特集
「Windows 10 April 2018 Update」はシェルや「Edge」「ストア」「設定」アプリも改善
“Fluent Design”の導入が進み、「ストア」はフォントをインストール可能に
2018年5月2日 06:30
「Windows 10」の新しい機能アップデート「Windows 10 April 2018 Update」(RS4、バージョン 1803)に搭載される予定の新機能と改善を紹介する本特集。今回は、シェルや「Edge」、「ストア」、「設定」アプリなどの改善にスポットを当てる。なお、本稿は「Windows 10 Insider Preview」Build 17134.5を使って動作を確認している。
“Fluent Design”の導入が進むシェル、[スタート]画面もより使いやすく
それでは、OSの顔となる“シェル”から紹介していくことにしよう。最大の変更は何といってもタスク切り替え機能における“タイムライン”の導入だが、それ以外にも細かい改善が施されている。
まず目につくのが、新しいユーザーインターフェイスデザイン“Fluent Design”の導入が進んだことだ。“Fluent Design”デザインはいくつかの要素から成っており、段階的に導入が進められているが、「Windows 10 April 2018 Update」では照明効果を活用してナビゲーションや選択状態をわかりやすく示す“Reveal”と呼ばれる効果が[スタート]画面をはじめとする随所に導入されている。この効果は“電源モード”をバッテリー残量優先に切り替えると自動で無効化されるので、違いに興味のあるユーザーは見比べてみとよい。
そのほかにも、[スタート]画面のユーザー・電源・設定アイコンが表示されるエリアに各種ユーザーフォルダーへアクセスするためのアイコンを配置できるようになった。タイルとしてピン留めしておくほどではないが、常に手の届くところに配置しておきたい場合に便利。また、[アプリの一覧]画面でインデックスラベルをクリックすると現れる目次画面が、“あいうえお”ベースではなく、“あかさたな”ベースとなった。従来の目次画面は細分化され過ぎていてあまり使う気になれなかったが、これならば役に立ちそうだ。
次期バージョンではタブ機能“Sets”の導入が期待されており、今後もシェルの改善に注目したい。
「Edge」にはミュート機能が追加
もう1つのOSの顔である「Microsoft Edge」は、比較的小規模なアップデートにとどまっている。これまでに追加された新機能を熟成させた印象だ。前バージョンでの変更は以下の記事を参照のこと。
ユーザーインターフェイス面では、“お気に入り”や“リーディングリスト”、履歴といったセクションを管理する“ハブ”のデザインが一新。コンテンツパネルの左側にナビゲーションビューが追加され、セクションタイトルを確認できるようになった。ナビゲーションビューを折りたためば、コンパクトなアイコンのみの表示にすることもできる。
また、EPUBリーダーのルック&フィールがオーバーホールされ、ハイライトやノート、注釈間を移動するための新しいポップアップメニュー、品詞を色分けする校正ツール、フルスクリーン表示などが追加された。デバイス間で同期した読書進捗・ノートブック・ブックマークへのアクセスも容易になっている。
そのほかにも、タブのミュートとダークモードのサポート。“InPrivate”でオートフィルと拡張機能がサポートされた。住所フィールドの自動入力機能など、他のブラウザーで人気の機能も導入されており、競合とのギャップも埋まりつつある。
しかし、「Microsoft Edge」関連ではデスクトップ版よりむしろ、モバイル版がリリースされた点が大きなトピックといえるだろう。デスクトップ版との連携に優れているので、「Microsoft Edge」ユーザーならばぜひインストールしてほしい。
なんでも「ストア」から入手する時代に?
