年末年始に試したいWindows 10最新機能

第3回

履歴を再利用できるようになったクリップボード ~複数端末での同期も可能

[Windows]+[V]キーを使いこなそう

「Windows 10 October 2018 Update」のクラウドクリップボード

 「Windows 10 October 2018 Update」の新機能を紹介する本連載。第3回となる今回は、強化されたクリップボードがテーマです。

お馴染みの“クリップボード”に革命を!

 “クリップボード(Clipboard)”は、データを一時的に保存できるOSの機能。テキストや画像を切り取り・コピー・貼り付けする機能ですね。ほとんどのOSに搭載されている機能で、主に異なるアプリ間でデータ(プレーンテキスト、リッチテキスト、画像……)をやり取りするのに使います。

  • 切り取り(カット):選択したデータをアプリから消去してクリップボードへ保存する([Ctrl]+[X]キー)
  • コピー:選択したデータをクリップボードへ保存する。選択したデータはアプリ上に保持される([Ctrl]+[C]キー)
  • 貼り付け(ペースト):クリップボードに保存されているデータをアプリへ送る([Ctrl]+[V]キー)

 PC操作には欠かせない機能で、キーボード操作が苦手な人でも“クリップボード”関連のショートカットキーだけは覚えてる、最初に覚えたのは[Ctrl]+[C]キーだった、なんていう人も少なくないはずです。また、初期のモバイルOSで“クリップボード”がサポートされておらず、苦労したユーザーも多いのではないでしょうか。

 さて、そんなPC生活に欠かせない“クリップボード”ですが、いくつか不満に感じる点もあります。なかでも要望が多いのが、履歴機能です。

 “クリップボード”は基本的に1つのデータしか保存できません。新しいデータを切り取り・コピーすると既存のものは上書きされ、消えてしまいます。誤ってクリップボードを上書きしてしまい、またコピーしなおした……なんて失敗、一度は経験がありませんか? 同じデータを何回もコピーする羽目になったとき、以前の履歴を簡単に呼び出せたらいいのにと思ったことはありませんか?

 「October 2018 Update」には、こうした不便を解消するために“クリップボード”の履歴機能が追加されました。では早速利用してみましょう。

履歴へのアクセス ~絶対に覚えたい[Windows]+[V]キー

 「October 2018 Update」では、[Windows]+[V]キーで“クリップボード”の履歴ビューワーを呼び出すことができます。初期状態では無効化されていますが、一度[Windows]+[V]キーを押して履歴ビューワーにアクセスし、[有効にする]ボタンを押すだけで有効化可能です。

[Windows]+[V]キーで“クリップボード”の履歴ビューワーへアクセス。初期状態では無効化されている

 有効化した直後は何も格納されていないので、とりあえず何か“クリップボード”へコピーしてみましょう。

クリップボード履歴を有効化

 このように、“クリップボード”へ保存したデータのプレビューが、タイムスタンプ(“クリップボード”へ保存した日時)とともに表示されるはずです。選択するとそのデータがクリップボードへ格納され、[Ctrl]+[V]キーで貼り付け可能となります。

クリップボードへ保存したデータがタイムスタンプとともにプレビューされる

 ちなみに、「October 2018 Update」の履歴ビューワーでサポートされているのは、

  • テキスト
  • HTML
  • 画像

の3つ。それぞれ1MB未満、全体で5MBまでのデータを履歴ビューワーにストックすることができます。

 注意しなければならないのは、OSを終了すると履歴ビューワーの内容がクリアされてしまうこと。もし消えてほしくない・よく使うデータがあるならば、“ピン留め”しておくことをお勧めします。

 “ピン留め”したデータは、[すべてをクリア]ボタンを押しても消えません。OSを再起動しても保持されます。ただし、履歴ビューワーに保持しておけるのは“ピン留め”したものを含め50個までです。

他の端末との共有も可能

 さらに、「October 2018 Update」のクリップボード履歴はクラウドを介して他のデバイスと同期することも可能です。

 この機能を利用するには、まずそれぞれの端末で同期機能を有効化します。「設定」アプリに新設された[システム]-[クリップボード]セクションで、“デバイス間で同期する”というトグルスイッチをONにします。

「設定」アプリに新設された[システム]-[クリップボード]セクション

 クリップボードへコピーしたデータがすべて同期されるのは嫌だ、同期するデータを手動でコントロールしたいという場合は、ラジオボタンを“コピーしたテキストを自動的に同期させない”へ切り替えるとよいです。クラウドアイコンをクリックしない限り、データは同期されなくなります。

ラジオボタンで手動による同期へ切り替えることも

 なお、クリップボードデータの同期機能を利用するには“Microsoft アカウント”が必要です。Windows 10をローカルアカウントで利用している場合は、“Microsoft アカウント”へ切り替えましょう。また、同期できるデータは100KB未満のテキストデータのみです。画像データなどを同期することはできません。

 現在のところ、クリップボードデータの同期はPC間でのみ可能ですが、Android向けキーボードアプリ「SwiftKey」のベータ版でも同期のテストが行われているようです。正式サポートに期待したいですね。

次期「Windows 10」でも改善が続く ~フィードバックを!

 クリップボードの履歴機能は、「CLCL」「Clibor」といったサードパーティ製のオンラインソフトを使えば実現することができました。機能自体もオンラインソフトの方が充実しているのですが、OSに標準搭載されているのは手軽です。また、クラウド共有までサポートしたものはあまりないので、大きなアドバンテージといえるでしょう。そのうちクリップボード拡張ツールが要らなくなる時代が来るのかもしれません。

 しかし一方で、まだまだこなれていない部分も見受けられます。たとえば、履歴ビューワーが小さすぎて、スクロールしないと古いデータにアクセスできないのは少し使いづらいですね。

 現在テスト中の「Windows 10 19H1」ではそのあたりの微調整が行われています。フィードバックを送れば、不満点の解消に動いてもらえるかもしれません。気づいたことがあれば「フィードバック Hub」で問題点を報告するとよいでしょう。