Windows 10 Fall Creators Updateの新機能をおさらい

第1回

「Creators Update」を継承・発展させた機能アップデートに

「フォト」が大幅に強化、スマホで閲覧中のWebページを瞬時に転送可能

「Windows 10 Fall Creators Update」のアップデート通知

 「Windows 10」の4つ目となる機能アップデート「Windows 10 Fall Creators Update」の一般提供が開始されて、約1カ月が経過した。互換性の確認が取れたデバイスから順次提供が拡大されているが、そろそろ手元にアップデートの通知が来たというユーザーも増えてきたのではないだろうか(私事ではあるが、筆者がメインに使っているデスクトップPCにも先日アップデートがやってきた)。そこで本稿では、これから「Fall Creators Update」に触れる人のために、このアップデートで追加・改善された機能を紹介する。第1回となる今回は、「Fall Creators Update」の概要を紹介しながら、どのような性格を持つアップデートなのかを見ていくことにする。

「Fall Creators Update」は“Windows Update”経由で入手可能。手動でのアップデート手段も用意されている
「Fall Creators Update」のバージョンは“1709”(2017年9月版)。「Windows 10」は基本的に3月と9月に大型アップデートが提供される

「Creators Update」の継承 ~誰もがクリエイターに

 前回の機能アップデート「Windows 10 Creators Update」におけるテーマの1つは、その名前の通り“誰もがクリエイターになれる”ことだった。「Creators Update」では初心者でも気軽に3Dに挑戦できる「ペイント 3D」が搭載されるなど、特に3Dに関する機能が強化された。

 その路線は「Fall Creators Update」でも継承されている。OSに標準搭載されている「フォト」アプリが大きく改善され、撮影日時以外にも、写真の内容を自動認識することで人物・場所・物事ベースでの検索が可能となった。

 この機能が役に立つのは、写真を“ストーリー(文脈・背景)”単位で抽出したい場合だ。たとえば、“〇〇さんがサッカーをしている場面”や“××さんと△△へ旅行した時の様子”という条件で写真をひとくくりにすることができる。

「Fall Creators Update」の「フォト」アプリ
人物・場所・物事ベースでの検索が可能に

 さらに新たに搭載された“Story Remix”機能を使えば、適当なBGMを付けたストーリームービーを手軽に作成することが可能。思い出を簡単にカタチにできるというわけだ。

 BGMは「フォト」アプリが勝手にチョイスしてくれるし、尺を合わせるのも全部自動で行ってくれるので、ユーザーはほとんど何もしなくてよい。もちろん、写真の順番やエフェクトを変えたり、BGMを差し替えたりといったカスタマイズも行える。

新たに搭載された“Story Remix”機能を使えば、適当なBGMを付けたストーリームービーを手軽に作成することが可能

 また、動画ならば3Dのエフェクトを追加することも可能。たとえば、動物に睡眠エフェクト(音声付き)を付けて寝ている様子を演出したりといったことが簡単に行える。アンカーを指定することができるので、動いているオブジェクトにエフェクトを追従させることもできる。

もちろん、写真の順番やエフェクトを変えたり、BGMを差し替えたりといったカスタマイズも行える
動画ならば3Dのエフェクトを追加することも
動画に手書き。アンカーを指定できるので、動いているオブジェクトにエフェクトを追従させることもできる

 そのほかにも、“Windows Mixed Reality”のサポートが本格化したのも見逃せない変更点だといえるだろう。これに関しては“Windows世界の拡大”という視点も交えながら次回に詳しく紹介したい。

「Creators Update」の発展 ~人々やデバイスを繋げる

 そしてもう1つ、「Fall Creators Update」でテーマになりそうなのは、“人々やデバイスを繋げること”だ。

家族や友人など、頻繁に連絡を取り合う“人物”をタスクバーに追加する“My People”

 たとえば、「Fall Creators Update」には“My People”という機能が追加されている。これを利用すると、家族や友人など、頻繁に連絡を取り合う“人物”をタスクバーに追加しておくことができる。実はこの機能、「Creators Update」に搭載予定だったが間に合わなかったもので、「Creators Update」の宿題を「Fall Creators Update」でようやく片付けた格好でもある。

[共有]機能で“人物”をターゲットにした共有が行えるように

 また、[共有]機能で“人物”をターゲットにした共有が行えるようになったのも、地味ながら“人々を繋げる”機能を具体化したものと言えるだろう([共有]機能で言えば、クリップボードへのコピーがサポートされたのもちょっと便利)。

「設定」アプリの[電話]セクション

 加えて、スマートフォン(iPhone/Android)で閲覧しているWebページをPCへ送信する機能も追加された。「設定」アプリの[電話]セクションでスマートフォンを登録して、コンパニオンアプリアプリ「Continue on PC」をインストールしておけば、スマートフォンの共有機能を利用してURLをPCの「Microsoft Edge」へ簡単に転送できる。「Microsoft Edge」が勝手に起動してURLを開くさまは、ちょっとした魔法感覚だ。

スマートフォンの共有機能を利用してURLをPCの「Microsoft Edge」へ簡単に転送

 とはいえ、5月に発表された“Microsoft Build 2017”で発表された内容を思うと、ちょっと物足りない気がするのも確かだ。

“Build 2017”で発表された“Timeline”機能は見送りに

 たとえば、現行のタスク切り替え機能“タスク ビュー”を拡張し、さまざまなプラットフォームで行っている作業を時系列で切り替え可能にする“Timeline”機能は見送られた。現状のURL共有機能は便利ではあるが、もっとアグレッシブなクロスプラットフォーム体験を期待していただけに残念な部分ではある。

 「Fall Creators Update」がそういった面での礎になるとともに、積み残した“宿題”が次期機能アップデートで果たされることを願ってやまない。

 さて、次回は本稿で触れることのできなかった“Windows Mixed Reality”と“Windows Subsystem for Linux”を紹介しながら、「Fall Creators Update」のクロスプラットフォーム体験についてもう少し深く掘り下げたいと考えている。お付き合いいただければ幸いだ。