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テレメトリーデータの削除もユーザーの権利 ~Mozillaが「Firefox 72」に新機能を導入

カリフォルニア州消費者プライバシー法の施行をうけ、プライバシー保護をさらに強化

「Firefox Nightly」のテレメトリーデータ関連オプション

 カリフォルニア州消費者プライバシー法(California Consumer Privacy Act、CCPA)が1月1日(米国時間、以下同)より施行されることをうけ、Mozillaは12月31日、「Firefox 72」にテレメトリーデータを削除する機能を組み込むと発表した。

 近年、企業が収集した個人情報が本人の知らないところで第三者に販売・共有されていることが社会問題となっている。CCPAはそうした現状をうけ、企業による個人情報の収集・利用を消費者がコントロールできるように定めたものだ。どのような個人情報を企業が収集しているのかを消費者が知り、場合によってはその削除を企業に要求する権利、個人情報の利用をオプトアウト(拒否)する権利などが謳われている。

 Mozillaは早くから、こうしたプライバシーに関する消費者の権利を尊重する姿勢を前面に打ち出しているが、CCPAの施行をうけ、それをさらに強化する。

 たとえば、一部のアプリケーションにはユーザーの利用状況を収集・送信し、パフォーマンスや品質の向上に役立てるシステム“テレメトリー”が搭載されている。これは「Firefox」にも搭載されているが、都合が悪ければユーザー側で無効化することも可能。「Firefox」ではタブを開いた数や1日当たりの平均利用時間、どのアドオンが多く利用されているかといったデータが集められている(参考記事)が、個人を特定する情報は含まれない。

 そのため、業界ではテレメトリーデータを個人情報とみなさないのがなかば慣習となっているが、Mozillaはこれもプライバシーに関する情報と考え、ユーザーが望めば削除できるようにするという。プレビュー版「Firefox Nightly」ではすでにこの機能が実装され、[プライバシーとセキュリティ]設定画面(about: preferences#privacy)にある“Nightly が技術的な対話データを Mozilla へ送信することを許可する”というオプションをOFFにすると、テレメトリーデータの収集を停止したことに加え、これまでに収集されたデータが30日以内に削除される旨の案内が表示されるようになっている。

 なお、「Firefox 72」は1月7日にリリースされる予定。テレメトリーデータの削除機能は全世界で展開されるため、カリフォルニア州民でなくても恩恵にあずかることができる。