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Adobe、「Creative Cloud」の大規模更新を発表 ~「Photoshop」は昨年の“Adobe MAX”以来最大のアップデートに

AI/ML技術でインスピレーションを刺激。コラボレーションやコミュニティでの学びを支援する機能も充実

Adobe、「Creative Cloud」の大規模アップデートを発表

 米Adobeは6月16日(現地時間)、「Adobe Creative Cloud」の大規模アップデートを発表した。新しいカメラアプリ「Photoshop Camera」が正式リリースされたほか(参考記事)、コミュニティとインスピレーション、コラボレーション、イノベーションをテーマにした新機能や改善が行われている。

 なかでも注目は、2019年11月に開催された“Adobe MAX”カンファレンスでの発表以来最大とされる「Photoshop」のアップデートだろう。たとえばデスクトップ版「Photoshop」では[被写体を選択]機能がコンテンツの種類を認識してそれに応じた処理を行うようになった。たとえば、人物を検知したときは新しいカスタムアルゴリズムが適用される。とくに毛髪の輪郭検出はかなり精細で、風になびく髪もほとんど1本単位で美しく切り抜ける。

対象を識別してカスタムアルゴリズムを適用するようになった[被写体を選択]機能。毛髪の輪郭検出はかなり精細に

 また、「Lightroom」の編集機能もよりパワフルになった。新しい[指定範囲の色相調整]機能を利用すれば、人物の肌の色だけ、花びらの色だけを調整したいといったニーズにも応えることが可能。そのほかにも、“Adobe Sensei”の人工知能(AI)とマシンラーニング(機械学習)テクノロジーを活用したイノベーティブな機能がさまざまな製品に導入された。

[指定範囲の色相調整]機能による色調整

 さらに、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の影響でリモートワークを強いられたクリエイターを支援するコラボレーション機能も充実が図られた。「InDesign」では[レビュー用に共有]機能が導入され、離れたチームメンバーと手軽にドキュメントをやり取りできるようになった。「XD」では作成した共有リンクのアクセス権限(プライベート・パブリック)を自由に変更できるようになり、わざわざ新たに共有リンクを生成しなおす必要がなくなった。

「InDesign」では[レビュー用に共有]機能が導入

 「Fresco」で誰でも制作過程をライブストリーミングできるようになったことや、「Lightroom」の[見つける]セクションででお気に入りのフォトグラファーをフォローし、その編集技術を学べるようになったことは、クリエイターがインスピレーションを得たり、互いに学びあう上で助けになるだろう。

 なお、「After Effects」「Illustrator」「Premiere Pro」などでは脆弱性の修正も行われているので注意。任意コードの実行につながる致命的な欠陥も含まれているため、早期の対応をお勧めする。

 また、日本時間18日には日本法人の社名変更も発表された。同日付けで“アドビ システムズ 株式会社(Adobe Systems Co., Ltd.)”から“アドビ株式会社(Adobe KK)”へとなる。