また、フォントや言語パックが「ストア」アプリから入手できるようになったのも、「Windows 10 April 2018 Update」における注目すべき変更点だ。「ストア」ではアプリやゲーム以外にも、「Microsoft Edge」の拡張機能やLinuxディストリビューション、ハードウェアも配布・販売されているが、フォントや言語パックまで「ストア」で入手できるようになるとは驚きだ。今後はOSと、それ以外のリソース分離がますます進むのかもしれない。
- 言語パックをストアから入手可能に ~「Windows 10 Insider Preview」Build 17074 - 窓の杜
- ストアからフォントを導入、設定画面も大刷新 ~「Windows 10」Build 17083がお披露目 - 窓の杜
一般ユーザーがフォントや言語パックを「ストア」に提出できるようになるかは定かではないが、フォント作家が「ストア」で自分のフォントを販売したり、関西弁の言語パックを有志が作成して配布するような時代が来るのかもしれない。
「設定」アプリの改善
「Windows 10」の機能強化にともない、「設定」アプリの拡充も進んでいる。たとえば、先ほど紹介したようにフォントや言語パックが「ストア」から導入されたのに合わせ、それに対応する画面が追加・拡充されている。
また、本バージョンではストアアプリに関わる設定の充実が図られた。[アプリ]-[アプリと機能]セクションからストアアプリの詳細設定を開くと、「Windows 10 April 2018 Update」ではバージョンの確認やバックグラウンド実行のON/OFFスイッチ、[終了]と[アンインストール]ボタン、バッテリーの使用状況や既定のアプリへのリンクが追加されているのがわかる。このアプリ詳細画面には、[スタート]画面のタイルの右クリックメニューからもアクセス可能。
ストアアプリそのものにもファイルシステムへのフルアクセスが行えるようになるなどの拡張が行われている。
ゲーム
ゲーム関連では、“ゲーム バー”のデザイン刷新が大きなトピックといえるだろう。時刻の表示が追加されたほか、プレイ動画のキャプチャーや配信、マイクやカメラの切り替えといった操作が簡単に行えるようになった。ライトテーマとダークテーマにも対応しており、システムの設定に応じて切り替わるようになっている。
また、HDR対応が拡充され、キャリブレーションツールが搭載された。マルチGPU環境に対応した設定画面も追加され、アプリケーションによって内蔵GPUを利用するか、外付け(ディスクリート)GPUを利用するかを選択することができるようになっている。以前に紹介した“集中モード(Quiet Time)”機能もゲーマーにとって有用な改善だ。
日本語関連の改善
最後に、日本語ユーザー向けの改善を取り上げて終わりにすることとしよう。[スタート]画面のアプリ目次が“あいうえお”から“あかさたな”になったという改善はすでに紹介したが、それ以外にもさまざまな改善が盛り込まれている。
たとえば、女子高生AI“りんな”が日本語変換をアシストしてくれるようになったというニュースは記憶に新しい。「Windows 10 April 2018 Update」ではクラウドサービスを日本語入力に組み込む機能が備わっているが、これはそれを応用したものだ。
あまり公にはされていないものの、それ以降も予測入力サービスの追加が行われているようだ。もしサードパーティーにも開放されるようなことがあれば、より多種多様なサービスが提供されるかもしれない。
そのほかにも、日本語のタッチキーボードで標準キーボードレイアウトと分割レイアウトがサポートされた。タッチキーボード左上のキーボード設定メニューから切り替えられる(「Fall Creators Update」環境でも利用できたようだが、「Windows 10 April 2018 Update」でテストされていた機能なので、「Windows 10 April 2018 Update」の機能として紹介する)。
標準キーボードレイアウトは一般のハードウェアキーボードに準拠しており、ファンクションキーや[Alt]キーなども利用できる。[かな]キーを押せばJISかな配列に切り替えて入力することもできるので、かな入力ユーザーにはうれしい機能といえるだろう。
分割レイアウトはキーが左右に分かれて配置されており、タブレットの端を両手でつかみながら、左右の親指で入力するのに適している。
終わりに
そのほかにも、WindowsでLinuxを動作させる“Windows Subsystem for Linux(WSL)”にも多くの改善が施された。これについては別の記事で触れているので参照してほしい。
また、「Windows 10 April 2018 Update」ではOSのアップデートプロセスが改善されており、更新によりPCが使えなくなる時間(オフラインタイム)が大幅に削減される。「Windows 10」の機能アップデートは時間を要するのが最大の不満だが、これらも改善されつつある。
その一方で、ひっそりと役目を終える機能もある。たとえば「Windows 10 April 2018 Update」ではホームグループ機能が削除される予定だ。“常にアップデートし続ける”のがコンセプトの「Windows 10」だが、ときには不要な機能が削除されることもある。大型アップデートを導入する際は、こうした点についても留意しておきたい。