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Embarcadero、「RAD Studio 10.4 Sydney」を公開 ~無償版「Delphi」「C++Builder」は延期

コード入力支援機能「Code Insight」を強化。High DPI対応も大幅に拡張

Embarcadero、「RAD Studio 10.4 Sydney」を公開

 米Embarcadero Technologiesは5月26日(現地時間)、統合開発環境「RAD Studio」の最新版「RAD Studio 10.4 Sydney」の提供を開始した。「Delphi」「C++Builder」もアップデートされている。

 「RAD Studio 10.4 Sydney」では、VCLのスタイルアーキテクチャーを大幅に拡張。High DPI環境への対応が強化されたほか、モニターのスケーリング設定に合わせて表示倍率をスマートに切り替えられるWindowsアプリを手軽に開発できるようになった。「Chromium」ベースの「Microsoft Edge」コントロール(WebView2)をアプリに組み込める「TEdgeBrowser」など、新しいVCLコンポーネントもいくつか追加されている。

 一方、クロスプラットフォーム開発ではmacOS/iOSでグラフィックスAPI「Metal」をサポート。Appleが新たに課す「Launch Screen Storyboard」の機能要件にも対応した。iOS向け「TWebBrowser」コントロールを「WKWebView」APIベースで再実装したり、macOS向け「Media Player」コントロールに「AVFoundation」を利用するようになるなど、ネイティブコントロールのアップデートも行われている。

 そのほかにも、「Delphi」でコード入力支援機能「Code Insight」を改善。“LSP(Language Server Protocol)”ベースの新しい「Code Insight」は入力支援処理を別プロセスで実行するため、大規模プロジェクトでのパフォーマンスが大きく向上した。また、「C++Builder」ではC++ライブラリサポートの拡張、64bit版Windows向けデバッガーの導入、ツールチェインのパフォーマンスおよび品質の改善が行われている。

 なお、個人開発者や小規模組織向けに無償で提供されているコミュニティ版「Delphi」「C++Builder」はまだアップデートされていない。ライセンス違反の利用が増加しているため有償版のリリースを優先し、コミュニティ版v10.4の公開を意図的に遅らせているようだ。同社は今後数カ月以内にコミュニティ版v10.4のリリース時期を決定するとしており、それまではv10.3.3を利用するよう案内している。