらと透けて見える。

[スタート]画面や“アクション センター”に導入された“Fluent Design System”。標準アプリを中心に、導入が進みつつある

 そのほかにもシェル関連では、バッテリーのフライアウトでパフォーマンスと省電力のバランスをスライダーで簡単に調整できるようになった。

バッテリーのフライアウト
通知トーストのデザインも少し変わる

“人物”志向の[共有]コマンド、「エクスプローラー」からも利用可能に

 特集の第1回でも少し触れたが、「Fall Creators Update」では共有の仕組みが“人物”志向になっている。

 たとえば、“My People”でタスクバーにピン留めしたユーザーにファイルをドラッグ&ドロップすると、そのままファイルの共有が行える。“My People”は現状、OS標準の「メール」や「Skype」の利用を前提としている。そのため、「LINE」や「Twitter」、「Facebook Messenger」などの利用も多い日本ではなかなか活躍の機会を見出すのは難しいが、対応アプリが増えれば大化けする可能性は秘めている。

タスクバーにピン留めしたユーザーにファイルをドラッグ&ドロップすると、そのままファイルの共有が行える

 また、アプリの[共有]コマンドでも相手の“人物”を指定した共有が行えるようになった。共有相手は利用状況をもとにサジェストする仕組みで、繋がりの濃いユーザーと気軽に共有が行える仕組みが整いつつある。「Fall Creators Update」からは「エクスプローラー」からも[共有]コマンドが利用できるようになったので、ファイルの右クリックメニューからダイレクトにシェアすることだって可能だ(一方で、従来のファイルの右クリックメニューにあった[共有]コマンドは[アクセスを許可する]という名前になった。意味がより明確になったのは歓迎だが、誤解がないようにしたい)。

アプリの[共有]コマンドでも相手の“人物”を指定した共有が行えるように。ファイルの右クリックメニューからも使える

 そのほかにも[共有]コマンドでクリップボードへのコピーがサポートされたのが地味に便利(テキストやURLの場合)。これまでも専用のアプリを“ストア”から導入すれば解決できたが、これぐらいのことはOS標準でサポートしてもらえるとありがたい。

「設定」アプリの拡充も進む ~そろそろ「コントロール パネル」は卒業?

 また、「Creators Update」から継続して行われているユーザーインターフェイス関連の改善としては、「設定」アプリの充実があげられる。起動してまず目につくのは、トップカテゴリーとして“電話”と“Cortana”が新設されたことだ(“Mixed Reality”は環境に依存する)。

「Creators Update」の「設定」アプリ
「Fall Creators Update」の「設定」アプリ

 “電話”は第1回で紹介したモバイル端末との連携に関する設定を集約したセクションだ。今のところスマートフォンをリンクさせる機能があるのみだが、クロスデバイス機能が充実していくにつれ、ここにおさめられる設定項目も増えるのではないだろうか。

 一方、“Cortana”セクションではパーソナルアシスタント“Cortana”の動作やプライバシー設定をカスタマイズすることが可能。これまで“Cortana”のウィンドウで行ってた設定が、他の設定と同様、「設定」アプリで行えるようになった。「設定」アプリの検索ボックスで“Cortana”に関する設定も調べられるようになるなどの恩恵を受けられる。

 そのほかにも、リモート操作の可否を設定する[システム]-[リモート デスクトップ]セクション、HDRなどの設定を行う[アプリ]-[ビデオの再生]セクション、アンチチート機能を有効化する[ゲーム]-[TruePlay]セクション、[プライバシー]-[ファイルの自動ダウンロード]セクション(第4回で触れる“OneDrive File On-Demand”に関連)といったサブカテゴリーが新たに追加された。[システム]-[バージョン情報]セクションのデザインも変更されており、より多くのシステム情報を確認できるようになった。

[システム]-[リモート デスクトップ]セクション
HDRなどの設定を行う[アプリ]-[ビデオの再生]セクション
アンチチート機能を有効化する[ゲーム]-[TruePlay]セクション
[プライバシー]-[ファイルの自動ダウンロード]セクション

着実な進歩をみせる「Microsoft Edge」

「Microsoft Edge」(EdgeHTML16)

 「Microsoft Edge」(EdgeHTML16)では“Fluent Design System”の導入により見た目がリフレッシュされた点を除けば、派手な機能の追加はない(すでに紹介したスマートフォン連携が最大の機能追加かもしれない)。しかし、細部のブラッシュアップにより使い勝手が向上している。

 まず、“できて当然”であるにもかかわらず搭載されてなかった機能がいくつか実装された。

 その筆頭ともいえるのが、[F11]キーでフルスクリーン表示する機能だ。これまでもストアアプリを全画面表示する[Windows]+[Shift]+[Enter]キーを利用すれば実現できたが、これはある意味隠しコマンド的なものだった。なお、フルスクリーン表示は設定メニューの[全画面表示]ボタンでもON/OFFが可能。

 また、“お気に入り”を保存する際、フォルダーをツリー表示する機能が追加。“お気に入り”のURLを編集する機能も導入された。特に後者の機能はブックマークレットを登録する際などに多用するため、今までなかったのがおかしかったぐらいだ。“お気に入り”のWebサイトをタスクバーとスタートページへピン留めする機能が復活したのも歓迎したい改善だ。

“お気に入り”を保存する際、フォルダーをツリー表示する機能が追加
“お気に入り”のURLを編集する機能も搭載

 一方、「Microsoft Edge」ならではの機能追加も少なくない。まず、選択テキストを読み上げる機能がサポート。電子書籍リーダー機能にあった機能をWebページやPDFファイルでも利用できるようにしたもので、読み上げ部分のハイライト表示も行える。

 PDF関連では、フォームの入力や目次、ドキュメントの回転、レイアウトの切り替え、注釈の追加がサポートされた。注釈の追加はこれまでもWebページで利用できた機能だが、PDFでも利用できるようになったことで「Microsoft Edge」はPDFリーダーとしても実用できるレベルになってきた(ちなみに、注釈はEPUBへも追加できるようになっている)。